ブラック転生
ぺー太郎
第1話 プロローグ
「早く仕事しろ、仕事!」
そう言われ慣れたのは、いつ頃からだろうか。
「みんな頑張ってんのにお前は定時で帰んのか恥ずかしくないのか!上司が働いてんのにテメェは帰るって普通ありえねぇだろ!」
「新人は始業時間30分前に来て掃除しろ」
そんな言葉に抵抗した時もあったな。懐かしい。その後ボコられたっけな...
それからボコられたくなくて
「残業するよな?」と聞かれ
「...はい」とオドオドと答えてしまった。それからはサービス残業、サービス残業にサービス残業...その時に仕事を辞めていればもう少し精神的に楽な生活ができたかもな...
「俺の言うことが聞けねぇならテメェの事ハジくぞ」
そう脅してきた上司もいたな。あの時の俺は他に当てなんか無かったから、必死にしがみついて毎日ヘロヘロになってたな。
でも、そんな生活ももう終わる...
これから34階建てのビルから飛び降りて楽になるのだ。ただここから3歩歩くだけで楽になれる。こんな楽な「楽への成り方」はグーグルで調べてもこれ以上のものは出てこないのだ!
死への恐怖よりも、辛いことが今日で終わるというなんとも言えない気持ちの方が大きいのだ。
そろそろ歩くとするか。
1歩、2歩...
「いやちょっと待て。俺が死んだ後パソコンのデータはどうなるっ!こっそりと集めてきた同人誌、エロゲ、ヒロインの香澄ちゃんは、俺が4年もかけて集めた『はだいろ画像』はどうなってしまうんだ!母さんにバレるのが一番きついんだけど...いやいや俺が死んだら俺は別に恥ずかしい思いはしないか...いや、でも俺のプライドが許さない。やっぱり今日はやるか」
そう思い帰ろうと1歩踏み出した瞬間、感じたことの無い下からの風やとてつもない重力を感じた。へ?待って、コレヤバクナイデスカネ...いやいやいやいやこんなゴミみたいな死に方は嫌なんだけど。天国のじいちゃんになんて説明すればいいんだよ…自殺はやめようと決意して帰ろうとしたら進む方向間違えて落ちちゃった☆てへ☆っ言えばいいのか?おい。
あちゃー、死んだわこれ。
『加藤亮一・37歳・独身・童貞・実家暮らし・ブラック企業務め...あなたの転生先はアモリスクです』
誰だよ、お前は。てか、女子高生のTwitterのプロフ欄みたいな紹介やめてくれ...アホみたいじゃん。...童貞は言わなくていいだろ!
てか、転生とか言ってたけど、何それラノベ?俺のヒロインは貧乳金髪ツンデレエルフな。決定事項なんだからっ!
そして俺は感じたことのないとてつも長い時間(13秒くらい)を空中で過ごし、見慣れたアスファルトに頭を打った。
※
俺は見慣れない部屋?空間?にいた。俺は椅子に座っていて手を手錠?リング?みたいなやつで縛られてた。何ここ、拷問部屋?よく見てたA〇でこんな椅子見たことあるわ。初めては優しくして欲しいな...アホくさ
暫くすると、女の人が現れた。もしも女神という者が本当に存在しているんだとしたら、きっとこの人のようなことを言うのだろうか。人間離れした、アイドルやモデルとは全く異なる美貌。シルクのようなサラサラとした髪。膝まで伸びているロングだ。因みに髪色は銀色。CかDくらいであろうか。なかなかいい形をしている。俺の童貞データを侮るなよ。毎日毎日パソコンで見ていたデータだ。狂いはない、安心しろ。やっぱりデカすぎず、小さすぎない丁度いいよな。おっとすまん、考え事はここまでにしよう。
「私は地球担当の女神ユリス。加藤亮一さん、死後の世界へようこそ。あなたは不幸にも亡くなってしまいました。」
不幸にも、て俺にとっては計画してたことだから全然不幸じゃないもんっ。方向間違えただけだもんっ!
「因みに...言いづらいのですが...先程から亮一さんが考えていることは全てこちら側に筒抜けになっておりますので...あまりそのエッチな事は考えないでくださいっ!」
ユリスは一気に赤面した。マンガだったら「シュボッ」っていう効果音がつきそうなくらいだ。可愛いな。こんな人が俺の妻だったら毎日元気に暮らせたな。
ユリスは俺をじっと睨んだ。世間でいうジト目というやつだ。可愛い。
「もう!...ふざけないで下さい」
ユリスは怒った顔も可愛いな。
てか、なんで俺縛られてんの?すっげぇ今更なんだけどなんで縛られてんの?SMでもすんの?
