2話 終命
「瑠奈~遅いよ~」
待ち合わせ場所には、もう全員集まっていた。
「ごめんごめ~ん、猫が髪止める邪魔してきて」
「出た~瑠奈の言い訳~。大体、瑠奈が飼ってるの犬でしょ」
こんなバカっぽい話で盛り上がる。こんな楽しい空気がいつまでも続く、そう思っていた。
山の中のキャンプ場に向かうだけの時間。岩に当たり跳ね返る水の音や木々の葉が揺れる音、鳥の鳴く声。自然を感じる音は少女達のくだらない声で消えていく。
涼しい川辺に着いた。アっという間だったかもしれないが、みんな喉がカラカラになるまで喋っていたようだった。
キャンプは凄く楽しく時間という物を忘れるかのようだった。その瞬間、
「助けあばびぶぶぼばべ!」
声の聞こえる方向を見ると、川で溺れている男の子の姿があった。私は反射的に川の中に飛び込んでいた。川の勢いは少し急で今にも流されそうだった。その子を助け岸まで送った時、手をかけていた岩が崩れ、私は水流に飲まれた。私は死を覚悟した。滝口が見えて来た頃、洞窟の奥の蝙蝠が見えた。その眼は赤く怪しく光りこちらを見ていた。
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