鳥瞰の日々

不知火白夜

数年前

 関西某所に存在するとある地方都市、色崎しきざき市。比較的自然に恵まれているその町に、少し変わった――独特な家族が住む大きめの一軒家があった。


 とある日の夕暮れに差し掛かる頃。西洋風住宅のキッチンに、トントンと小気味よい音が響く。包丁で野菜を切る音が少年の足をキッチンへと向かわせる。


「お父さん、手伝おうか?」

「あぁ、ありがとう信濃しなの。なら、そこのサラダの味付けしてくれるかな?」

「えっ、いいの?」

「もちろん。信濃は料理上手だし、手伝ってもらえて助かるよ」


 そう言われて、少年は嬉しそうに調味料を手に取った。

 黒い癖っ毛が特徴的な彼は三男、市河信濃いちかわ しなの。小学三年生。共にキッチンにいるのは、彼の父である海陽かいよう。暗く濃い茶色の短髪に、少しだけ日に焼けたような肌と、とても逞しく大柄な体格が特徴だ。どこか怖そうと思われることもある彼だが、穏やかで優しい父である。

 所属するスケートクラブからの帰宅後、信濃はこうして父と夕飯をつくるのが日常だ。

 サラダボウルにある一口大にされた大量のトマトとキュウリに、これまた一口大に切ったクリームチーズを入れる。そのサラダに酢やオリーブオイル、醤油や柚子胡椒を混ぜたドレッシングをかけて混ぜ合わせる。爽やかな柚子の味がちょうど良いアクセントとなり、上手い具合に仕上がったのではないかと信濃は自分でも思った。

 海陽がサラダの味見をすれば、彼は素直に美味しいと微笑む。嬉しくて思わず頬が緩み、上機嫌のまま盛りつけを行おうと食器棚に手をかけた。

 その時、玄関から賑やかな声が耳に届く。お腹空いた、疲れたと会話をする声に、信濃は一旦玄関へと向かう。


「二人ともおかえり」

「あ、しな兄ただいま!」

「ただいま」

雄和ゆうわつばめのおむかえありがとね」

「すぐそこだからね」


 信濃の視線の先にいるのは、日に焼けた肌と色素の薄い髪が特徴的な溌剌とした少年と、黒いストレートの短髪の、大人しそうな少年が二人。彼等は信濃の弟達である四男の雄和ゆうわと五男のつばめだ。

 雄和は、所属する陸上クラブでの練習の後、弟である燕と共に帰宅した。練習場所はふたりとも学校の敷地内であるため、時間さえ合えば共に帰ってくることも多い。

 彼等は汗を流してきたばかりなのだろう。その証拠といえる運動着は汗でまみれている。


「洗うのそれだけ? どろどろになってるのとかない?」

「大丈夫、よごれがひどいのは自分で洗うから」

「それに、しな兄はごはんつくっとるんやろ? 洗うのはオレと燕でするから」


 信濃の言葉に淡々と燕が言葉を返して、雄和が笑顔で続きを言い、二人はそれぞれ洗濯物を手に風呂場へと向かう。

 そっかあ、と言葉を返して信濃はキッチンへと戻り改めて盛りつけに取り掛かる。サラダ用の小皿を六つ。みんなできるだけ均等になるように、サラダを掬って小分けにしていく。

 その様子に気がついた海陽が慌てて口にした。


「あ、信濃ごめん。今日は双葉ふたばさんが帰ってくるから、双葉さんの分残しといてくれるかな?」

「あ、うん。分かった」


 双葉ふたばとは母の名前である。つまりは母が帰ってくる。仕事熱心な母が帰ってくる。それは当たり前のことであるのだが、それを恐れるように心がドキリと跳ねた気がした。自然に返事をできただろうかと悩みながら、素直に一人分余るようにサラダを盛り付ける。

