グラニテ 〜お口直し〜

第一部までのおさらい

このページでは、本作における

・主な登場人物

・頻出の用語について

・魔法に関する設定について

・第一部のおさらい

をまとめています。


*第一部をお読みいただき、これから第二部へと進まれる方。

*第二部まで読み切ったけど、第一部の内容を忘れてしまった方。

*第二部から読みたいので、第一部の概要だけ知りたい方。

*登場人物や用語について確認をしたい方。


……などなど、様々な読者さまご活用いただき、本作をより楽しんでいただければと思います。


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<主な登場人物>



・クレアルド・ラーヴァンス(クレア)


 本作の主人公。第一部序盤では18歳、二年が経過した終盤では20歳。

 容姿端麗で長身。焦げ茶色の髪と瞳を持ち、常に貼り付いたような笑みを浮かべている。

 天涯孤独で、国の戦力となる人間を育てるための軍事養成施設で幼少期を過ごす。

 『この命は、国に忠義を尽くすためにある』という教育の元、有能な剣士として生きてきた。

 10歳の時、特殊部隊アストライアーの隊長であるジェフリーに出会い、剣術に加え隠密(スパイ)技術を叩き込まれる。

 クソ真面目で私利私欲は皆無、任務絶対主義な性格だったが、エリスと出会ったことにより徐々に欲望に忠実な変態と化してゆく。

 要領がよく、非常に器用。特技は変装、ピッキング、経口毒物の判別および耐性、野宿する際のサバイバル技術……などなど。

 『エリスの姿を留めておきたい』という想いから、独学で絵を描くこと(スケッチ)も覚えた。その腕前もかなりのもの。

 潜入捜査などの任務に就くことが多かったため、"相手を油断させるため"常に笑みを浮かべ、敬語で話すという癖が身に付いてしまっている。対人における一人称は『私』だが、本来は『俺』や『自分』である模様。



・エリシア・エヴァンシスカ(エリス)


 本作のヒロイン。第一部序盤で14歳の誕生日を迎え、終盤では16歳になっている。

 大きな赤い瞳とピーチブラウンの髪を持つ美少女。隠れ巨乳で、第一部中にDカップからEカップへと成長を遂げている。

 母親を亡くし、父親であるジェフリーとも幼少期に離別していたため、14歳の誕生日を前にして親戚宅に引き取られる。その後、魔法の習得をすべくグリムワーズ魔法学院に入学し、学生寮で生活することに。

 "美味しいものを食べること"を人生の第一目標にしている。人よりも味覚と嗅覚が鋭く、美味なるものを口にするとオーバーリアクションで悶絶する。

 一見すると天真爛漫だが、"使えるものはなんでも使う"をモットーに、手段を選ばず他を利用する腹黒な一面を持つ。

 頭脳明晰で、魔法学院での成績も優秀。魔法研究に勤しむ中で、空中を漂う不可視の存在・"精霊"を、味覚と嗅覚とで認識できる特異体質であることが発覚する。



・チェルロッタ・ストゥルルソン(チェロ)


