おとぎ話の悪役令嬢のとある日常(番外編)

石狩なべ

各章のあらすじ

一章目あらすじ


『一章:貴族令嬢は罪滅ぼしに忙しい』


 テリー・ベックスは罪人であった。

 様々な罪が重なり死刑となった彼女は正にギロチンに身を委ねたその瞬間、白い光に包まれた。


 ――というのを思い出したのは、テリーが10歳の時。義妹のメニーの父親が亡くなったとの報告を受けた日であった。テリーの記憶が正しければ、この瞬間からメニーの人生は壮大なものとなる。再婚相手の家で散々こきを使われ、15歳の年にガラスの靴のお陰で王子様と結婚するのだ。

 しかし、プリンセスをこき使った家族である自分達はとある事情で破産し、挙句の果てには牢屋に入れられ、受刑者達が働く工場で働いて、最後には死刑が待っている。


 その事実に、テリーは絶望した。そして、全く記憶と同じことが起きることから、これはなんらかの形で世界の時間が戻ったのだと想定し、メニーを召使にしたがる家族をよそに、メニーを大切にするよう努めるようになる。


 しかし、この世界は時間が戻ったわけではなく、宇宙が一巡し、世界が再び始まったのだという。その魔法を発動させた緑の魔法使いドロシーは、メニーの親友であり、ベックス家の悪行も知っていた。テリーが過去の罪を洗い流し、死刑回避を目指すため、テリーの『罪滅ぼし活動』が始まる。


 さまざまな課題をこなしていくうちに、誰よりも美形の紳士のキッドに出会う。

 キッドの目的は『町の人気者になること』そして、『英雄』となること。


 そんな中、姉のアメリアヌが誘拐されてしまう。しかし、本来、誘拐されるはずだったのはテリーだった。歴史が変わったことに驚きつつ、誘拐された姉のアメリアヌを救出するべく、テリーはキッドに助けを求めることになる。


「婚約者になったら助ける」という脅迫に対し、「だったら自分のボディーガードになりなさい」と条件を持ちかけたことで契約成立。これにてテリーはキッドの婚約者となり、キッドはテリーの優秀なボディーガードとなった。


 アメリアヌを救出後、テリーは犯人の家にて、犯人の豹変した姿を目撃する。それをキッドが撃退。この豹変するものを、彼は「中毒者」と呼んだ。


 そして、キッドは本来この中毒者にここで殺されるはずだった。しかし、テリーがキッドと手を組んだことで運命は大きく変わった。


 アメリアヌが戻ってきて、テリーの説得の元、ベックス家は団結する。メニーはベックス家の末娘としてようやく迎えられた。


 メニーがテリーに懐く中、昔から抱いているメニーの美貌の妬みが忘れられないテリーは、虚しい気持ちを抱いて夜空を見上げる。




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