第77話
「仰々しいタイトルだな……」
そう言って、彼女はスマートフォンに落としたデータを読み始めていった。
インフィニティには起動従士のサポート等のため、高性能な人工知能が搭載している。
音声制御型オペレーティング・システム『フロネシス』。
それは他のリリーファーにはない、インフィニティ独自の機能だ。付けない理由は、科学技術が追い付いていないだとかそういう問題ではなく、ただ単に『付ける必要がない』のである。
自らでリリーファーを持っている起動従士は、大体がエリートになっている。シミュレートや学習、及び実戦によって様々なパターンの戦闘を行ってきたその知識によって、自分なりのリリーファーの『動かし方』が身に付いていくのだ。
しかし、インフィニティの場合はどうだろうか。フロネシスは音声制御によりリリーファーの操縦を補佐する役目にある。即ち、言葉を発することさえ出来ればインフィニティの操縦は可能だということだ(無論、起動従士の『適性』が無ければならないが)。
ここで問題となるのは、フロネシスは何処までの制御を行ってくれるのか? ということについてだ。音声制御型オペレーティング・システム等と仰々しい言い方をしているが、たった一言で括るならば――フロネシスは『人工知能』だということだろう。
人工知能を作るとき、その動作については様々なパターンを入力し記憶媒体に保存しておく。そしてパターンと実際にあったことの差分を取って、どのパターンを使うべきかを、人工知能自身で考えるのだ。
だから、新たに起きたパターンについては――もっというなら一度も経験のないパターンについて、という話だが――簡単に対処が出来ない。一度そのパターンを経験して、人工知能自身が『学習』することで初めてそのパターンと実際の出来事を照らし合わせることが出来る。
即ち、初めて戦う相手の対処法は一度戦ってみなければ話にならないということになる。これは非常に非効率である。だからこそ、リリーファーへの高いスペックの人工知能搭載を忌み嫌っているのだ。一度戦った敵ならば簡単に倒せるのか、と言われて即座に倒すことは出来ない。敵によってパターンを変えたり、もちろん中身は人間だから、毎回同じパターンで来るはずもない。人間であることに変わりはないのだから、中身の起動従士は機械的に毎回の行動を細かく記憶しているはずなく、少しずつずれてしまうものなのである。
「だから、人工知能だけでリリーファーを完全に制御することは出来ない。出来るはずがない」
マーズは独りごちる。その声は、誰も居ない空間に霧散していった。
当初、リリーファーに人工知能を搭載して無人で運転することが出来るシステム――ダミーパイロットシステムを国は導入しようとしていた。しかし、安全性を問題に廃止された。ダミーパイロットシステムの試用実験において人間が何人か死んでしまったからだとか、そんな暗い噂が付随するくらいだが、その噂は所詮噂に過ぎず、それが本当かどうかは解らない。
インフィニティが開発されたのは、今のようにリリーファーの開発制度が整っていた頃の話ではない。もっと昔の話だ。だから、人工知能搭載が廃止されていないのは頷ける話である。
しかし、問題はここからだ。今の時代では未だリリーファーに搭載して自動的に安全に運転することが可能な人工知能は開発されていない。
にもかかわらず、この世界には『フロネシス』が存在している。もはやそれはオーバーテクノロジーの類に入ることだろう。そして、そのフロネシスが搭載されているインフィニティを操縦できるのが、まったくの一般人でリリーファーの操縦経験がなく、かつ異世界からやってきた崇人だけだった。
「……どうして、この世界の人間があれを使うことが出来なかったのか」
マーズもかつて、インフィニティの適性を試したことがある。
しかしコックピットに乗ることもできなかった。インフィニティ――ひいてはフロネシス側がそれを拒否したのだ。そういうケースはほかの起動従士にも見られ、恐らくヴァリエイブルの名だたる起動従士はその適性を試したのではないか――そう言われるほどだった。