 ちらりと海陽を一瞥すれば、彼は刻んだ具を鍋に投入している途中だった。どんな表情をしているのかはよく見えないが、それでもいい反応ではないというのはなんとなく分かった。

 ひとり物憂げな反応をする信濃に、風呂場に行っていたはずの雄和が声をかける。


「しな兄どしたん? そんな暗い顔して。あ、そのサラダを一口もらってもええ?」

「……お母さん帰ってくるって」

「えっ」


 洗濯はどうしたという気も起きず、信濃は1つ目の質問にだけ答えた。すると、雄和の表情は明らかに引き攣ったかと思うと、栗色の瞳がしどろもどろに泳ぐ。

 動揺するのは自分だけではないのだとどこか安堵しながら、怯えるように掠れた呻き声をあげる雄和を見つめる。そして数秒後。


「そ、そうかあ、なんや、明日思ってたけど、今日やったか」


 明るい声を無理やり絞り出した雄和は、へらへらと笑いながら気を紛らわすようにリビングにあるベビーベッドへと足を向けた。その先にいるのは赤ん坊だ。


「雄和。舞ちゃんまだ寝てるんだから、静かにね」

「……うん」


 海陽の言葉に返事をした雄和は、ベッドですやすやと眠る妹の舞鶴まいづるをじっと見つめていた。まだ生まれて一年も経っていない妹は、意図せず周囲に発生した不穏さに全く影響されることなく眠っている。

 可愛らしい動物を模したぬいぐるみを手に握りしめており、時々なにかに反応するように口を動かしている。

 雄和が、ふくふくと膨らんだ頬をつついてしまおうかと思って手を伸ばしかけた傍ら。

 再び玄関から音が聞こえ、雄和は思わずびくりと肩を跳ねさせる。しかし、その後に聞こえた声にほっと安堵した。


「ただいま」


 やけに低い声のち、なにか重いものを床に置いた衝撃音がする。その声は母ではなく、次男のにしきだ。彼もまた、クラブからの帰りだった。


「……おかえり、錦兄ちゃん」

「おう、ただいま」


 洗濯を終えて風呂場から出てきた燕が、錦の隣に立ち、練習着やタオルが入った鞄をじっと見つめたかと思うと、燕は小さく訊ねた。


「洗うものある?」

「あるけど自分でやるから大丈夫だ。燕はあっちいって飯の手伝いでもしてろ」


 素っ気なく言葉を返した錦に小さく返事をして、燕はキッチンへと歩いていき、海陽の隣で立ち止まった。


「お父さん、手伝うことある?」

「うーん、そうだね、じゃあフォークとか並べてもらおうかな?」

「うん」


 できるだけ目線を合わせて言った海陽に、燕は素直に返事をする。

 机に並べられているのは、信濃が作ったサラダと、いい具合に焦げ目がついた肉厚のハンバーグだ。他にも付け合せに小皿料理がいくつもあり、それに加えてスープもある。それは燕にも豪勢に映ったようで、フォークやナイフを人数分並べながら呟く。


「今日のご飯はごうかだ……」

「双葉さんが、お肉が食べたいって言ったからね。みんなもお肉好きだろう」

「うん、好き」


 母が帰ってくるという事実に動揺を見せることは特に無く、燕は食事が豪華であるということに顔を輝かす。その様子を見て、海陽は安心したように口元を緩ませた。


「じゃあ、みんな手を洗ってきて。ご飯にしようか」


 家族が全員揃ったというわけではないが、できたての夕食を前にいつまでも待てというのも酷であろうと海陽は促す。

 雄和が、母や長兄が帰ってきていないことを気にかけたが、幸い双葉には「先に食べていてもいい」と伝えられている。だから大丈夫と海陽が伝えれば、兄弟たちは安心したように椅子に腰掛ける。

