鬼になった桃太郎
@tetumemo
ボクは鬼ヶ島で目がさめた
なぜか回りが騒がしい・・・。
ドスのきいた下品な笑い声が頭に響く。あまりにも聞きなれない音に違和感を感じ、ボクは目が覚めた。
「おう!お頭、起きたんですか?酒盛りの時に寝るなんて年取りましたね!ガハハハハハッ!」
「っ!?」絶句した。
なぜか目の前に鬼がいる。鬼は倒したはずじゃなかったのか?鬼ヶ島から鬼に奪われた宝を持ち帰り、ジジ、ババと一緒に楽しく暮らしていなかったか?
ボクは困惑したが、迷いより先に口が動いていた。
「おい!鬼どもっ!村から奪った宝はどうした!?なぜボクにやられたのにここにいるんだ?そこで酒盛りしている食料はどうした?また奪ったのか!?」
鬼たちはキョトンとした顔でボクを見つめる。
そして、暗い洞窟内が振動するくらいの大きな声で豪快な笑い声が響きわたった。
「ガハハハハハッ!お頭ー、どうしたんですか?酔ってますね?「鬼どもっ!」って、ガハハハハハッ!宝って何ですか?よくわからねぇですねー、食料は昨日あんたがオレたちを引きつれて山に行ったじゃないですかー。その横にある金棒に血がついたままだし、ほらー、もう一度飲みなおしましょ?」
ふと視線を右下に落とすと、丸太のように太く、黒くゴツゴツした金棒の先にベッタリと血のりが付いていた。
そして、その金棒を手にとろうとした時、はじめて自分の手を見てボクは固まった。
ゴツゴツした丸太のような太い腕、指の一つ一つは小さい女の子の腕くらい太い、爪は刀のように鋭く尖り、そこにある岩を簡単に砕いたり切り裂いたりできそうだ。
体を撫でてみると胸板は盛り上がり鉄のように固い。口からも尖った牙のようなモノが出ていてどんな生き物も粉々に噛み砕いて飲み込めそうだ。
ボクは、今、鬼になってる・・・
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