虐ものフレンズ

みずかん

①サーバル

サンドバッグ

重い箱を搬入する。

男手2人でも、とても重労働だ。


「いや、ここまでで結構だ。ありがとう」


「はぁ、はい。ありがとうございました」


制帽を脱ぎ一礼して去って行った。


「さてと」


ニヤニヤしながら箱を開けた。


「まだ寝てるよ...」


腕にはタグが巻かれている。


「5万の価値があるかな...。

おい、起きろ。起きるんだ」


声のボリュームを上げて、言った。


「うみゃぁ...、ここどこ...?」


「お兄さんのお家だよ」


「おにいさん...?」


周りが理解出来てないのはわかる。

その見知らぬ男は丸い2つの輪っかのようなものを持っている。


「えっ」






「離してよっ!!降ろして!!」


天井から両手を吊るされ、足は縛られ、

自由に身動きが取れない。


「うるせえな」


「パークに帰してっ...」


「うるせえっつってんだろ」


思いっきり蹴られる。


「うぐっ...」


ブランコのように揺れる。


「手が痛いよ...」


目に涙を浮かべ、訴える。

特殊な手錠で吊るされているので、

そう簡単には壊れない。


「サーバル。お前は今日から

サンドバッグになってもらう」


「な、なにそれ...」


そう尋ねると硬い拳で2回腹を殴られた。


「あああぁぁぁぁ....」


苦しい顔をする。


「俺のトレーニングの道具になってもらう。いいな」


「はぁ...はぁぁ....」


両手で腹を抑えたかったがその両手は天井にあるので抑えられない。

その前に、既に手の感覚がなかった。

血が巡らず、麻痺したのかもしれない。


「お前は逃げ出せない。大人しくしてろ」


そう言い残し、男は立ち去った。




サーバルはこの日から、サンドバッグと

なった。




「ゲホッ、ウグッ、ゲッ、やめっ」


男はボクシングをやめない。

時折、蹴りも出す。

それが絶えず、30分間も行われた。


男は一度、5分間だけ、休憩する。

それが唯一の幸いだ。


「はぁっ...、はぁ....」

(お腹が...、痛いよ...)


男は吊り下げられているサーバルの服を捲り、状況を確認した。

下腹部から臍の上辺りが、赤くなっている。


「ははっ」


そう笑いながら、パンパンと

平手で赤く腫れてる所を叩いた。


「痛っ、痛い...」


「おお、痛いのか」


愉快に笑いながら言った。


5分の休憩の後、男は最初に。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あぁぁぁっ...」


痛みが退かない。

血がボタボタと垂れてるかもしれない。

男に思いっきり、急所を蹴られた。


そのまま、連続で腹も殴られる。

その度に身体が揺れて、手首も痛くなる。


「いたいよぉおおお....!!!!

たすけて...、みらっゲホッ...

ガハッ...、ガハッ...」


顔がぐしゃぐしゃになるくらい

泣くがその悲鳴は男には届かない。


また30分間、お腹を強く殴られ続けた。


夜は男が寝るので、殴られない。


けど、痛くて痛くて、啜り泣いた。


「痛いよぉ...、痛いよぉ...」





ある日の朝


「グハァッ...」


思いっきり腹パンをされ目が覚めた。

もう手の感覚がハッキリない。

両手が切断されたような気分だ。


「よし、今日は気分を変えてみるか」


男は拘束している鎖を解き、久々に地上に降ろされる。

しかし、感覚が全く無く、空中浮遊に近い感じだった。


だが、それも束の間だった。


今度は足に鎖を付けられ、上に吊り下げられる。つまり、逆立ち状態。


「あぁぁ...」


重力に従い服が捲れる。


「邪魔だよなぁ...」


そう言って、男はサーバルの服を脱がしはじめた。

手足が動かせない彼女は、させるがままだ。


衣を何一つ身につけず逆さ吊りにされる。彼はつまらなそうな目で少女の裸体を見る。実際、彼自身女性には興味が無い。彼女のアザだらけの腹部を見ても特に思うことも心配も無い。


「さ、さぶいよぉ...」


「うるせえ」


それなりに発育した胸を問答無用で強く蹴った。


「痛っ...」


今まで傷つけられなかった分、余計に痛い。


「あだっ...!」


無言で顔まで蹴られた。


痛くない所がなくなって行った。



数ヶ月後。


背中側もやられ、全身アザだらけ。

顔は醜く腫れ上がっている。

喋ることもままならない。

胸には痛々しい傷もある。


助けが来ることを祈り続けたが、誰も来なかった。ずっと男のサンドバッグとして1日1度の食事を無理矢理取らされ、地獄を生きてきた。身体中、茨が巻き付けてある様に痛く、言葉ももう出せない。サバンナで草原をもう一度駆け巡るという夢は、もう叶いそうもない。

せめてもの願いは、この男に天罰が下る事だ。


真夜中は男が寝る。唯一の平和な時間。

普段は夜行性だから、眠くはならないはずなのに、今日はものすごく眠い。

軽く目を閉じる。


目の前には懐かしいサバンナの光景。

青い空、明るい太陽。

友達も沢山いる。

ずっと幸せに暮らしたい。


けものの少女は涙を流し、

友達のいる広い草原へと駆けていった。














男が朝、部屋に入ると違和感を覚えた。


彼女の身体を何ヶ所か触れ、確かめる。


「チッ...、所詮安物か」


彼女を降ろし、庭に運んだ。

自ら重機で大きな穴を掘り、ゴミを投げ捨てた。

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