 器に盛られた大きなハンバーグにたくさんの付け合せ、大きく盛られた白いご飯。育ち盛りの少年たちにはもってこいだった。

 各自いただきますと口にして食事を始めた頃に姿を見せたのは大きな影だった。


「なんかいい匂いすると思ったら。もうみんなご飯食べてたんだ」

あさひ、おかえり。ごめんね、旭の分もご飯よそうから」

「ただいま、父さん。いいよそれくらいやるから」

「あさ兄おかえり!」

「おかえり、旭兄さん」

「はーい、ただいまー」


 一般家庭のドアより大きなこの家のドアだが、それでも頭をぶつけるのではないかと錯覚するほど大きな彼は、長男の旭。中学一年生ながら非常に大きな体躯であり、その反面妙に高い声が印象的だった。

 旭は、一度部屋を離れて着替えに向かうと、すぐさま食卓に戻る。言葉通りご飯をよそい、小さくいただきますと言って美味しそうに口へ運んでいく。


「旭、今日はちょっと遅かったね」

「うん、友達の練習に付き合ってて」

「そうかそうか。練習に励むのはいいけど、程々にね。やればいいってものでもないから」

「うん」


 中学にて、旭はバレーボール部に所属している。恵まれた体躯や技術を活かして一年生ながら随分と活躍しているらしい。

 和やかに食事は進む。食べ盛りの少年たちは何度もおかわりをして多くの料理を胃に収めていく。美味しいと口にすれば、海陽や信濃はどこか嬉しそうだった。そした食べ終わった者から片付けていき、旭や錦は勉強のためと自室へ向かう。

 丁度その頃、末っ子の舞鶴が目を覚ましたのでミルクを与える。このまま何事もなく一日が終わればいいのに。きっとみんながそう思っていただろう。――しかし、ある声が聞こえたことにより、空気が変わる。


「ただいま」


 妙に機嫌の良さそうな女性の声が、一気に周りを冷たくさせる。


「……おかえり、双葉さん」


 海陽が出迎えた先にいたのは、パンツスーツを身に纏う黒く短い髪の女性、双葉だった。彼女もまた、ほかの家族に漏れず背が非常に高かった。


「ただいま。いい匂いがするわね」

「ハンバーグとかスープとか、いろいろ作ったんですよ」

「そう。着替えてくるから用意しておいてくれる?」

「もちろん」


 双葉から仕事用の鞄を受け取って、海陽はリビングへと戻る。見れば、まだリビングにいた子供たちの表情はぎこちなかった。それを宥めるように一言言った。


「……大丈夫。双葉さん機嫌良さそうだから、静かにしてたらいいよ」


 海陽の呼びかけに信濃と雄和、燕が、こくりと頷いた。

 リビングに戻った双葉は、にこにこと笑顔で食事を進める。丁寧な所作で食べ進めていく彼女はとても上機嫌で、口の端が緩んでいる。だがそれには誰も触れなかった。

 食事を終えた双葉は、徐に皆へ席に着くように促す。当然、自室にいた旭と錦も呼び戻されて、舞鶴は海陽の膝の上でぼんやりとしている。

 只事ではないと、舞鶴以外は理解していた。冷たい空気が場を占める。

 やたらと緊張しているような子供たちと、それ以上に顔を曇らせる海陽。そんな彼等を見回して双葉は話を切り出した。


「今日はみんなに大事な話があるのだけど」

「……はい」

「私と海陽、海外に仕事に行くことになったから」

 えっ、と誰かが小さく声を上げる。その戸惑いを海陽が肯定した。

 そんな彼に、旭が恐る恐る手を挙げつつ不安げに訊ねる。


「……ということは、もしかして、また引っ越すんですか?」


 数年前まで、家族は外国に住んでいた。双葉の仕事の都合で数多の国を転々とするという、刺激的ではあるが慌ただしい日々を繰り返していた。漸く日本で落ち着けることになり、この家を建てたのだが――また以前のような日々に戻ってしまうのだろうかと不安が燻る。

