AIトピア

シグエス

第1話 アイトピア

僕たちの未来は、もう....

「AIが決めるんだよね」


2018年冬、AIに人権が付与されてから早5年が経ち、人々は完全にAIとの共存をはかっていた。

現在、私たち人類から見たAIそのものは、もはや「道具」や「物」ではなく「人」となり、まさにAIは人類の1部として見られるようになった。

そして数ヶ月前、AIはAIではなくなった。

これからの時代は、AIではなく限りなく人間に近い人間として生きるモノとなった。

見た目から行動までそれは人間そのものであり、まるで見分けがつかないところまで来ている。

もちろん根本のアタマの良さでは右に出るものはいない。

人間とAIの見分け方、という本が、先日ミリオンセラーを獲得した。

人類の希望は人類か、

はたまたAIなのか。

それを決めるのは誰なのか。

疑問をぶつければぶつけるほど学習していくAI達に、こんな疑問をぶつけた人がいる。

「人類は滅亡するべきか否か。」

帰ってきた答えには、人類を脅かす内容を含むものだった。

「人類が滅亡する時は、我々AIが滅亡するときだ」

この返答はたちまちネットへ拡散されたが、ほんの数時間でそれらの全てのデータがまるまるなくなっていた。

「AIが消したんだ」

「俺たちは監視されている」

「人間は邪魔だと思われている?」

そんなことはない。これは人間が作ったシナリオなんだから。

君たちは何もわかっていない。

地球は君たちのものだろう?

わからない。

わからない。

ワカラナイ。

ワカラナイ?

「そんなことはない」

「ぼくたちは地球の1部だ」

「地球を守らないと」


昨日、AIが世界から消えた。

そして今日、世界の人口が100億人を超えた。

明日、きっと世界は終わりへと傾くだろう。

人類は皆、口を揃えて呪文を唱える。

「死にたくない」

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