 グリムワーズ魔法学院にて教鞭を執る特別栄誉教授。エリスが学院に入学した当初、21歳。第一部終盤では23歳になっている。

 ウェーブがかった長い金髪に、エメラルドグリーンの瞳を持つ長身スレンダー美人。

 "精霊"を小さな瓶に封じ、持ち運びを可能にする技術を生み出した天才魔導研究家。

 品行方正なエリート教師を演じているが、その実態は毎夜欠かさず飲むほどの酒浸り。自室には空にしたワインボトルが散乱しており、ズボラな性格である。

 同性愛者で、生徒であるエリスに想いを寄せている。エリスとのいかがわしい妄想をノートにしたため、官能小説を自作している。

 夢はエリスと二人で、国の平和を守る魔法少女になること。しかし、徐々に付き纏いがしつこくなったため、エリスに疎ましく思われている。



・ジェフリー・ウォルクス


 エリスの実父であり、クレアが所属するアストライアーの元隊長。

 筋肉質な巨体にスキンヘッドという強面。豪快な性格で、任務を遂行するためなら"使えるものはなんでも使う"。

 剣術を学ぶつもりでいたクレア少年を、隠密任務で使えるようにするためスパイ技術をたたきこんだ。

 過激思想を持つ宗教団体を一斉粛清する任務の折、強大な力を持つ"焔の槍"に貫かれ、帰らぬ人となった。

 人情に厚く、クレアを始めとする部下に慕われていた。また、妻と娘のエリスを守るため、特殊な任務に就いていることを伏せたまま離別した過去を持つ。



・ジークベルト・クライツァ


 ジェフリー亡き後、アストライアーの隊長を務めるクレアの上司。

 ロマンスグレーの髪と険しい表情のせいで実年齢より老けて見えるが、30代半ば。

 クレアたちと共に、ジェフリーを死に至らしめた事件の真相を追う。






<用語集>


・アルアビス


 本作の舞台となる国の名称。

 国土の最西端に王都を構え、そこから東に各領地が放射状に広がっている。

 王都の隣がエステルア領。さらにその隣がオーエンズ領。

 魔法研究が盛んな国で、その技術は近隣諸国の中でもかなり高く、先進国と言える。

 優れた軍事力が牽制になっており、ここ五十年ほどは無用な戦争を避けられている。



・"中央セントラル


 アルアビスの政治や法、軍事を統括する組織、またそれらの庁舎が集まる区域の総称。王都の中心部に位置する。

 アルアビス城と、その両端に軍本部、魔法研究所を構え、高い防壁で囲まれている。

 その周辺にはクレアが育った軍事養成施設や実技訓練のための演習場、他国の重役を招く際の迎賓館、クレアの住まいである寮などが置かれている。



・アストライアー


 クレアが所属する部隊の名称。

 アルアビス軍の中でも特殊な任務を遂行する、正規軍とは別働の部隊。

 他国と黒い繋がりのある者や、反乱分子となり得る者を秘密裏に調査・処断するのが主な仕事。

 聞き込み、張り込み、侵入といった隠密調査や、場合によっては疑わしい組織への潜入捜査をすることもある。

 現在、隊員はクレアを含め十六名。十代後半〜二十代の青年と、隊長のジークベルトによって構成されている。






<魔法に関する知識のおさらい>


 魔法を発現させるためには、空気中を漂う不可視の物体・"精霊"に干渉する必要がある。

 水や炎、土や光……といった"精霊"の種類は、確認されているだけでも数十、まだ発見されていないものを含めると数百にも及ぶと言われている。

 用いた精霊の数が多ければ多いほど、魔法の威力は強大になる。


 "精霊"に干渉するには、本来長い長い呪文の詠唱をしなければならない。

 しかし魔法大国・アルアビスでは、その呪文を省略する技術を生み出していた。

 それは、呪符を留めた特殊な指輪リングを身につけ、"魔法陣"を描くというもの。これにより、魔法は人々にとってより身近なものへと変わった。

 が、その場に何の"精霊"が・どれくらいいるのかは認識できないため、どれほどの威力を持った魔法が発現するのかは、やってみなければわからないというのが実情である。


 しかしながら、誰もが魔法の力を自由に操れてしまうのは危険である。

 そのため、アルアビスではしかるべき教育と訓練を受けた者にのみ呪文省略の指輪を与える、という決まりを定めていた。

 そして、そのしかるべき教育を施すべく設立されたのが、国立グリムワーズ魔法学院。

 通称『アカデミー』である。






<第一部までのあらすじ>



「時々でいい。娘を見守ってほしい。そして、あいつの誕生日にこの花を……」


 上司であり恩師でもあったジェフリーの遺言を守るため、クレアは彼の娘・エリスを探していた。

 母親をも亡くし、親戚宅に引き取られたというエリスを訪ねると、彼女は親を失った悲しみを見せることなく逞しく生活していた。

 クレアは気付かれないよう姿を隠しながら彼女を見守り、ジェフリーに託されたマーガレットの花を届ける機を窺う。


 夜。エリスが寝静まるのを待っていると、彼女が奇妙な行動をするのを目撃する。

 それは、部屋の窓を開け、舌を出して空中を舐める、というものだった。

 可憐な少女が外気に舌を晒し、悩ましげに動かす様を垣間見て、クレアは戸惑いながらも欲情してしまう。


 エリスへの尾行を続ける中で、

「空気中に見えないナニカの味を感じる」

「魔法を使えば、そのナニカを利用して食べ物を錬成できるかもしれない」

「魔法を学ぶために、魔法学院を受験する」

 と、母の墓前で語る彼女の言葉を耳にするクレア。

 空中を舐める仕草をしていたのは、見えないナニカの味を感じているためであった。


