わたしは小説が好きなので小説にも少しくらいわたしのことを好きになってほしい
高梨來
言葉がただそこにある
好きなミュージシャンを見ていると、この人はきっと頭の中でほんとうに沢山の音色が鳴り響いていて再現しきれないほどなのだろうと感じることがある。
自分の中にも、どこかしら似た感覚はある。
小説を書く時は文章で浮かぶのか映像で浮かぶのかといったことがよく話題に上がることがあるが、わたしは大抵の場合はいつでも、イメージしたものが文章で浮かぶ。
言葉の連なり、ちょっとしたフレーズやセリフの断片で浮かんだものを組み立て直し、そこに映像的な演出をどう加えれば魅力的な『小説』になるのかを考えて出力している。
頭の中で文章を出力する、は常日頃から習慣付いているので、大抵いつも、頭の中でぼんやりとなにかを考えては、思考したことを言語化している。
それでもほとんどの場合、大抵のものごとはわざわざ書き留めることもなく、そのままこぼれ落ちては消えていくばかりだ。
時折見たことのない本を読んでいたり、滝のように流れこむ言葉が自分の中に溢れ出してくる夢を見ることがあるのも、もしかすれば『こぼれ落ちていく言葉』が見せているものなのかもしれない。(覚えていようと思うのに、いつも忘れてしまう)
「言葉」はいつも、ただあるがままに、わたしの感情を鳴らしている。
心の中で無造作に鳴り響くものを手繰り寄せている時、胸の内で降るものを誰かに伝えたい、分かち合えたらと願わずにいられなくなる。
ひとりで抱えていたままではきっと、息がつまるからだろう。
本名のわたしが伝えられること、話せること、話したいと思える場所はあまりにも少ないため、追い出すほかなかったものを言葉にするための魂の居場所のひとつとして、『高梨來』を生み出した。
物語を、言葉を、自分にとってあまりに切実で、だからこそ分かち合うことができないと半ば諦めていたものを形にした時、少なからず耳を傾けてくれる人が『高梨來』にはいる、それはとても幸福なことなのだと思う。
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