二人の熱

有原ハリアー

ブレイバとブランシュ

皇城にて(挨拶に代えて)

「呼ばれたよ、姫様」

「お待ちしておりました、騎士様」

 ある帝国の皇城にて。

 銀髪をたなびかせる美少女が、狐の耳と尻尾を備えた獣人を呼んでいた。

「騎士様。折り入ってお願いがございます」

「何だい」

 “騎士様”と呼ばれた男は、優しく美少女を見つめる。

 “姫様”と呼ばれた美少女は、ゆっくりと口を開いた。


「わたくしを、抱きしめてくださいませ」


 その願いを聞き入れた騎士は、力強く肯定した。

「もちろんだよ、姫様。お心のままに」

 騎士は力強く、けれど姫を苦しめないように、その柔らかな体を抱きしめた。

「んっ……」

「んんっ……」

 姫もまた、騎士に口付けで返す。


 今日もこうして、互いの熱を、鼓動を感じながら――二人だけの夜が、始まるのであった。

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