それぞれのふつう

 窓の横にわたしはいる。

 向こうの電線には鳥がとまっている。


 外からは、子供たちの元気な声。幼い子の、甲高い声。

 泣いているのか喜んでいるのか、それだけでは判断できない。


 けれど。


 そんな声を出せるのは、大きな音を立てても心配のない証拠。

 声を出せば信頼する誰かが構ってくれて。

 静寂を保たずとも生きてゆける、平和な環境がそこにあればこそ。

 その子たちが育ってきた環境が、そうであればこそ。


 これが常識であることが、その子たちの世界のふつう。


 その世界がすぐ隣にあることが、わたしのふつう。

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