27.エゴイスト
ドアの向こうに 倒れて動かなくなったあなたを想像してしまった私は
把手を握る手に力を込めたまま その場に立ち尽くし少しも動けずにいた
本当なら すぐにでも駆けつけなければならないのに・・・
本当なら 泣いている場合などではないのに・・・
ドアの向こうでは きっと世界が正しく廻っていて
私や大切な人が動かなくなることも その正しさに含まれているのかもしれない
だからいつかそんな日が来ても 私は間違っても泣いたりしてはならず すぐに大切な人のもとへと駆けつけ そして動かないことがどういうことなのかを即座に理解しなければならないのだろう
世界は私に少しも取り乱させてはくれず 冷静さを強い 早早に別れの言葉を述べさせるつもりなのか・・・
それが正しさだと言うのなら 私はドアを開けられなくてもいい 把手に触れることすら出来なくていい
あなたが倒れることはあっても 動かなくなることがあるということを 私は知りも解りもしたくない
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