2019年3月22日(二度寝)

 午前6時30分、早朝受付を行っている役場の出張所の待合室で、バーチャルYouTuberの朝配信を視聴した。放送が終わり、帰宅しようと外に出た。

 出張所の目の前には県道があり、時おり乗用車が横切っていく。その先には護岸工事の施された川があり、護岸ブロックを突き破って生えた木が県道に影を落としている。川は県道の下をくぐって出張所の隣を流れていく。曇り空は冬と春の合間を冬に近づける。見慣れた景色ではないが、どこか郷愁を呼び起こす。

 パーカーとジャケットを忘れたことに気づき、出張所に取りに戻った。

 暖かい格好で自転車に乗り、家路についた。すでに人の住んでいる住宅とまだ分譲前の住宅とが入り混じる住宅地を抜け、平成初期で時間の止まった商店街を通過する。

 ふと、早朝から深夜まで営業している風変わりなおもちゃ屋を見つけ、立ち寄った。個人経営のおもちゃ屋に行った思い出は数えるほどしかないが、それでも懐かしさや好奇心を刺激されるものがある。

 しかし、なにが売っているのかと思えば、ビーズの飾りだったり、やけに派手なデザインのポシェットだったり、およそおもちゃ屋らしくない。今どきはこういう方向転換をしないと店を続けるのも難しいのかもしれない。

 がっかりして、何も買わずに店を出て、再び自転車に乗って帰った。

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