第18話、それはアクアマリンで。
「聡明な聖女、アクアショコラ!」
またしてもトランスかっ! 殺す殺す殺す殺すッぶっ殺してやる! 右右左左上下上上ッ! タコ殴りだッ! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッ! 上上ABBAAAAB下右左左上右AA下左BB! ぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやる……ガァァァア! 殺す、殺してや……。
「くっ、頑張ったねダーリン。でも……もうダーリンの……負けッ!」
「グフッ!」
な、なんだ、呼吸が出来ない……ッ! 何を……何をしたッ! クソがッ! また魔法かッ……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺……。
「ガァォ……ゴボッ」
口から……泡が。まるでこれは……溺れているみたいじゃないかッ! 何を……したっ……。許さねぇ、絶対殺してや……。
「グボゴガァッ……」
「ダーリン、落ち着いた? あはは♡ ざーんねん。アタシの空間魔法『
く、糞がァ! そんなの聞いてねぇ、聞いてねぇぞッ! いいや関係ねぇ。ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるッ! 絶対てめぇを殺すッ! 殺す殺す殺す殺す殺す殺すッ! ほら見ろ……呼吸が出来なくても俺は動けるぞ! 馬鹿め! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッ!
「ゴボホボッガハッ……ぐっ」
「あはは♡ ダーリン可愛いなぁー♡ ほら、ほらほら、頑張れー♡ 届いてないぞ?」
クソがクソがクソがクソがクソがッ! 何故だ、何故届かないッ! クソがクソがァァァアアァァアアアアアアッ!
「ダーリン、頑張れ! ダーリン、頑張れ! ダーリン、頑張れ! いぇーい♡」
馬鹿に……しやがッ……て…………。足が浮く、手が、思い、思考が、定ま、ら……ない。溺れ……。
「ゴボボガボボボッ……」
ダメだ、力が……入らない……トランスを解除しないと……ッ。早く……トランスを……ゴボッ。解除しないとッ! 溺れるッ!
「ウガァァァ!」
「ダーリン可愛いなぁ〜♡ え? ギュッてして欲しいの? いいよ♡」
「近づくなアガァァァァァッ……グボガボガガァッ……」
ダメだ……怒っては……ダメだ……殺す殺す殺す殺す殺……ガガァッ。落ち着け……トランスを……解除。解除だ。牡羊座の能力で俺の思考が……怒りに染まっている……グボッ…………。
「ぶっ殺してやァァァゴボボガボボボッ……」
落ち着け牡羊座……ガァァァアッ! 殺す殺す殺……、そうだ、落ち着け。『トランス・エリース』状態だと俺は理性を失い怒りに取り憑かれてしまう……ウガァァァガガガアアアァァァッ! ダメだ、暴れるな牡牛座……ァァアアアアアガガガガ! 落ち着け、そうだ……ベルトに……手を伸ばせ。
「ゴボッ……グブォガァ……」
「ごめんねダーリン、トドメはアタシが刺してあげるから、許してね♡」
くっ、ベルトに、触れなければ……。ベルトに触れて……解除しなければッ……! ダメだッ……酸欠で力が、入ら、な……。い、クッ。クソがァァァゴボボガ……、落ち着け。体が……水の中みたいに……浮かぶ……ふわふわ……する。落ち着け…………ッ!
「水の刃!」
魔法ッ!? か、かわせない。青い光が……水が飛んでくる……ックソがァァァ! 足が地面から離れて……溺れるッ!
「ぐはぁっ!」
ウガァァァ! 血が……血がァァァ! 俺の血がッ! 右手が切られ……痛い痛い痛い痛いッ! 血が……水に広がる……ッ! ころ、す。こ……もうダメだ……息が……。
「ダーリン、あまり苦しませたくないの。だかしっかり殺してあげるね……水の刃! 水の刃! 水の刃! 水の刃!」
無数の……青い光ッ……揺れる視界、沸き立つ怒り……ガガガガ……意識が……。左手が、右足が、左足が……そして首元へ……ッ。光が……青い刃が……クソがァァァゴボッ……ダメだ、死ぬ。
「水の刃!」
「っ!……ハッ」
呼吸ができる! 何故だ? いや、今はそんなこと関係ない。回避だッ!
慌てて体制を低くし、刃を何とか回避する。すり抜けた水の刃が背後に立つダイヤモンドの柱に亀裂を入れるのを見ながら、俺は自分の状態を確認した。
なるほど、お金を使い果たしてしまったらしい。牡羊座は常に金を消費する、そのせいで預金が無くなったのだろう。そのおかげで強制的にトランス状態が解除されたのだ。
「ラ、ラッキー……」
だが牡羊座の能力は解除されてしまった。いや、トランス状態そのものが解除されたわけだ。もう戦うことは出来ない。それにこの傷の量……。
「ダーリン、どうしてトランスを辞めたの? 死にたいの?」
「へっ、これも作戦の内なんだよ」
そう余裕気な表情を何とか作るが、嘘だ。どうしようもない状態だ。今俺の頭の中は如何にして逃げるかという事でいっぱいだ。
相手がダイヤモンドの能力を発動していなくてよかった。もし発動していれば嘘すらつけないのだ。逃がしてはくれないだろう。
俺は次の一手を考えるべくガトーショコラを見つめた。彼女は、綺麗な水色のドレスに身を包み、無数の泡を体から吹き出しながら強く杖を握りしめる。そして不敵な笑みを浮かべた。
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