悪魔のひまつぶし

オレガ

最初の死

「行ってきます。」


今日は待ちに待った修学旅行の日だ。

初めての沖縄旅行とあって、とても楽しみだ。


「ちょっと待って!

 鉄也、忘れものよ!」


「あっ、ごめん。」


母から身体守りを貰い、祖父,祖母,父,母,弟の全員から、「行ってらっしゃい!」の言葉を貰って出発した。


・・・、五日後。


「またねー。」


同じクラスの家が一番近い幼馴染と別れ、一人家へと向かった。

両手には沢山のお土産、頭には大量の楽しかった思い出を持って家に着いた。


あれ?

電気が暗いなんて珍しいな。


僕はそんなことを思い、とりあえずチャイムを鳴らした。

音はチャイム音だけで、他は何も聞こえなかった。


次にドアを軽く叩きながら、少し大きい声で叫んだ。


「帰ってきたよー!

 開けてー!」


しかし、音は何もなかった。

僕は少し変だと思い、家族しか知らない鍵の隠し場所へ近づいた。

玄関の右隅にあるかえるの置物の口に手を突っ込んだ。


しかし、そこに鍵は無かった。

僕は更に変に思い、前に作っておいた合鍵をバックから取り出して、鍵穴に差し込んだ。

右に回すと、玄関の鍵がカチッと音を立てて開いた。


すると、家の中で走り回る音がかすかだが聞こえた。

ドアを開けて中に入ると、足音は遠退とおのいた。


「ただいまー。

 今帰ってきたよー。」


僕がそう言うと、足音が止まった。

しかし、返事は無かった。

とりあえず電気という電気を点けながら、二階の自分の部屋へと向かった。


先程まであった足音は無く、妙に静かだった。

僕は家族皆でお帰りなさいドッキリをするつもりなんだと思った。

部屋で服を家着に変え、一階のリビングへ向かった。

ここはいつも皆が集まる所だったから、自然と足が進んだ。

ドアを開き真っ暗闇の中電気を点けた。


僕の目は絶望した。

そこには、ありとあらゆる所から血を流して倒れている家族全員の姿があった。

僕は突然の情報に頭が麻痺して動けなかった。


すると、一番近くで倒れていた母の手が動いた。

僕は自分を取り戻してお母さんのもとに行った。


「お母さん大丈夫!?

 今救急車と警察呼ぶから!」


僕が慌てながら、ズボンのポケットにしまっておいたスマホを取り出そうとすると、母が掴んできた。

僕が母のほうを見ると、母は最期の言葉のように力を込めながら僕に言った。


「さ・・と・う・・。」


僕には意味がさっぱり分からなかった。

母にもう一度意味を聞こうとすると、母の目が驚いたようにいきなり大きくなった。

次の瞬間僕のお腹に穴が開いた。

僕は母に寄り添うかのように倒れた。

意識はあったが、二回,三回と穴が増える度に意識が無くなってきた。

そして、完全に意識が無くなり、僕の人生は終わった。

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