六章目あらすじ
『第六章:高い塔のブルーローズ』
四章目から約一年後。物語が始まる翌日がテリーの15歳の誕生日であった。
今年はスノウ王妃が死ぬ年であり、彼女が死ぬと王であるゴーテル陛下が絶望に打ちひしがれ、国が荒れていく未来が待っている。
しかし、運命は変わりつつある。リトルルビィ、ソフィア、キッド、そして、ニクスが生きている二度目の世界。歴史の変化はそれだけではなく、二年後に行われるはずの妃探しを目的としたリオンの誕生日パーティーが今年になって開催された。
リオンとテリーはスノウ王妃の死を回避するべく、いつ何があってもいいように準備は万全であった。
この日は久しぶりのニクスとの時間でもあったため、テリーは楽しい時間をすごしていたが、自分がニクスに関わるものに嫉妬していることをリオンに指摘される。思春期特有の執着心と嫉妬心に苛まれながらも、リオンとニクスが踊るのを見届けるテリー。そこへキッドがやってきて、テリーに婚約破棄の話を持ちかける。しかし、それは結婚のための口実の話であった。第一王子からの熱いプロポーズに戸惑うテリーを尻目に、とうとうパーティー会場でスノウ王妃が倒れてしまう。王子のプロポーズと王妃が倒れたことで大騒動になる会場から逃げ出すテリーとメニー。エメラルド城を後にした。
後日、テリーはメニーとサリアを連れ、城下町にあるキッドの家へ訪問するが、そこにはキッドはいない。ビリーが言うには、スノウ王妃に盛られた毒を解毒するための材料、ラプンツェルをリオンと共に探しに出かけたのだという。それならば屋敷に帰ろうとするテリーに、思わぬニュース。ベックス家の屋敷に、キッドの妃という名目で、エメラルド城から迎えが来ていた。なんとしてでも逃げたいテリーにニクスがエメラルド城で共に働こうと提案をする。
かくして、テリーはエメラルド城の端にある小宮殿、マールス宮殿で働くメイド、ロザリーとして働くことになった。
先輩メイドのコネッド、仕事仲間のゴールド、ペスカ、ラメールと共に仕事をするがテリーの捜索が続く日々。その中でテリーの名前の由来にもなった『ロザリー人形』に関する都市伝説を聞くことになる。塔に住んでいたお姫様の魂が入った呪いの人形。ロザリーという名の使用人が現れる時、お姫様の魂が入った人形が大切な友人のロザリーに会いにくるのだという。あまりの恐ろしい話に震え上がるテリー。
そんなとある日、ひょんなことからゴーテル陛下の弟であるグレゴリーの娘、セーラとトラブルが起きその場は騒ぎとなるが、その空気を剣で斬るかの如く、一人の姫が現れ事態は深刻となって治まる。
彼女はクレア姫。病弱なキッドの双子の姉である。
以前、銃で撃たれたことがあるため関わりたくなかったが、セーラがクレアにヴァイオリンを弾くよう強要されていたため、テリーが間に入って阻止した。が、その瞬間クレアに目をつけられ、テリーは髪の毛を引っ張られ、宮殿の奥へと引きずられていってしまう。そこにはクレアを探す騎士達が大勢おり、秘書であり、ビリーの兄の場ドルフもクレアを捜索していた。テリーはバドルフに助けられ、クレアを紹介され、また、テリーの正体もばれてしまう。しかし、テリーの父親がバドルフの部下だった経緯もあり、結婚の話もキッドが戻ってきてから二人でするようにということで、テリーの捜索は取りやめとなった。クレアに目をつけられたテリーは、そのまま彼女の暇つぶしのメイドとして扱われるようになる。
クレアと関わるうちに、彼女が弟達を相当嫌っていることが判明する。特に双子の弟のキッドは完璧すぎて悪口が言えず、不満がっているクレアがテリーととある交渉をする。それは、「キッドのネタを持って来たら、一つにつき、テリーの願いをクレアが一つ叶える」というものだった。
テリーがうれうれとキッドのネタを探す中で、ソフィア、リトルルビィ、メニーやドロシーとも再会。
そして、リオンがラプンツェル探しから帰ってくることで、事態は一変する。
解毒薬が作られ、スノウ王妃は回復し、未来は変わった。しかし、過去の人生を踏み台にして変わっていく未来を生きていくことに苦しむテリー。ラプンツェルの毒にやられ、意識のないリオン。苦しむ二人に、さらなる悲劇が待っている。
