明日の黒板

ぴおに

第1話春子

もう、今日しかない。

今日やらないと、チャンスはないんだ。

ちゃんと言わなくちゃ。



入学式の日。

誰もいない教室を愉しみたかったから、早めに登校した。

窓から見える満開の桜を、間近で見るために桜の元へゆくと、教室の窓からこちらを見ている男子と目が合った。

こんな早くに来る人なんていないだろうと思っていたのに、同じような人を見つけて親近感が沸いた。



「おはよ」



私は夏男に言えずにいることがある。

今まで何度も伝えようとしたけど、出来なかった。

でも、もう明日はないんだ。

私達は今日、卒業する。

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