おまけ:第一話から三年後の話②
「ただいま」
「お帰りなさいませ、マスター。上着お預かりしますね」
「ああ。……シーラってさ」
「はい?」
「何か貰って嬉しい物ってあるの?」
「……人工皮膚の耐久度が三十%を切っていますね」
「うん、そういうんじゃなくて。普段使うものじゃないけど身に着ける物とか」
「……もう充分頂いていますよ。私にこれ以上は必要ありません」
「そう、か……」
「はい、それとマスター。このポケットに入っていた小箱は何処に運びますか?」
「箱?って、わーー!!」
「?」
「いや、これは触らなくていい!俺がしまうから!」
「……承知しました。以後その箱には触らないように致します」
「ああ……それと、シーラ」
「なんでしょう?」
「誕生日って、いつ?」
「……一月十九日だったと記憶しておりますが」
「いやいやいや、俺のじゃなくてシーラの!」
「……どこを誕生と定義すれば良いのかが判断できかねますが、自立プログラムを起動したのが二十一年前の二月二十一日、素体に組み込まれたのが翌年の五月十三日、起動テストに合格したのが更に二年後の十月三日、正式に商品化したのが更に一年後の十一月十九日、量産化の際に現在の仕様にアップグレードして、素体を入れ替えたのが更に五年後の十二月六日です」
「うん、分かった」
「それと」
「……それと? まだあるの?」
「……マスターに出逢えた日が、更に九年後の十二月二十四日です」
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