 エリスは母の死から、『いつ死んでも後悔しないように、毎日美味しいものをお腹いっぱい食べたい』という強い想いを抱いていた。

 物心ついた時から戦士になるためだけに生き、『自分がどう生きたいか』ということすら考えたことがなかったクレアにとって、エリスの生き方は新鮮且つ衝撃的であった。

 そんな彼女に惹かれ、クレアはジェフリーの遺言通りマーガレットの花を届けた後も頻繁にエリスを尾行するようになる。


 半年後。エリスは無事、グリムワーズ魔法学院に入学を果たした。

 学院の校舎および彼女の学生寮は、クレアの住まう軍の中枢・"中央セントラル"のすぐ隣の敷地であった。

 それを良いことに、クレアは学生となったエリスのストーキングを加速させてゆく。


 望む食べ物を魔法で生み出す技術を開発すべく、エリスは友だちも恋人も作らず学業に没頭する。

 そんな学院生活の中でエリスが唯一交流を持っていたのが、特別栄誉教授のチェロであった。

 魔法のスペシャリストであるチェロに教えを請いながら、熱心に勉強をするエリス。しかし、そんなエリスに対し、チェロは密かに恋心を抱いていた。


 一方、ジェフリーを死に追いやった事件の調査を進めていたクレアは、"水瓶男ヴァッサーマン"という怪しい人物の情報を掴んでいた。

 強大な魔力を持ち、使用者を狂戦士バーサーカー化させる武器を以って、人々を危険な思想に導く"水瓶男ヴァッサーマン"……

 特殊部隊アストライアーの新隊長・ジークベルトの指揮の元、クレアはさらなる調査を進める。


 さらに半年後。エリスの誕生日が、再び巡ってきた。

 クレアは今年も「マーガレットの花を届ける」というジェフリーの遺言を守るため、エリスの住まう女子寮への侵入を試みる。

 途中、エリスへの想いを募らせ暴走したチェロと遭遇するなどのハプニングを挟みつつ、クレアはなんとか深夜のエリスの部屋へと忍び込むことに成功する。

 勉強机に花を置くと、クレアは熟睡するエリスの顔を覗き込む。

 可愛らしい寝顔と、パジャマの隙間から覗く深い胸の谷間に釘付けになっていると……寝ぼけたエリスに人差し指を甘噛みされてしまった。

 艶かしい口内の感触に、クレアの理性はついに切れ、彼女の身体をめちゃくちゃに……測定した(メジャーで)。

 長年、潜入捜査を始めとする隠密任務に身を置いていたが故、「彼女のすべてを把握していたい」という欲求が爆発したのだ。

 自身が変態的なストーカーであると自覚し、開き直った彼は、以降躊躇することなくエリスの部屋に無断侵入を繰り返すようになる。


 そうしている間に、エリスは学院アカデミーで二年生に進級。ほぼ同時期に、彼女は衝撃的な事実に気がつく。

 それは……食べ物を魔法で生み出すきっかけになるであろうと考えていた"空気中の見えないナニカ"の味やにおいは、"精霊"そのものの風味である、ということだった。

 通常の人間にはわからないその場にいる"精霊"の種類と数を、味覚と嗅覚とで認識できるということは、意のままに魔法を操る最強の魔導士になれるということに等しい。

 チェロは驚愕し、賞賛するが、エリスは長年夢見た錬金術ならぬ『錬糧術れんりょうじゅつ』への望みが途絶え、絶望する。

 そして、目標を『学院アカデミーの早期卒業』に切り替え、飛び級に値する成果を出すべく再び魔法研究に没頭してゆく。

 目標が変わった途端、お払い箱と言わんばかりの扱いを受けるチェロだが、かえってエリスへの熱烈な気持ちを高ぶらせてゆく。


 そして二年生が終わると同時に、エリスの卒業が決まった。五年制の学院アカデミーを、三年飛び級しての卒業である。

 彼女は自身の精霊認識能力を最大限活用し、新種の精霊を二種類発見。さらに魔法陣をも開発し、それを実用化させるところまで一人でやってのけた。

「もうこの学院で彼女に教えられることはない」

 学院アカデミーの理事長は、一刻も早くエリスを研究者、もしくは魔導士として働かせ、その才能を国のために使ってもらいたいと考えた。

 しかしエリスが希望した仕事は……『治安調査員』。

 アルアビス国内の各領地に出向き、治安を調査する、『身体さえあれば誰にでもできる』と言われる仕事だ。

 しかしエリスは、国から給与をもらいつつ各領地を巡り、その土地ごとの美味・珍味を味わうことができる最高の仕事であると考えていた。

 理事長は「才能が無駄になる」と憤慨するが、エリスは断固として希望を譲らない。

 終いには「治安調査員になれないなら、他国に身売りする」とまで脅しをかけ、理事長を悩ませる。


 その噂を聞いたクレアは、ある妙案を思いつく。

 "水瓶男ヴァッサーマン"がもたらしたとされる武器は、内部に膨大な数の"精霊"が封じられているが故に強大な魔力を発揮していることがわかっていた。

 "水瓶男ヴァッサーマン"の居場所を突き止め決戦となった時に、"精霊"を認識・判別できるエリスがいてくれれば、戦いを有利に進めることができるかもしれない。

 エリスの希望通り『治安調査員』というていで"水瓶男ヴァッサーマン"のいる地まで導き、そのままこちらの任務に協力させるのはどうか、とクレアは上司・ジークベルトに提案する。

 その提案は軍部に認められ、エリスを秘密裏に任務へと導く役割をクレアが仰せつかることになった。


 かくして。クレアは『治安調査員』のパートナーとして、アストライアーの隊員であること・二年前からストーキングしていた事実を隠しながら、エリスと共に目的地・イリオンの街を目指し王都を旅立ったのだった。

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