「マグネット!」の書評を分析するよ第二回!

【分析対象】


マグネット書評ver.1.0

「マグネット!」という小説投稿サイトの書評、100件です。



【どのような分析を行ったのか?】


今回の分析にあたり、書評を前半と後半に分けて分析できるように、

収集した書評のデータをあらかじめ加工しておきました。


そして200字以上の長文レビューでは、

前半部分と後半部分とで出てくる言葉に違いがあるのか調査しました。



【前回のおさらい】


前回の内容から、今回の内容に関係がある部分を記載しておきます。


まず前半と後半、それぞれの特徴語についてです。


前半に特徴的に出てくる語は、


・主人公

・世界


でした。



対して後半に特徴的に出てきた語は、


・物語

・作品

・登場

・キャラクター

・人物


でした。


このことから、前半は主人公や世界観などの説明をしていて、

後半では作品全体の印象を語っていることが推測されます。


そして実際に、

「前半では比較的細部に焦点をあて、後半で全体の印象を語る」

という書評は多く見られました。



【今回の分析でなにをするのか?】


前回は、基本パターンのようなものを見ていきました。

なので今回は、前回取り上げたパターンに当てはまらなかった書評に焦点をあてていきたいと思います。


具体的に説明します。

前回は、


「前半で、前半の頻出語が出ている」

「後半で、後半の頻出語が出ている」


この二つを満たす書評を見ていきました。


なので今回は、


上記の二つのうち片方だけを満たすレビュー、

上記のどちらも満たさないレビュー


という分け方をして見ていくことにします。



【調査結果】


今回の分析結果に


A「書評の前半で、前半の頻出語が出ている」

B「書評の後半で、後半の頻出語が出ている」


このAB2つの条件のうち、少なくともどちらかを満たしているレビューがいくつあるのか?

調べてみたところ、78件でした。


その78件は、


AB両方満たす……37件

Aのみ満たす ……19件

Bのみ満たす ……22件


という内訳になっています。


また、ABどちらも満たさない書評は22件あります。


さらにそれらの書評の中には、


・主人公

・世界

・物語

・作品

・登場

・キャラクター

・人物


の7語が前半・後半関係なく書評の中に1つも登場しない、

というものが11件ありました。



AB両方満たす書評については前回調べました。

なのでそれ以外の書評を見ていきましょう。



【片方だけ満たしていた書評の場合】


前半の特徴語(主人公・世界)が書評の前半に登場。

だけど後半の特徴語は書評の後半に出ていない。


私の予想では、それらの書評は、

「主人公や世界観だけを語るレビュー」

なのだろうと思っていました。

実際にそのパターンのレビューもありました。

しかし予想よりも数は少なかったです。


主人公や世界という語を使う以上、それらに焦点はあたりはします。

だけど、具体的に掘り下げて褒めるようなレビューは少なかったのです。

むしろ作品全体の印象を語る中で、主人公や世界に触れるといった形のレビューが目立ちました。


作品全体の印象を語る、というのは、

後半の特徴語である「物語」や「キャラクター」の役目だと私は想像していました。

しかし実際のレビューでは、

物語の大筋をなぞって魅力を説明するために、必然的に「主人公」や「世界」といった語が出てくるとわかりました。



それではもう片方、


前半の特徴語は書評の前半に出ていない。

だけど後半の特徴語は書評の後半に登場している。


というパターンの書評はどうだったのでしょうか。


こちらは私の予想どおりに、

「物語全体の印象を語るレビュー」

になっているものが多く見られました。


前半後半関係なく、

・ストーリーの大筋に触れる

・物語全体の印象を語る

という内容です。



Aのみ満たす、Bのみ満たす、

どちらにしても、作品全体を俯瞰して説明するレビューが多く見られました。


もしかしたら、作品・物語という大きなものをどう切り取るかの差でしかないのかもしれません。


主人公や世界という触れ方をするのは、自分を主人公たちと同一視しているのかも?


対して、ストーリーやキャラクターという言葉を使うのは、

(感情移入はしていても)読者目線という立ち位置を選ぼうという思考が強く出ている??


あくまで私の予想ですが、

主人公たちに深く感情移入しているメロメロなファンとして書くのか、

読者として物語とは一定の距離を保つことを重要視して書くのか、

によって、書きやすいレビューの形、使いやすい語というのが変わるのかもしれませんね。

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