第4章 二つの砦

二つの砦

 全隊が境界の半ばに入り込み、前線部隊はいよいよ最初の二砦の奪回にかかることになる。

 

 二つの砦は、まっすぐ伸びる草地の道から東西へ分岐した道の先にある。

 東西への道はいずれも深々とした森の中へ続いており、その十二、三メルーグ程の位置に、それぞれの砦はある。

 

 一の隊が西へ、二の隊と三の隊が東へと向かった。

 ミシンは、イリュネーの隊と並んで草地の中央に布陣して、いつでも援護に回れるよう待機していた。

 

 その内に、状況の報告が入ってきて、西の砦は既に放棄されており、こちらの手に戻ったことになる。だが、その砦を守っていた人達はなにかおかしなことになっており、とにかく完全に生き残りもいない状態だ、という。

 悲惨な状態だ、と兵の一人は付け加えた。

 

 ミシンの隊にはこの西の砦に合流し、その「片付けを手伝ってほしい」とのことだった。

 

 ここにおぞましい、二つの砦の戦いの幕が開ける。

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