だが、最終的にインフィニティに乗ることができたのは、どこから来たかもわからない(マーズとラグストリアル以外は知りえないことである)人間だった――そんなことを聞いて、自らの実力を一番だと自負している幾人かの起動従士は憤慨した。
しかしながら、ラグストリアルはそれをどうにかして宥めた。インフィニティは最強のリリーファー、最強のリリーファーには起動従士を選ぶ権利だってある、と。その理論は少しばかり飛び抜けているが、起動従士たちはそれで納得せざるを得なかった。王の言葉だからだ。
だが、今は違う。ラグストリアルが死んでしまったことによって、その言葉の意味が無くなってしまったに等しい。ともなれば、インフィニティを狙う起動従士が出てもおかしくはない。
そんな場面に陥ったとき、崇人は果たして身を守ることが出来るのか。
「元はといえば、私があの時『インフィニティ』を勧めなければ何も話は進まなかったのかもしれないな」
そう言って、ため息をつく。あの時あの場所で――マーズ・リッペンバーは、スーツを着た三十五歳の姿の大野崇人にこう言った。
――≪インフィニティ≫を起動させろ。
思えば、それが凡ての始まりだった。戦争が始まっただとかそういうわけではない。マーズがそれを言ったことで崇人はインフィニティに乗ることを決断した。しかしそれを引き金として、インフィニティを見て戦術的撤退を余儀なくされたリリーファーがその後、崇人の友人を殺害した。そして、それによってインフィニティは『暴走』し――。
「インフィニティの暴走……あれはあまりにも強すぎる」
強すぎるかわりに、制御不能なそれはまさに獣のそれと同義だった。
インフィニティは史上最強にして、史上最悪のリリーファーだ。
報告書はそう綴って、終了している。
「……ん? この前の暴走の件が、これだけで終わっている……だと?」
マーズは報告書を読み終わると、ひとつの疑問が浮かび上がった。
それは、マーズも知りたかった、この前の『暴走』の件についてまったく報告されていないのだ。まるで腫れ物にでも触るかのように、『暴走したケースもあり、起動従士の精神は必ずしも強固とはいえない』などと書かれているだけで、それ以上の情報がまったくないのだ。
気になったマーズは再びスマートフォンを操り、メリアに電話をする。
電話に出たメリアに即座にその話を振った。
『……暴走、ね。やはりあなたはそれにツッコミを入れると思っていたわ』
メリアは言葉を濁らせながらも、そう答えた。
「どうしてこれには『暴走』についての報告が上がっていないの? まさか、調べていない……なんて言わないでしょうね」
『まさか! きちんと調べたわよ!』
「なら、どうして載せないのよ」
マーズはさらにそう言う。
メリアは言葉を濁していたが、意を決したのか、トーンを下げて、
『……この話は、オフレコで頼むわよ』
そう言って、さらに話を続けた。
『あなたに送った報告書は、訂正版なのよ。「暴走」に関する記述を殆ど削除したバージョン……とでも言えばいいかしら。ほかにも様々なブラッシュアップが施されているけれどね』
「……誰の指示でそんなことを」
『三賢人のリベール・キャスボンよ。あんただって知っているはずでしょう?』
「ああ」
マーズはその顔を頭に思い描いて、直ぐにそのキャンパスから消去した。
「あのいけ好かない男ね。……あいつがそれを命じたの?」
『そうよ。理由はわからない。けれど、「暴走についてはこれ以上の調査を一切してはならない」と釘を刺されてね。そのデータも凡て持って行かれたわ』
「……何のために?」
『それが解れば苦労しないわよ。……ともかく、私も調べてはいるけれどここ最近「三賢人」の監視が強まっているのよ。私の電話回線はダミーを流しているから何とかなってるけど、それでもバレるのは時間の問題でしょうね』
「三賢人は……何かを隠しているのか?」
