第83話

「……まったく、レナは素直じゃないんだから。あの発言をした時はヒヤヒヤしたよ」


 レティアが居なくなり、レナとグランハルトの二人きりとなった空間で、彼はその静寂を切り裂くようにそう言った。

 レナは踵を返し、グランハルトと向かい合った。


「彼処で仮に迷ったり逃げるような、弱気な行動が見られるようなら、私は本気であの女王サマの顔に風穴を空けていたよ」

「そんなことしたら死罪確定だよ? 後悔しないの?」

「グランハルト、お前だって知っているだろう? 私が貴族……さらには王族を恨んでいるということを」


 その言葉にグランハルトは静かに頷いた。彼女の目には熱い炎が燃え上がっているようにも見えた。

 彼女が王族や貴族を毛嫌いしているのは彼が一番知っていた。それを見ると、何だかんだでレナはグランハルトのことを信頼しているのだろう。


「確かにあいつは典型的な貴族サマだった。だから仕えるかどうか試したんだ」

「またまた。実は『実際に戦争を乗り越えることが出来るかどうか、彼女を鍛え上げようとした』んでしょ? 解るよ〜、それくらい」

「……解っていたのか」

「そりゃあ、長い付き合いだからね。まぁ、それくらいは」


 グランハルトは微笑む。

 レナはそれに微笑みで返した。


「あ〜っ、やっぱりレナの微笑みが一番だよ。ねっ? 付き合おう? キスしよう? 手を繋ごう? ××しよう?」

「おいこら最後なんて言った」


 最後の単語は、こんな時間に大声で言うことでもなかった。

 戒めの意味を込めてレナはグランハルトの頬にビンタを食らわせた。


「痛い! 痛いよ、レナ! あぁっ……でもこの痛みもいずれ快感に変わる時が来る! レナはその日を夢見ているのかな!? だったらいいよ! 僕の身体を好きにするがいい! 煮るなり焼くなり、僕のその痛みが、快感に変わるまで!」


 グランハルトは両手を広げて、そう言った。

 レナはそれを無視して、外に出た。


「あ、あれーっ! レナっ、待ってよ!」


 彼女としてはこんな変態男、待つまでもないと思っているために、その言葉を無視した。

 早歩きしながら、レナは呟く。


「あれさえ無ければ完璧なのになぁ……どうして私はあんな奴に惚れちまったんだか」


 残念ながら、その言葉がグランハルトに届くことは無かった。

 『バックアップ』のリーダーはレナ、副リーダーはグランハルトが勤めている。レナがリーダーを勤めているのは、彼女がバックアップの中でも優秀な存在だったからということと、グランハルトが副リーダーを勤めているのは、彼女の横暴さを止めることができる存在だからということで抜擢されている。

 即ち、国としてもレナの性格は重々承知している、ということだ。


「さあ、これから作戦会議と行くわよ」


 レナとグランハルトが会議室に入った時には、すでにほかの八人のメンバーはスタンバイしていた。それも当然、今回のミーティングは出撃三十分前に突如開催されたもので、ほかのメンバーにとっては急いで準備をしておきたい気持ちでいっぱいなのだ。


「こんな時間にミーティングなんて……とか思っているでしょうけれど、まあ話を聞いて。そんな時間はかからないと思う。恐らく……五分くらいで終わるかな」

「まあ、そんなものかと」


 レナの言葉にグランハルトは続けた。


「作戦会議というよりも、作戦を確認するほうが正しい。これから我々は三十分後にここを出動し、ガルタス基地へと向かう。そこにて、一度駐留を行う予定だ。その後、法王庁自治領へと向かい、バルタザール騎士団を見つける。見つけ次第確保し、連れ帰ること」