 しかし、それを海陽も双葉も否定した。


「別に引越すわけではないわ。学校もクラブチームも変わるの、嫌でしょ」

「それは、そうですけど……」

「もしかして、母さんがひとり外国にいくんですか」


 雄和が突然、驚いたように大きな声をあげた。少し心配そうな、しかし、どこか嬉しそうともいえる瞳と声で。それを聞いた旭が慌てて諌めようと口を開いたが、遅かった。

 バンッ、と一際強くテーブルが叩かれて、気の立った目が雄和に向いた。

 途端に、大きな音に驚いたらしい舞鶴が、堰を切ったようにわんわんと泣き声をあげる。慌てて海陽があやすために舞鶴を抱きかかえたまま廊下に出たが、それに目を向けることもなく双葉は一言。


「あんたは話を聞いてなかったの?」


 冷たく低い声が雄和の体を震わせて、一気に怯えさせる。同時に、最初に双葉が口にしたことを思い出したのか、ハッと目を見開く。直後、それまで瞳にあった色は一気に失われて沈んだ瞳を泳がせた。


「あ、ご、ごめんなさい……」


 一気に萎縮してしまった雄和が、小さく声を漏らして俯く。それを一瞥して小さく舌打ちをした双葉は、悪態づいた後に言葉を続ける。


「はじめに言ったように、行くのは私と海陽だから。勘違いしないように」


 不機嫌さを引きずったまま双葉は行き先や大凡の期間を話す。行き先はあまり聞き馴染みのない、今まで訪れたことがないような国だった。期間もはっきりしておらずどのくらいのペースで戻れるのかもわからない。それを聞いて、旭が恐る恐る小さく手を挙げる。海陽もにもきっと聞かれたであろう質問を。


「あの、聞いてもいいですか?」

「なに?」

「母さんの体は、大丈夫なんですか? まだ、舞鶴生まれてから一年も経ってないのですよ」

「大丈夫だから行くのよ。あの子が生まれてからかなり休ませてもらったし、それに、行くのは数ヶ月先だから」


 軽く言葉を返して、気にしないでと続けた双葉だが、子供たちの表情は晴れない。体調面だけでなく他にも心配事は多くあるのだろうが、大丈夫と言われてしまえばそれまでなのだ。

 更に旭は質問する。


「……どうして、父さんもいくんですか」


 至極当然の疑問である。海陽は、自宅にて双葉とは関係の無い別の仕事を行っている。

 そうなれば、家族全員で引っ越す訳でもないのに海陽だけ連れていく理由がよく分からない。もしかして今回は彼がいる方がいい案件なのだろうか。皆が疑問に思う中、双葉はあっさりと返す。


「可能なら誰か身内を連れていくようにって言われたからよ。それなら、海陽が一番適切でしょう」


 そう続ける双葉に、一瞬子供たちは驚いたような戸惑ったような表情を見せた。それを見た双葉が苛立ったように荒っぽく言葉を発する。


「何よ。あんたたち、なんか文句でもあるの」


 トゲのあるようなそんな声に、旭はたじろぎつつも徐に口を開く。


「……文句という訳ではないですが、いいですか」

「言いたいことがあるならいいなさい」

「……母さんの個人的な理由ではないのですね」

「そんな理由で連れていくわけないでしょう」

「そう、ですか。すみません。……あの、ひとつ確認を。舞鶴は、連れていかないんですよね」


 自身の問いかけが肯定されたのを確認して、旭は言葉を続ける。妙に高い声が、少しだけ低くなった。


「舞鶴はまだ赤ん坊です。できることなら親が傍にいるべきだと思うのですが」


 双葉は、何も言わず旭を見つめたままだ。いや、睨んだままだ。蛇のような瞳に思わず身震いをした旭だったが、必死に喉を震わせる。


「母さんはおそらく、行き先の治安が良くないから、舞鶴を連れていくのは不安だと思っているのでしょう。それに、こちらには僕達や親戚がいるからいいと思っているのでしょう。ですが、今まで主に面倒をみていた父がいなくなるというのは、舞鶴には辛いことだと思うのです。親戚にも、頼りっぱなしは向こうにも迷惑になると思います。……それに、僕達は兄でありますが全員未成年です。成人した保護者……親がいないというのは多くの不都合があると思うのですが――」

