息を深く吸う

 乾いた空気を吸い込んで、盛大にむせる。

 喉は痛くなるけれど。

 冷たい空気は肺いっぱいに広がって、体の熱に温められて。

 吐き出したそれは白く色づいて、すぐに見えなくなって。


 手をのばしてもつかむことはできないけれど。

 それが無ければわたしたちは、生きることができない。

 黒い煙もありふれているけれど。

 あえてそれを吸う必要がないくらいに、わたしは見えない空気に囲まれている。


 これをわたしは、恵まれている環境だと呼びたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る