グロキシニアの花を貴女に
南萠衣
#1 ボタンは人見知り
中学生の頃、私は美術部に入部していた。部員には様々なジャンルの絵を描く人がいた。少女漫画の瞳の大きな女の子。少年漫画のド派手なアクションシーン。ピカソの様な独特なデザインアート。コッテリとした油絵。私は、水彩画を主として毎回作品を仕上げていた。私は、水彩画の中に必ず花をいれると決めている。
私は花が好きだ。何も語りはしないのに、何故か引き込まれる魅力が大好きだ。誕生花というものもあって、私の誕生日の1月17日はボタンの花らしい。ボタンの花言葉は、人見知り。私にピッタリだ。私は極度の人見知りだし、男の人が苦手なのだ。どうしても話そうとすると顔が真っ赤になる。そんな自分が情けなくて恥ずかしくて、また赤くなる。ボタンみたいに染まっていく。
そんな私は、今日から高校生だ。高校生活にそんなに期待は抱いていない。特に仲の良い友達もできず、終わっていく。中学生の時と同じ結果は見えている。仕方ない。
そんなことを思っていると、私の名前が呼ばれた。
「渡辺 梓。」
「…はいっ。」
驚いて声が裏返ってしまった。教室中の目線が私に集まる。
顔が、熱くなっている。
「1年間、よろしく。」
ショートカットが印象的な担任の女性の先生が私に微笑む。
「…はい。」
今度は裏返ることなく返事をすることが出来た。
だけど、私の頰の火照りはまだひきそうに無かった。
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