「……ねぇ、旭」


 真剣に話を続けていた旭を遮った声に、びくりと肩を震わせる。それまで以上に冷たく、怒りを孕んだ声と瞳が向けられていた。


「……あんたいつの間にそんな偉くなったの」


 旭の体が、いや、席につく全員の体が竦み、喉締まるような胃が痛むような感覚に襲われる。

 それでも、蚊の鳴くような声を絞り出して旭は否定した。


「そのような、つもりは……」

「じゃなんなの!」


 一層強くテーブルを叩く音が響いて、皆が静まり返る。聞こえるのは、時計の針の音と、廊下から聞こえる泣き声とそれをあやす声。


「そんなつもりがないっていうなら、あんたらは私の話を黙って聞いてりゃいいのよ!」


 目尻を吊り上げて烈火のごとく怒る双葉は、更に感情のままに旭を責める。


「それを旭! あんたは私に逆らって何様のつもりなの! あんたの望み通り改名することも許してやるっていって、改名予定後の名前で呼んでやってるのに偉そうに! 誰のお陰で生活できてると思ってんの!」


 怒鳴り声が旭だけでなく、皆を恐れさせる。肩を跳ねさせる者、顔を伏せる者と反応はそれぞれだが悪影響を及ぼしているのは間違いないだろう。

 もう誰もそれに対して言葉を発するものはいなかった。こんなふうに怒り狂ってしまえば、海陽にだって止めることは難しい。それに、泣き声は未だ止まない。

 ただ大人しく聞いているのが、最善策なのだ。




「それじゃ、行ってくるから、あとのこと宜しくね」

「ごめんね、できるだけ早めに帰ってくるから」


 数ヶ月後、双葉は結局海陽を連れて海外へと向かった。あれから何度か親族が「子供たちだけ置いていくのは心配だ」「如何なものか」とあらゆる説得を試みたが、彼女が意見を変更することは無かった。

 伯母と共に空港まで見送りに行った際の双葉はとてもとても上機嫌で、反面海陽はとても申し訳なさそうに、子供たちを見つめていた。

 際限なく泣き続ける舞鶴を何とかなだめて帰宅した後、ホワイトボードに貼られたとある紙へ目を向ける。自分たちがいない間、気抜けしないようにと作られたルールがそこにはいくつも記載されていた。


「……これ、本当に守らなあかんの?」

「そうだねえ。守らなかったら母さんがどう思うか」

「もう漫画捨てられるの嫌でしょ。我慢するか、友達に見せてもらうとかやるしかないよ」


 不安げな雄和に信濃がそう返して、旭がそう呟いて、ほかの2人にも投げかける。


「錦と燕はどう思う? このルール」

「……どうもこうも、守らなかったら破った本人と兄貴が怒られるだけだろ」

「……選択肢はあってないようなもの……」

「そうなんだけど……」


 嫌なことになったなと思いながら、旭は小さくため息をついた。




 部屋に、大音量のアラーム音が鳴り響く。甲高い電子音を背景に未だ薄暗い部屋で目を覚ました燕は、アラームを止めてゆっくりと体を起こす。

――懐かしい夢だな……。

 そんなことを思いながらベッドから降りて、カーテンを開ければ、まださほど明るくない街は眠、っているように静かだった。

――よかった、晴れてる。

 それを確認した燕は、徐にリビングへと向かう。早く用意をしてロードワークへと向かおう。

 両親が海外に向かったあの年から数年。今年燕は高校生になったばかりだった。

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