ヤクザ 対 鬼!!

 剛毅ビシャモンを展開し、鬼山伏と対峙する。


 にらみ合いが続いた後、意を決してぶつかり合う。


 相手の金剛杖を受け流し、ドスで斬りかかった。ハイモ卿とのトレーニングで、敵の攻撃をさばく技術を身につけていたのだ。


 金属音と共に、ドスが手から離れる。


 オレの右手首から先が、なくなっていた。


 金剛杖は二つに分かれている。

 片方には、細身の刀身が覗いていた。


「仕込み杖か!」

「力だけではないのはお互い様よ!」

 金剛杖と仕込み杖の二刀流で、鬼山伏が攻めてくる。


 オレもダッシュして立ち向かう。

 身体を低くして、横一文字をかわした。

 

 だが、オレのパンチもかわされる。

 

 視線の先に、一匹のグールがいた。

 オレの腕を食おうと、大きく口を開けている。


「うわああ、食うな!」

 ダッシュの勢いを付けて、オレはグールを殴り飛ばす。

 間一髪、腕を取り返した。


『これまでの戦いで、ジンギ・剛毅ビシャモンがアップグレードされます』


 なんだ、この脳内音声は?

 頭に浮かんできた説明文によると、オレというか、ビシャモン天のレベルが上がったらしい。


「何を呆けておる? しかと死の方角を向けい!」

 背後から、青鬼が向かってくる。


「せい!」

 四つん這いになったまま、鬼山伏に、空手の蹴りを食らわせた。


 キックはクリーンヒットし、山伏の脇腹を砕く。


 今までがチビだっただけに、思いのほか、リーチが少し伸びた気がする。


「面妖な。急に威力が上がったぞ!」

 鬼山伏も、オレに何が起きたか分かっていない様子だ。


 もう一発、と行きたかったが、ガクンと力が抜けた。


「うわ、しまった。消耗も早いのか!」

 このままでは、まずい。


 鬼山伏の背後に、橋が見えた。

 誰かが、オレに向けて手を上げている。

 口をパクパクとさせながら。


 瞬時に、オレは鬼の右目を打ち抜いた。

「ぬうううう!」


 右目を押さえ、山伏は苦悶の表情を浮かべる。


 オレの刀はミ・スリラーという希少金属製だ。

 それに対して、銃の方に特殊な要素は皆無。威力は低い。

 が、相手の視力を奪う程度には役立つだろう。

 早打ちも訓練したし。


「ま、まだまだぁ!」

 尚も、鬼山伏は諦めない。


 しかし、直後、死角から飛んできた何かに、鬼は身体を突き飛ばされた。今度は、山伏の方が壁にシミを作る羽目に。


 さっき右目を潰したのは、「そういう指示を受けたから」だ。

「相手に死角を作ってくれ」と、読心術で。


「人の友達に、なにしてくれているんですか?」


 ニコニコしながら、修道女が鬼山伏に歩み寄った。


 手にはモーニングスターを持ち鉄球を尋常ならざる速度で振り回している。


 腐女シスターのお出ましだ。


 笑顔が怖い。本気で怒っている顔である。

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