『恐らく、ね。まだ確証は掴めないけれど』
「そうか……。解った、ありがとう」
そして、マーズは電話を切った。
その日の午後、ハリー騎士団とメルキオール騎士団、及びアフロディーテの船長らは会議を開いていた。
議題は専らこのあとの作戦についてであった。
「これから我々はこのレパルギュアを拠点として、ヘヴンズ・ゲートへと向かう。ヘヴンズ・ゲートの位置は?」
ラウフラッドはセレナに訊ねる。
セレナは情報端末を操作しながら、答えた。
「ここから北へ三キロレヌルもいけば、ヘヴンズ・ゲートが眠る地下洞窟があることは、既に空のレーダーから確認済みです」
「ヘヴンズ・ゲートとは、地下にあったのか……」
マーズの言葉を聞いて、セレナは頷く。
「ええ。我々も地上にあるものではないか、などと思っていましたが……思った以上に厄介です。地下ともなれば進撃が難しいでしょうし、リリーファーの進撃はほぼ不可能でしょうから」
「……ならば、どうしろというんだ」
今ここに居る軍人の、実に四割が起動従士だ。残り六割は一般兵士であるには変わりないが、殆どがアフロディーテの船員であるために、彼らが出動するとなるとアフロディーテが蛻の殻になってしまう。
「小型のリリーファー……『クライン』ならばなんとかなるでしょう。クラインは第二保管庫に六台程置いてあります」
「我々に、乗っているリリーファーを捨てろ、とでも言うのか?!」
台を叩いて大声を張り上げたのはメルキオール騎士団のグランデ・バールだった。グランデは腕利きの起動従士で、リリーファー『プロミネンス』に乗っている。その操縦は神業とも呼べるもので、ヴァルベリーからの信頼も厚い。
そんな彼からしてみれば、ずっと戦争やら作戦やらで使用してきたリリーファーではなく、別のリリーファーに乗り換えるという行為をするとなると、怒り心頭に発するのだろう。
「捨てろ、というわけではありません。あくまで今回の作戦だけでも、そのリリーファーに乗っていただきたく……」
「洞窟を破壊していけばいい! 上から破壊して、ヘヴンズ・ゲートを滅多打ちにするだけでいいではないか!」
グランデは言う。それを聞いて「やれやれ」というような口ぶりでセレナは答えた。
「……上からの攻撃は『インフィニティ』『アレス』『アシュヴィン』、それに『ガネーシャ』の四機にて行います。残りは『クライン』に乗り込み洞窟内部に潜入する……といった形です」
「そんなことで我々が納得するとでも思っているのか! 四機のうち三機がハリー騎士団で、どうして我々は一機のみの出動となるのか、それについても納得のいく説明を求める!」
「よさないか、グランデ」
見かねたヴァルベリーがグランデの言葉を制する前に、ウィリアムはそう言った。
それを聞いてヴァルベリーは目を丸くしたが、直ぐに冷静を取り戻す。
対してグランデは予想外の人物から、自分の行動を否定されたことで、怒りの矛先をそちらに変更する。
「ウィリアム……きさま、一般兵士の肩を持つつもりか?」
「一般兵士は悪いことを言っていないだろう。それに、一般兵士への明らかな差別的行為は法律で禁止されているはずだが」
「御託ばかり並べやがって……!」
グランデはそう言って、ウィリアムの胸ぐらを掴んだ。ウィリアムは座っていたため、強制的に立ち上がらされる。だがウィリアムはそれを見てただ無表情のままグランデを見つめていた。
「おい、何とか言えよ!」
グランデは声を荒げて言った。
しかし、それでもウィリアムは答えなかった。
「いいかげんにしろ、グランデ!」
ヴァルベリーが言ったのは、そのタイミングでのことであった。
「さっきから見ていればお前は……。やれ、『自分のリリーファーから降りろ』だの『自分の騎士団の割合が少ない』だの、集団から見ればありえない発言ばかり口にしているな。まったく、お前がメルキオール騎士団にいて、私はとても恥ずかしいよ」
