あの日あの空で
わらびもち
第1話 上陸
俺の名前は水上。
帝国陸軍一等兵として、この小さな孤島、「クスク島」に派遣されてきた。
別に戦いたくてきたんじゃない。このご時勢だ、徴収されて来る奴の方がはるかに多い。
噂だと、米兵のやつらがこの島にも上陸してくるらしい。
ついこの間、またどっかの島が玉砕したらしく、とうとう本土にまで奴らが行くようになったんだそうだ。
全く、なんでこんなことになってんだろうな、俺たち。
「おい、水上、集合が掛けられた。」
なんだよまためんどくせえなぁ...。
今向かうよ。
俺たちは飛行場の前に集められた。
目の前に立ってるのは俺たちの大隊長。中国大陸からおいでなさったガチガチの仕官だ。
「諸君らも噂は聞いているかもしれないが、とうとうアメリカ軍がここ「クスク島」への上陸の準備を進めているという情報が入った。周りの島々での玉砕の話を聞いているだろう。奴らは侮ることができない、本物の強敵だ。だが、ここで屈しては天皇陛下に申し訳がたたん!例え生きて帰ることができなくとも、帝国軍人の名に恥じぬ戦いを諸君らに期待する!以上!」
さあて、大変なことになったもんだ。
この「クスク島」には、もはやまともな勢力は残されちゃいない。
飛行場にも零戦が僅かに残っているのみ。
俺たちだって2000人いるかいないかだ。
弾薬もない。こんなのでどうやって米兵どもを相手にしろっていうんだ。
全く馬鹿げている。
「我々第3中隊は、敵を海岸線で迎撃する任務を頂いた。
全員...配置に付け!」
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