「そういえば、リリーファーについてはどうすれば?」


 バックアップの一人からの質問を聞いて、レナは頷く。


「いい質問だな。それに関しては簡単だ。バルタザール騎士団のそれぞれに起動従士がいるはず。その連中に乗ってってもらう。さすがに牽引車を持っていくと、時間と手間がかかってしまうからな。それまでに処刑でもされてしまうか、拷問の末に起動従士としての役務を果たせない身体になってしまっていたら……もっと面倒な話になってしまう。再確認ではあるが、我々『バックアップ』を含めた起動従士は国際条約で捕虜時の人権が認められていない。即ち、捕虜になってしまったら最後、諸君は人としての権利を奪われ、人として扱われることもなくなる可能性もある……ということだ。まあ、みんな知っているとは思うが、改めて心してもらいたい」


 レナの言葉にメンバーが一同頷く。

 グランハルトはそれを見ていて、彼女は統率力を持っていること、そして彼女が真面目に今回の任務を実行してくれるようであることを確認して、小さく溜息を吐いた。


「どうした、グランハルト。どこか様子でも悪いのか?」

「いいや。寧ろすこぶるいいですよ」

「……気持ち悪い」

「何今はっきりと『気持ち悪い』って言いましたよね?! なんでですか! 俺何も悪いこと言ってないでしょう!」

「あんたが言ってないと思っていても、私はそう聞こえるのよ」

「それはひどい……」


 そこまで話して周りを見ると、メンバーがグランハルトとレナの痴話喧嘩を見て小さく溜息を吐いていた。まるで、そんなもの見飽きたからさっさと話を進めてくれ、と言いたげだった。

 それに気づいて、グランハルトは咳払いをする。


「それでは、総員リリーファーに乗り込んでくれ、以上!」



 ――終わりよければすべてよし。



 これはグランハルトの座右の銘であった。



 ◇◇◇



 レナとグランハルトによる会議を終えた『バックアップ』のメンバーは急いで彼らが乗り込むリリーファーの場所へと向かっていた。

 そもそもこのリリーファーは彼らの所有するものではない。第一起動従士は彼ら専用のリリーファーしか乗らないので、実質彼らの所有物となっているが、この場合はバックアップのメンバーで使いまわす。バックアップのメンバーは何もここにいるだけのメンバーではない。その総数は三十名近くいる。そして、その中から実力・運・技術力・知能などのパラメータを総合的に考えて、ある水準を満たしたメンバー十名が参加している。即ち、リーダーであるレナと副リーダーであるグランハルトは彼らよりもその水準以上のパラメータを持っている――ということになるのだ。


「……ふう」


 その中の一人、リミシア・グルーペイトは荷物を床に置いて小さく溜息を吐いた。

 彼女が乗るリリーファーは、カーネルから接収された『ムラサメ』の一機である。ムラサメはリリーファーとしての完成度も高く、出来ることならば正規の騎士団に使用したかったところだが、騎士団の使用しているリリーファーはすでに交換できないほど親和性が高かったために、急遽バックアップに使われることとなった。

 即ち、バックアップの彼らにとってはそれに乗れることこそステータスであり、時には『第一起動従士に一番近いリリーファー』などと言われることもある。皮肉が多く混じった文言が語られるほど、このムラサメは彼らの間では有名となっていたのだ。

 そんなムラサメに、今回の作戦で乗ることが許されたのはリーダーのレナ、副リーダーのグランハルトのほかに、彼女ともうひとりの起動従士であった。

 リミシアは自信を持っていた。もし今回の作戦で成果を上げることができれば、第一起動従士への昇格も考えられる――ということを、常に頭の中に浮かべていた。いつも彼女は第一起動従士として活躍するヴィジョンを考えている。そういうハイな気持ちで臨むことで、彼女はそれなりにいい成果を上げてきたのだ。そしてその成果を今日という日まで積み上げてきたのだ。


「この作戦を成功させれば……」


 リミシアは唇から笑みが溢れる。それはきっと、いつものように第一起動従士として活躍するヴィジョンが現実ののもになってしまうのだという期待からだろう。言い換えれば、『傲慢』や『怠惰』にも思える話だが。