「ですが、団長! 我々は蔑まされているのですよ、ハリー騎士団なんて学生ばかりが作ったグループ活動じゃないですか! しかもハリー騎士団なんて所詮あのインフィニティの保管のためだって聞いたこともあります! 騎士団長は来たばかり、それについ最近まで精神にダメージを受けて入院していた……即ちリハビリが殆ど完了していないということです。にもかかわらず、今回の作戦で『インフィニティ』をトップにして進めろ? そう言われて納得するはずがありません!!」
「……決定は絶対だ。そして、命令も絶対だ」
長い溜息をついて、ヴァルベリーは答えた。
「団長!」
「うるさい。お前はまだこの騎士団の評価を下げていくつもりか?」
ヴァルベリーの言葉に、グランデは思わず黙った。
ヴァルベリーは再び溜息をついて、グランデへの話を続ける。
「お前は今まで私が厚い信頼をおけるような、そんな活躍をしてきていた。しかし、言葉というものはどんなものよりも残酷でスマートに入ってくるものだ。口は災いの元……だなんて話もあるが、まさにそのとおりだ」
ヴァルベリーは歌うように、そう言った。
その声に、グランデは思わず頭を掻いた。
「……な、何をおっしゃっているのかよく解らないのですが……」
「そうか? なら、自分の胸に手を当てて、よく考えてみてくれよ。私はもうこれ以上話をする気もない。これ以上作戦会議を中断させてまで言う内容でもないからだ。……ああ、そうだ。強いて言うなら――」
ヴァルベリーはグランデを指差して、冷たい声で言い放った。
「――お前は今日をもってメルキオール騎士団から出て行ってもらう。リリーファーにも乗ってはいけない。事実上の、一般兵士への『降格処分』と思ってもらって構わない」
一般兵士への降格処分は、騎士団の団長が騎士団構成員に命令出来る罰則の中でも一番厳しいものであった。当然だろう、一般兵士への降格ということは、今まで起動従士として受けることの出来た待遇が凡て剥ぎ取られ、さらにリリーファーに搭乗することも許されない。
降格処分された起動従士が、再び起動従士となってどこかの騎士団に入りなおすためには、起動従士になるための訓練を再び受ける必要がある。そしてその訓練は最低でも一年近くかかるとされているし、さらに騎士団に入れたとしても『降格処分を受けたこと』の烙印は一生消えることはない。
起動従士からすれば、絶対に受けたくない処分の一つである。
「……なんでですか、なんで私が……!!」
グランデはヴァルベリーの方を向いて、そう激昂した。
しかしヴァルベリーはそれを気にすることなく、テーブルの方へ向き直った。
「すまなかったな、中断させてしまって。さて、話を続けよう」
「こちらを向け、ヴァルベリー・ロックンアリアー!!」
もはや彼にとって、それは『団長』ではない。
ヴァルベリー・ロックンアリアーというひとりの人間に過ぎない。
ヴァルベリーはそれを聞いて、立ち上がると、ゆっくりと歩き出した。
そして彼女は、グランデの目の前で立ち止まると、グランデを睨みつけた。そして直ぐにヴァルベリーは憂いを含んだ眼差しでグランデを見つめた。
「……なんだ、その目つきは! 私に同情でもしているのか、私を慰めてくれるとでもいうのか! 私を起動従士から降格させておいて、よくそんな目つきが出来るな!!」
「己惚≪うぬぼ≫れるな、馬鹿が」
ヴァルベリーはグランデの顎を持ち上げた。
「そんな馬鹿で耳も腐るような発言をしたのはこの口か? この口を縫い合わせて、もう貴様が何も言えないように仕立ててやろうか。それが嫌ならさっさと去れ。お前も私の騎士団に在籍していたならば、知っているだろう。私は手を抜かない女であるということをな」
それを聞いたグランデの表情は、もはや誰から見ても真っ青であった。
「……どうした? それが嫌ならさっさと去れ。私はそう言ったはずだが?」
グランデはそれを聞いて、踵を返すと、何も言わずに会議場を後にした。
「さて……それでは話の続きとさせていただきましょうか」
セレナは今までのことを、まるで無かったかのようにして話を続けた。
