月と言葉

一 氷の月

 日毎に寒くこの時期、空に浮かぶ月も冷たく冴えた光を放つようになりました。

 今日の題、「氷の月」はそんな冬の月を表す言葉。冬空の、澄み切って氷のように見える月のことを言います。


 冬の月を表す言葉には、他にも凍てついた空にかかる月を表す「寒月かんげつ」、冬の青白く光る月を表す「青月せいげつ」、冬空のもの寂しい雰囲気を表現した「孤月こげつ」、冬至の頃の満月が真上に近いところを通ることからついた「月天心つきてんしん」などがあります。


 どれも、冬の澄んだ空に浮かぶ月を上手く表した言葉です。

 その中でも、今回私が「氷の月」を取り上げたのは、この言葉にはもうひとつ意味があるから。


 その意味は、「水に映った月がきらめくさま」。


 貴方は、水面に映った月を見たことがありますか?

 さざ波ひとつない、まるで鏡のような水面に映る月もいいけれど、夜風で揺れて水面全体をきらきらと輝かせるのも綺麗なもの。

 そんな月のきらめきを「氷の月」と表すと聞いたとき、どんなことを想像するでしょうか。


 私が最初に思ったのは、グラスに氷をいっぱい入れて注いだアイスティー。グラスの中で紅茶が揺れて氷に当たった光が乱反射するあの感じです。

 一気に夏の香りがしてきましたが、池や湖面に月を氷のように浮かべているのだと考えると楽しく思えてきませんか?(笑)


 ※「月天心」は秋の季語として使われる言葉ですが、本来は冬の情景を表すものだそうです。

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