スノウ王妃が倒れる前に、マールス宮殿にはとある事件が起きていた。それは人が夜な夜な一人ずついなくなるというもの。その事件にニクスが巻き込まれてしまう。いなくなるニクスに絶望するコネッドとテリー。ニクスがいなくなったのは、スノウ王妃の死がニクスに移ったものだというドロシーが言う。そして、そもそもスノウ王妃が亡くなったのはキッドが死んだせい。つまり、その根源のテリーに罪があり、その罪を償うため、今回もテリーの罪滅ぼし活動が始まり、前編は終わる。
後編。
ニクスに再び死が訪れたことを恐れるテリー。元々、何かに勘付いていたニクスがテリーに手がかりとなる日記を残していたため、それを元に調査を始める。そこには、『ブルーローズ』と書かれていた。
スノウ王妃と再会した際に事件のあったエメラルド城を捜索するが、手がかりはなし。しかしここにはキッドの部屋があるため、クレアと共にキッドの部屋に向かう。キッドの部屋の奥にあった扉のパスワードを解いて開けると、その向こうにはベックス家の屋敷にあるテリーの部屋がそのまま作られており、実はテリーを迎えた際に住ませる部屋として作らせたものだった。棚の中には全て合成されたキッドとテリーの愛のアルバムが入っており、絶望に泣き崩れるテリーをあしらいながら、クレアが部屋のじゅうたんを避けたことにより手がかりを発見する。その中にはニクスが調査していた姿を見ていたキッドの部下達による調査の記録が入っていた。
調査を進めながらも仕事をこなしていくテリー。不安がるコネッドと掃除をしていたある日、二人は壁から下水道に落ちてしまう。コネッドと一緒に出口を探している途中で、テリーは亀のようなばけものに襲われる。しかし、リトルルビィの救助があって無事下水道を脱出。ニクスが水を調べていたことから、下水道に何かいるのではと推測する。
後日、クレアと下水道に向かうテリー。そこで亀ではなく、トカゲのようなばけものに襲われるが、クレアが銃で立ち向かい、その強さからトカゲのばけものは逃げていく。目に負傷を負わされ、クレアも塔に帰宅。そこでテリーはメニーが持つ力について、クレアから衝撃の事実を聞いてしまうことになる。
翌日、マールス宮殿に戻ると、今度はメニーがいなくなる事態が発生していた。メニーが消えたことにテリーが喜んでいると、クレアがそれを助太刀するとのこと。ニクスにもらったアンクレットについた金の帽子に呪文を唱えると、天使が現れ、願いを三回叶えてくれるという。その方法をテリーに教えるクレア。テリーがメニーの居場所を教えてと唱えるが、天使は出てこない。ならばとクレアが、今度はニクスの居場所を聞けと提案。今度はテリーが真剣に願ったため、天使達がやってきて、テリーの願いのとおり、ニクスを見つけるためクレアにその道を教えた。
クレアが行方不明者救出のため、塔のエレベーターから地下へ入り込む。そこは下水道にも繋がっているもう一つの地下であった。その道を進むと中毒者が待っていた。ソフィア、リトルルビィ、クレアが戦い、どんどん弱っていく中毒者。その正体は飴を舐めて若返っていたゴールドであった。彼は国の政治に不満を持っており、王族を苦しめるため、その見せしめとして、一日一人地下へさらっていた。不安がっていたコネッドを思い出して憤慨するテリーを察し、クレアが怖がっていた者達、そしてテリーの気持ちを解消するため、ゴールドを拳で殴った。
地下へ進んでいくと、そこにはずっと昔に魔法使い達が住んでいた地下年が残されていた。そこには行方不明となっていた者達が全員閉じ込められており、長くいた者に関してはひどく弱っていた。
ニクスと再会をするテリー。そして、メニーと大切な話をする。
メニーもまた、クレアよりも強力な魔力を持つ者だった。
メニーの父親が、彼女の将来を心配して、誰にもばれないようにとメニーに忠告していたが、そのメニーを置いて他界してしまったのだ。
自分の前なら好きに使っていいと言い、抱きしめてくるテリーに身をゆだねるメニー。しかし、物語の語り手のテリーは見ていないため、抱きしめられたメニーがどんな顔をしていたかはわからない。
その後、ニクスから手がかりにブルーローズと残したのは、咲いていた青い薔薇に魔力が残っていたからだと説明を受ける。青い薔薇を辿っていけば必ず真実にたどり着けるとニクスがその言葉を残していた。しかし、まだ青い薔薇のなぞは解いていない。けれど行方不明者達が全員見つかったこと、中毒者を排除したことから、テリーはもうこれ以上の調査は必要ないと言う。