「ヘヴンズ・ゲートへの行き方というのが……実は少々厄介な事となっています」
「厄介なこと?」
マーズが訊ねる。
頷いて、セレナは話を続けた。
「ええ。先程も申し上げたとおりヘヴンズ・ゲートまでは北に三キロレヌルとそう遠い距離ではありません。ですが、その合間には山脈があるのです」
「山脈……そういえばこのレパルギュアは山の麓にあるところだったな」
ハリー騎士団とメルキオール騎士団が占領したレパルギュアという港は、山の中腹にある町だ。しかしながら、山の中腹から海となっているために、彼女たちがこれから向かうヘヴンズ・ゲートは海水面よりも低い土地ということになる。
それは彼女たちも問題視していたことであるし、気になっていたことであった。
事前に資料を読み込んでいたとき、ヘヴンズ・ゲート自治区の内陸部における標高は殆どが水面下であったからだ。
「この会議に参加している人たちならばお分かりの通り、ヘヴンズ・ゲートの近辺は昔から水害に悩まれていた、というケースは入ってきていません。恐らくはレパルギュアのところにある山脈が海水を塞き止める形となっているからでしょう。しかし、科学で証明できることであっても、ここに住む人たちはひたすらに、『ヘヴンズ・ゲートのおかげである』というのです」
「まるで狂信者だな」
ラウフラッドが低い、深みのある声で呟いた。
セレナの説明は続く。
「そして、ヘヴンズ・ゲートは先程も言ったとおり地下にあります。洞窟の奥にそれは鎮座している……そう言われていますが、あくまでも予想です。そこに行ったこともありませんから」
「何が起きるかすら解らない……そう言いたいわけね?」
マーズの言葉にセレナは頷く。
「そのとおりです。そして、ヘヴンズ・ゲートの上空を確認したところ、多数のリリーファーの存在が確認されています。恐らく……」
「『|聖騎士≪セイクリッド≫』。法王庁の所持するリリーファー、だな」
そう呟いたのはウィリアム。彼もまた起動従士だからこそ、事前のチェックは欠かさない。
聖騎士、という名前を聞いて会議に参加している面々は、先程の水中戦を思い浮かべた。ヴァリエイブルのリリーファーがまったく使えない状況にある水面下において、マックスの実力を誇った『聖騎士』の姿だ。
もしそれと同性能、或いはそれ以上の性能を持った聖騎士がいるとするのならば、彼女たちに勝ち目はあるのだろうか?
会議に参加している面々は、少なくともその可能性を危惧していた。
「……まあ、つまりそいつらを倒せばいいんだよな?」
そう発言したのは、崇人だった。
そして彼の発言によって、暗いイメージを思い描いていたほかの人間から、そのイメージが払拭された。
彼らは思い出したのだ。ここには最強のリリーファー、インフィニティがいるのだということに。
セレナもまた、崇人の発言を聞いて、我に返ると、その質問に答えた。
「は、はい。今のところ上空から確認できたのはそれだけです。あとは解りませんが、最低でもそれだけを倒すことができれば洞窟への侵入は可能になるかと」
「こそこそ隠れることがないだけ、カーネルよりかはマシだな」
「タカト……まさか、倒すことが出来るというの? 聖騎士は強いのよ。あなたは確かにさっき倒したけれど――」
「大丈夫だ。それに、暗い気持ちで行けば勝てる戦いも勝てないだろ?」
マーズの言葉を遮って、崇人はそう答えた。
マーズはそう言う崇人のことを、心配していた。当然だろう、つい先程まで精神にダメージを負っていたのに、漸く治って出てこれたのだから。その後遺症が出てきて、いつそれがフラッシュバックされるかも解らないというのだから。
「インフィニティの起動従士がそう言うのだから、俺たちは百人力だな」
そうヴィエンスは皮肉混じりに言った。
崇人はヴィエンスの方を見て微笑むと、
「ああ、任せろ」
そう答えた。
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