スキル不適合者のハローワーカー

巫あやの

序章

ニート、THEニート

NEET。

Not in Education,Employment or Trainingの略

それは多分皆がなりたいであろう職業。

意味は家事もせず、学校にも通わず、仕事にも就いていない、職業訓練も受けていない者のことを指すらしい。

小学校の頃は「仕事は皆の役にたつため」と教えられた覚えがあるが、

実際この世は全て金である。

何かを買うのも金だ。

仕事をする意味も金だ。

政治を動かすのもほとんど金だ。

金がなければ何もできない。

これは全て正しい正論である。

だが俺は、「働いたら負け」ということを本望に日々家に引きこもっている。

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俺、圷智也あくつともやは、暑い日差しを浴びながら真夏の道を歩いている。

実際、絶賛引きニートのアニメオタクが何で外に出ているかというと、

今日発売のゲームを買いに行くためだ。

いつもだったら通販とかで買うんだけど、店舗限定のグッズが付いてくるということで仕方なく、親が仕事にでいない間に出かけてきた。

暑すぎる。暑すぎて頭が煮え狂いそうだ。

まぁもう少しで店に着くし。

後少しの辛抱だと思い、さっき寄ったコンビニで買ったコーラを一気に喉に

流し込んだ。

角を曲がると残り数百メートル。

やっとの思いで角を曲がった。

ところが、力みすぎたせいだろうか。

黒いスーツを着た男性とぶつかってしまった。

やっちまったよ。

「あっ、すいません」

俺は引きこもりに有りがちのたどたどしい滑舌で謝った。

「こちらこそすいませんでした、圷智也君」

「はい・・・・・・え?」

何で俺の名前知ってんの?

「あのっ、何で俺の名前を知ってるんですか?」

「いやぁ、丁度良かったよ。後で家に伺おうと思ってたんだよねぇ」

家に伺う?

「いや、ですから・・・・・・」

「私の名前は小山陸。この世にいるニートを更正させようとしている、あの会社は知っているかな?」

「あぁはい、まぁ。結構有名ですから」

「そうそう。私はそこに勤めてるんだけどね」

と言いながら名刺を渡してきた。

名前も会社名も合ってるし。

「そういうわけで、圷智也君。早速だが君に脱ニートしてもらいたい。」

「は?」





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