救助に時間がかかるため、地下都市を眺めるテリーとドロシー。手がかりとして使っていたなぞの日記についてドロシーに問うと、それは西の魔女のものだという。テリーがどうしてそんなに詳しく知っているのと聞くと、ドロシーはそれを見ていたと発言。ドロシーは長生きしており、この地下都市も、友人だった初代の国王に作らせたものだという。
救助された人々の顔を見て、安心するコネッド。再会しあう人々。マールス宮殿には平和が戻ってきたと思われた。
しかし、後日、事件は起きる。
ロザリー人形が青い薔薇を咲かせるため、マールス宮殿中に大量に現れたのだ。
必死に抑えようとするリトルルビィやソフィアの努力もむなしく、どんどん咲いていってしまう人達。歪む空間。テリーは部屋に閉じ込められていたセーラを助け出し、クレアを探しにマールス宮殿の最上階へと走る。
最上階にはキッドが待っていた。
無理やり結婚式を行われそうになるが、そのキッドがキッドではない何かであることが判明し、テリーはそれを言い当てる。参列していたロザリー人形と、キッドの偽者を片付けるクレア。しかし、マールス宮殿の屋根の上には巨大な魔力を秘めた青い薔薇のつぼみが植えつけられ、今にも咲きそうになっている。クレア曰く、咲いてしまうとこのマールス宮殿が闇に覆われてしまうとのこと。闇に覆われないために、世代ごとに救世主が作られ、闇から世界を守っていたとのこと。クレアは、テリーになら全てを解決できるという。クレアは全てを託し、闇に飲み込まれていった。
テリーは天使、そして、カカシ、ブリキ、ライオン、緑の猫、そして、ドロシーに導かれるまま救世主達を目覚めさせていく。目を覚ましたクレアが注射器を向けた犯人こそ、今回の事件の全ての元凶、物知り博士のスペードであった。
中毒者から毒を浄化する薬を作っていたにも関わらず、飴を舐めてしまった博士が今回手を組んだゴールドをエネルギー源として入れたロボットに乗り込み、最後の戦いが始まった。ソフィアの目を借りながら戦っていくリトルルビィ。どんどんロボットを弱らせ、元々ロボットの中に隠れていたクレアが操縦レバーを破壊。やめてと言いながらスペードが修正する頃には、もうロボットの後ろには落下の道しかなかった。そのまま塔から落下していくスペードとゴールドが埋め込まれたロボット。スノウ王妃とキッドの死を引き受けるかのように亡くなっていった。闇を覆う青い薔薇にメニーの魔力と合わせて、クレアが魔力の弾を撃ち放つと、青い薔薇は朽ちてなくなり、闇は消えていった。テリーは塔に登っている最中であったが、事件が終わったと聞いて、その場に座り込んで休憩を始めた。その頃、スペードの跡を継ぐと断言し、助手のクラブが物知り博士となったのであった。
メイド達や使用人が朽ちて消えた青い薔薇の巨大なツルの後片付けに追われる中、塔の屋上でテリーとニクスが事件の真相について語り合っていた。そして、崩れない友情を確かめ合った後、コネッドが二人を迎えに来た。人手がいないから下りてきてくれとのことで、二人が塔から下りようとすると、コネッドがテリーを引き止める。渡したいものがあると言って、テリーに包丁を向けたのであった。テリーをかばい、ニクスがその包丁に腕を刺された。包丁を抜き、再び包丁を向ける笑顔のコネッドに追い詰められるテリー。しかし、セーラがコネッドにペンを投げつける。先にセーラを殺そうと襲い掛かるコネッドに、セーラの後ろから目覚めたリオンによって、剣が顔に投げられた。するとコネッドの顔がどんどん崩れていき、顔の中に顔が存在した。
コネッドこそが、全ての元凶である紫の魔法使い、「オズ」が変装した姿だった。
不穏な空気の中やってくるリトルルビィ、ソフィア、リオン、ニクスが重力で地面に押さえつけられてしまう。クレアが現れてオズを斬るが、全ては幻覚。テリーを迎えに来たメニーに「ボンジュール」と挨拶をするオズ。魔法で地震を起こし、塔を崩そうとする。リトルルビィがセーラとニクスを抱え、ソフィアが笛を吹き、リオンがメニーを守り、塔が崩れていく。バランスを崩したテリーにクレアが手を伸ばすが、その手をテリーが叩いた。お前が相手するのはあいつだとオズに指を指すテリー。その言葉に、クレアがテリーに背を向け、オズに立ち向かう。
