雨音と私

放課後の教室

窓越しに雨を見ていた

からり

教室の扉が開く

「……早めに帰りなさい」

みなから『不思議なカッコ良い』と言われるルックスの先生だ

からから

「せんせい」

扉を閉めようとした手を止めてくれた

雨が窓を打つ

「せんせい、すきです」

激しく窓が水滴のせいで鳴る

絞り出した、喉から出たかすれ声は届いただろうか

風も強くなってガタガタと響く

「……早めに帰りなさい」

からから、ぱたん

教室には雨音と私

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る