 リミシアは直ぐにそれをやめて、再び荷物を持った。そしてそれをコックピットの中へと運んでいく。

 それは彼女が一番必要とするものだ。彼女はそれがなくてはいけない。それがなくては本気で行動することができないのだ。

 コックピットに座り、荷物が入った箱からあるものを取り出す。

 それはぬいぐるみだった。ピンク色の、決して綺麗に手入れされていたとはいえない、うさぎのぬいぐるみだった。

 彼女はそれに抱きついて、匂いを嗅いだ。いい香りだった。いつも洗濯しているからこそ、石鹸の香りが広がる。

 しかしこれがあまり綺麗でない理由は、簡単だ。これが彼女の小さい頃から使用しているものだから――である。これは彼女が、起動従士訓練学校に入る五年前、即ち五歳の時から使用している。眠るときや落ち着かないとき、大事なことがある前には必ずこのぬいぐるみを抱いて、香りを嗅ぐ。すると心が落ち着いていくのだ。

 ちなみにこのぬいぐるみには名前がついている。その名前はクーチカ。どこの言葉かも解らないが、彼女はずっとこのぬいぐるみ――クーチカを抱いていた。大事なことの前にも、寝る前にも、考え事をしていてうまくまとまらない時も、落ち着かない時も。

 そして、今もそうだ。彼女はクーチカを抱いていた。


「……この作戦、絶対に成功させてやるんだから」


 そう言って、彼女はその目を輝かせた。



 ――今回の作戦で成功させて、第一起動従士になる。



 そう思っているのは、別にリミシアだけではない。レナもグランハルトも、またほかのメンバーでもそうだ。彼らは第一起動従士として日の目を見るために活動している。『バックアップ』という名前からも解るとおり、第一起動従士に何かあった時に彼らは出動して、任務を遂行する。いつもは鍛錬やシミュレーションをするだけであり、実務によるリリーファー操縦は殆どない。

 だからこそ彼らはこの作戦を、半ば楽しみにしていた面もある。リリーファーを実際に動かすことができるのは、第一起動従士でなければそう多くない。バックアップである彼らに、実戦というチャンスが与えられるのは少ないのだ。

 だからといって、実戦を苦手とするわけではない。彼らはシミュレーション及びバックアップどうしの模擬戦などによって様々なパターンを実行している。だが、実戦でそのパターンが使われるかどうかは、神のみぞ知るところである。


『総員、リリーファーコックピットに搭乗しているか?』


 リミシアの乗るコックピットへ、レナから通信が入った。


「こちらリミシア。ええ、無事コックピットに乗っているわ。いつでも出動オッケーよ」

『了解した』


 リミシアの報告に、レナは短く答える。

 短い沈黙のあとに、レナから再び通信が入る。


『それでは総員、リリーファーコントローラを握り、準備に入れ。私のリリーファーから順次発進する。目的地は……今更確認するまでもないが、ガルタス基地だ。解らなくなったら私に通信を入れること、以上!』


 そして、『バックアップ』のメンバー十名が乗り込んだリリーファーが、レナ・メリーヘルクの搭乗したリリーファーを先頭に出動した。



 その頃ペイパス王国、その首都にある王城ではある式が行われていた。

 王の間の玉座には、今イサドラ・ペイパスが座っている。昨日までは未だ正式な手順を踏んでいないために、正式に『国王』と名乗ることは出来なかったが、今日をもって彼女は、正式にペイパス王国の国王となるわけだ。

 達筆な字で書かれた国法の前文について読み上げる。

 ペイパス国法の前文は、非常に簡単なものであった。



 ――我が国は、眠れる獅子であれ。国を守るための力を蓄え、国が脅かされた時には、獅子を起こした罰を与えよ。



 それは軍国主義を主張するような文でもあったが、強ちその理解で間違いではない。

 ペイパス王国はアースガルドやヴァリエイブルに比べれば戦力が少ない、弱小国家である。しかしながら、ペイパスには様々な観光地があったり、鉱山が存在したりなど、他国からしてみれば喉から手が出るほど国家予算が潤沢に手に入る国でもあった。