そこへ、箒に乗ったドロシーがテリーをキャッチ。いつもの星の杖を持ち、銀のパンプスを光らせてオズに立ち向かうと、オズがドロシーが持っている「星の杖」も、腕に抱えた「トゥエリー」も、自分のものだという。魔法で発動させるが、全ての効果を無にされ、まったく歯が立たない。クレアも剣を向けるが、全て無効にされてしまう。しかし、クレアがスイッチを切り替え、「キッド」になったことにより、剣が通過し、オズの体を刺した。負傷したオズが逃げるように闇へ消えた。
オズがいなくなって落下するクレアの手をつかむドロシー。
「やあ、お姫様! お元気!?」
「元気よ。魔法使い様」
「申し訳ないんだけど、この目つきの鋭い子をお願い出来るかな!? 仕事が残ってるんだ!」
「ああ。任せろ」
「どうもありがとう!」
そう言ってクレアにテリーを任せると、ドロシーが空高く飛んでいく。コウモリが月を包み、地面では野ねずみが立ち上がり、北では白い魔法使いが祈りを捧げ、南では赤い魔法使いが祈りを捧げている中、ドロシーが星の杖を振った。
全て何もなかったことにする魔法を発動し、そこでテリーの意識はなくなった。
夢の中で西の魔女に会うテリー。ガラスの靴が履ける人の元へ行くように言われ、背中を押されると、テリーが目覚めた。なんと、五日間眠っていたとニクスから聞かされる。部屋にはガラスの靴があり、テリーにはそのガラスの靴の持ち主がわかる気がして、ガラスの靴に導かれるまま、持ち主らしき者達へ会いに行く。
リトルルビィ、ソフィア、メニーと会うが、みんなガラスの靴を履ける人物ではなかった。そして、テリー自身も彼女達ではない気がして、一人ずつと話をし、思いを打ち明け、全ての想いに断りを告げた。
塔の前に行くと、クレアが妹と呼ぶロザリー人形と戯れているのを発見し、正面から向き合うテリー。
キッドは存在しない。クレアこそがキッドであり、それも、クレアが演じている王子様がキッドであった。
クレアは二つの人生を送っていた。姫である現実と、王子である舞台。二つの世界はクレアにとっての現実であった。現実は嫌われているお姫様。舞台では好かれている王子様。秘密のなくなったキッドに恐れるものはなくなった。改めてプロポーズをするが、違うと思ったテリーがその想いを断った。そして、心から愛している人がいると伝える。しかしそれが誰だか、テリーにもわからない。わからない以上は結婚するというキッドに、テリーがクレアを呼ぶ。クレアとキッドは同一人物だが、役柄(人物)が違うため巻き込まないでくれといわれるテリー。そこへ風が吹き、目元が隠れたクレアこそが、仮面舞踏会で会い、テリーが一目ぼれした人物であることに気がつく。
クレアに告白するテリー。熱く迫られ、今まで人に好かれてこなかったクレアが戸惑うが、テリーの熱い想いに負け、クレアがそれを受け止める。こうして、作られたキッドではなく、その中にずっと隠れており、人に愛されることを望んでいたクレアがテリーの恋人となった。
しかし、それを許せない深い愛を持つ人物。リオンが感謝の言葉を述べるが、花に八つ当たりをし、せっかくの花達を台無しにしてしまう。
オズを警戒しながら、町へ帰っていくニクス。セーラ。事件を忘れた人々。事件を覚えているニクス、リトルルビィ、ソフィア、メニー、リオン、クレア。ドロシーが隠れるように猫になり、メニーとテリーと一緒に屋敷へと帰っていった。
結婚はなくなったと記者会見をするキッドの姿を見て絶望するアーメンガード。屋敷にて、テリーはバドルフから聞いた疑問をサリアに聞いた。テリーはどこかで、四人で写った王族の写真を見たことがあったのだ。その写真が載った新聞記事が、開かずの間に大切に保管されていた。そこにはクレアが写っており、このことによりこの新聞記事が出されなかったのだと推測。今よりも子供の顔のクレアを見て、テリーが表情をほころばさせた。
もう少しで秋となる季節。そこにはキッドとビリーがりんごを回収していた。家に遊びに来たテリーを抱きしめようとするキッドからよけるテリー。無視してビリーと会話を始めると、隠れていたクレアが姿を現す。そこでようやくテリーがクレアの手に触れたことからクレアの愛が上昇。家の中に入るや否や、テリーを横抱きしていちゃつき始めるのだった。
一方、トゥエリーの日記を見て、ドロシーは記憶を掘り起こしていた。どんどん思い出していく。
昔の大きな冒険を。
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