1月

7.哀淋

君が僕のことを忘れても 君の好きだったものを覚えていれば別にいい

もし今好きじゃなくても それをどれだけ好きだったかを思い出せれば問題はない

思い出せたら また好きになるかもしれない

思い出せなくても ふと好きになるかもしれない

だから一向構わない 君が僕のことを忘れても・・・


別にいいんだ 問題はないんだ

僕も忘れるかもしれないんだから

君が僕にとってどれだけ大切だったかを思い出せれば 僕が僕を忘れたって・・・


君の終わりは世界の終わり 僕にとっての君はそんな風

在り来たりな世界の終わり 君からしたら今がそんな風


君が僕のことを忘れたのは 君が君のことを忘れたから

それはきっととても淋しいことで

上手く言葉では言い表せないくらい哀しいこと

だから僕のことを思い出せない君の前では もう冗談を言う意味はない

もう二度と笑うこともない それならいっそ僕は僕を忘れたい・・・


気が付けば僕は僕が誰だか思い出せなくなっていた

それを望んだのが僕だったと僕が思い出すこともなかった

でも僕は 僕には愛した人がいたことを覚えていた

その人が僕にとってどれだけ大切だったかを思い出せたから 別に問題はなかった

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