「しませんよぅ...魂が飛んでいかないようにリングで腕を固定してるんです。なんでリングなのかは分かりませんけど...」
なるほど。でも何で俺は椅子に座ってんの?お茶会でもするのか?
「しませんってば!今からあなたはアモリスクに転生します。そこでです...!」
あ〜この〇ば見てた俺はこのあとの展開がわかったわ。欲しいモノをいえって奴でしょ。それでお前だって言えばええんやろ?
「それは無理です...」
魔剣〇ラムって言えばいいのか?
「それも無理です...」
は?使えな...
「申し訳ありません。私まだこの仕事について127年な者でして...あまり性能のいい武器は与えることが出来ないんですよ。」
因みに37年間の記憶は消えないんですかね?
「はい、そのようなことは心配ありません!私に任せてください!」
じゃあ何にしよう。じゃあその世界の『攻略本』が欲しい。
「世界の攻略本は厚すぎるのでアモリスク兼加藤亮一対応万能ガイドさんを派遣します。何かご要望はありますか?」
万能ガイドはすげぇ助かるな。出来ればエロゲヒロインの香澄ちゃんの声がいいな。CV中山美里で顔は超美人!ユリスくらい。Dくらいでお願いシャス。
「亮一さんはエッチですね...正直引きます。でもお願いは承りました。あ、あと転生後に特典が付きますのでお楽しみにしていてください」
ユリスはウフフと笑った。
その瞬間リングは外され椅子から放り出された。椅子の方を見てみたら凄い離れていた。200メートルくらい弾かれたのか。マジか...遠くの方でユリスが
「私は地球担当の女神ユリス...」
と言っていた。テンプレ乙とでも言っておこう。
※
今更なんだけど、どうやって転生すればいいんだ。ユリスに聞いておけばよかった。そう思っていると、誰かがこちら側に走ってくる。髪型からして女の子だろうか。女の子は俺の前に立って自己紹介を始めた。
「私の名前はユナ。あなたのガイド兼メイドだよ☆」
あ?ふざけてんのかコイツ。確かに声は中山美里だよ?顔もめちゃくちゃ可愛いよ?Dくらいあるよ?でもさぁ、性格が俺のタイプじゃないんだよ...
「あー!なんか今私の事、嫌な目で見たでしょー?これでも私女学校では何をしても1位のちょーゆーしゅーなメイドなんだよ!」
ユナはエッヘンと胸を張ってる。黙ってれば可愛い系のやつか。まあ、悪いやつではなさそうだし俺も自己紹介しておくか。
「俺の名前は加藤亮一。前世はブラック企業で働いてた。」
エッヘンとカッコつけてみた。クソダサい売り文句すぎて自分で自分が可哀想に思えてきた...
「ぶらっくきぎょう?何それ、大人の会社?」
んんん?もしやコイツブラック企業知らんのか...
「ブラック企業って言うのはね、労働法の基準を無視して給料に見合わない労働をさせ続ける会社のことだよ」
「え?そんなところで働いてたとか亮一君はドレイなの?」
はは。笑えねぇ冗談やめてくれよ。てか亮一君とか久しぶりに呼ばれたよ。23年ぶりくらいだわ。
「ユナは日本人なの?それともアモリスクの人?」
「どっちも違うよ。私はユリス様に作られたガイドさんだよ」
おお、そうか。人を作り出すとかマジで神様やってんだな、ユリスは。
「てか、どうやったらアモリスクに行けるの?教えて、ユナちゃん」
「ユナちゃんとかキモい。ユナでいいよ。アモリスクはね、この道をずっと進めばつくよ。もう行こっか」
えぇ...キモいって言われたよ。ショックだよ。俺は項垂れながら中途半端な返事をした。
※
アモリスクの世界の入口まで俺の人生の話とかこれからの計画とかをユナと話した。
「ほら着いたよ。亮一君」
「あぁ」
気付けば入口に到着していた。これから俺の異世界ハーレムが始まるとなると心が踊るな。そう思い、俺は1歩、2歩...と足を進めた。
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