地を踏みしめる

 足を踏み出すと、その先には。

 今まで踏みしめてきた、後ろにも。

 舗装された道が続く。

 永い間に誰かが踏み固めたところも、踏まれ慣れていないやわらかなところも。

 転べば痛いけれど。

 それは地面にぶつかるから。

 一歩先には確かに地面があって。

 もう一歩先にも地面がある。

 ずっとずっと進んでいけば、そのうちにどこかでそれは途切れる。

 けれど、方向を変えれば、まだまだ大地は続いている。


 この二本の足で、立っているだけでもバランスをとるのが難しいのに。

 一本足で斜めにバランスをとりながら、しっかりともう一本の足で地を踏みしめる。

 その繰り返しで、わたしは歩く。


 しっかりと、足の裏で地面を感じて。

 視覚で地面の起伏を捉えて、脳が無意識に処理をする。


 なんだかそれは、奇跡のようだ。

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