 しかし、それはあくまでペイパスが軍事予算に肩を並べる程に観光地や鉱山を保護するための予算をかけているからこそ……の話である。そしてそれは他国も知っていたことで、だからペイパスと協力しようという国が殆どであった。

 だが、ついに恐れていた事態が発生した。ペイパスで一番強い起動従士が彼の『インフィニティ』に殺されたのだ。

 話を聞いてみるとどうも最初に仕掛けたのはペイパスの方からとなっているが、結果的にペイパスの牙城が崩れることとなった。

 そしてヴァリエイブルは一騎士団を率いてペイパスに和平交渉という名の『占領』を行った。前国王は、それに怒りを顕にさせたが、その場で殺害された。

 このような経緯もあり、ペイパス王国が改めて独立をするという今日この時のために、新しくペイパス王国の大臣職に就いたラフター・エンデバイロンを主導として、国法を大きく改正することになったのだ。

 前文こそ大きく変更してはいないが、他の条文については大幅に削除或いは改訂或いは追加を行った。

 眠れる獅子を起こした罰を――。それはペイパス王国の前文、そしてそれから意味することは、軍国主義への転換であった。

 もはやこの世界、この時代において『平和主義』など甘いことを言っている場合ではない。結局は力がこの世界を制するのだ。それを、その意味を、どうして彼らは知らなかったのだろうか? どうして彼らは気付かなかったのだろうか?

 イサドラがそんなことを考えているのかどうかは、果たして解らないが、玉座から立ち上がり、マイクの前に立ち止まった。


「――私は」


 マイクを前にして、イサドラは言った。声を出すと僅かにマイクがハウリングを起こした。


「私は、本日をもって、正式な手順の上、国王という位に就く。それはとても素晴らしいことだ。それはとても称賛されるべきことだ。ただしそれをするには……少々時間のタイミングが悪いものとなった」


 イサドラは小さく俯いた。

 しかし直ぐに顔を上げ、話を続ける。


「私は急に国王になった人間です。普通ならば様々な学問を学び、それを知識として得た上で、さらに正式な手順を踏んでいくことで私は国王へとなることが出来ます。……しかしながら、今回はそれを行いませんでした。理由は簡単です、私の父……元国王がヴァリエイブルに殺されてしまったからです」


 イサドラは涙を流しそうになったが、それを堪えた。

 国王たる者弱さを見せてはいけない――というのは、彼女の父親が生前イサドラに言っていたことだったからだ。

 国王は名前の通り国のトップだ。一番の地位を誇る存在である。そんな国王が弱さを見せてしまっては、人はついていかない――彼はそれを知っていたし、何れその座を継ぐ可能性があるイサドラにはそれで失敗してほしくないという彼なりの優しさというものもあった。

 だから彼女は、国民の前では決して涙を流さないと、そう心に決めたのだった。


「私はその行動に深く傷つき、そして、深く悲しみました。どうして人々は争いを繰り広げなくてはならないのか。どうして人々は同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか? ……それは私にも解りませんし、誰しもが納得出来る解答が出せる人間など、そう簡単に居ないでしょう」


 もはや彼女の言葉に異議を唱える人間などいない。

 彼女の演説を聞こうと、ただ耳を傾けていた。


「だから私は――その争いを止めたいのです。同じ過ちを繰り返してはいけない。繰り返すわけにはいかないのです。……だから私はここに宣言します、私がこの国を治めている間に、『戦争のない、平和な世界』を実現する……と!」


 その演説が終わって直ぐ、空間を沈黙が支配した。

 そして、その沈黙を切り裂くようにある一人が小さく拍手した。それに賛同するように、それに呼応するように一つ、また一つと拍手が広がっていく。

 沈黙に代わって拍手がその空間を支配するまでに、そう時間はかからなかった。



「素晴らしい演説でした、国王陛下」


 イサドラが自分の部屋に入り、先ずソファに座った。そして小さく溜め息を吐いたところで、彼女に声がかかった。

 それが彼女のお付きであるメイド、メイルの声だということに気付くまで、そう時間はかからなかった。


「なんだ、メイルか……。驚かせないでよ……」

「ひどくお疲れのようでしたので、声をかけるかどうか悩みましたが、私としてはベッドの方で御休みになられた方が良いと思いましたので声を……」

「あぁ……うそ、わたし、そんなに疲れている顔に見えたの?」

「はい」


 残念ながら、といったような感じでメイルは頷く。

 イサドラはそれを聞いて、ソファに座り直す。


「……仕方ないわね。現に疲れていたから。重鎮ばかりがいる会場でスピーチをするなんて、緊張しないほうがおかしいわ。だって殆どが見たことの無い人間ばかりなんだもの」

「でも、それであれほどのスピーチが出来るのはさすがです。きっと神の御加護があったのでしょう」


 メイルが言うと、イサドラは苦い顔を浮かべた。


「もし神の御加護なんてものがあったなら、だったらお父様を生かせてくれればよかったのよ。それならば巧くいった。お父様なら私以上に戦争を解決してくれたはずよ」

「……すいませんでした」


 メイルは短い沈黙のあと、謝罪した。イサドラは突然の行為に訳が解らないようであった。


「め、メイル。どうしたの? 頭を上げてちうだい」

「私は、未だ国王陛下の心の傷が癒えていないことを考えることなく、不用意で不本意な発言をしてしまいました……悔やんでも悔やみきれません」

「いいのよ、メイル。顔を上げて」


 二回目の指示で、メイルは漸く頭を上げた。


「……国王陛下。先程の無礼、何卒御許しください」

「あなたと私の仲でしょう。大丈夫よ」

「ありがとうございます」


 メイルは感謝の意を込めて、小さく頭を下げた。


「ところで……お茶をお淹れしましょうか? 疲れによく効く紅茶を、このときのために仕入れておきましたよ」

「紅茶……それもいいわね。何か付け合わせのものってあったりする?」

「バタークッキーとチョコレートソースを御用意してあります」

「さすがメイルね。言わなくても私の好きなものを解ってる」

「ええ、それはもう長い付き合いになりますから」


 メイルは頷く。そして沸かしていたティーポットに茶葉を入れた袋を落とした。直ぐにお湯は色づき、煌々と濃い赤色に染まっていく。それとともに爽やかな香りが部屋いっぱいに広がっていく。


「うーん……いい香りね。早く飲みたいわ……!」


 身体を震わせてイサドラは言う。

 しかしそれに対してメイルは悪戯っぽく微笑んだ。


「未だですよ。茶葉はゆっくり、そして確りと湯に味と香りが移るまで時間がかかりますから。そう慌てなくてもティータイムは逃げていきません」

「えー、メイルの意地悪~!」

「意地悪でけっこうです。美味しくない紅茶を飲むくらいだったら私はこの仕事を辞めてもいいですね」


 メイルはそう言った。その口調は冗談めいて見えなかったので、イサドラは口を窄めて、ただそれを待つことにした。

 もしかしたら今国王である彼女にここまで口出しできるのは、メイルだけなのかもしれない。それも、長年ずっと彼女がイサドラに仕えているから、その信頼のあかしなのだろう。

 イサドラは紅茶の香りを嗅いで、目を瞑った。


「……ほんと、いい香りね。この紅茶」

「この香りを嗅いでいるとリラックス効果があるそうですよ。それに、緊張も解れるそうです」

「その効果があるんだったら、もう少し前にもらってもよかったんじゃないの?」

「……それもそうですね」

「わざとね、メイル」

「いいえ、全然」


 メイルは微笑む。

 それを見ているとなんだか馬鹿らしくなって、イサドラはバタークッキーを一枚手にとってそれを頬張った。

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