SCP-961-JP Euclid 

 見た目が亀のSCP。見たところヨーロッパヌマガメにそっくり。

 なお頭も足も尻尾も全部口。根元に消化器官がある。

 無機物ならば何でも食べる。硬い物のほうが好き。

 食べたものは消化され、謎の工程を経て液体の鉄、ニッケル、個体のかんらん岩になり、甲羅のあたりに収納される。

 これだけでもSCPたりえるのだが、本題はここから。


 この亀が死亡すると、クルっと甲羅がひっくり返り地球儀のようなものになる。というかガチの現在の地球を反映した地球儀になる。北極が溶けてる様子なんかもじっと観察すれば見える。まさにグーグルアース。

 その地球儀には丸印である一点が示されており、その地球儀を手に取った人物は無性にそこに行きたくなる。

 この効果は離れていても持続するが、24時間以内なら記憶処理でなんとか抑え込める。


発見時に所持していた冒険家■■氏へのインタビュー。

エージェント・■■(以下A)「忙しいとこありがとうやで。本日インタビュしくよろ」

冒険家■■(以下B)「ええんやで。ほんで質問は?」

A「前どっかで言ってた『地球儀になる亀』についてkwsk」

B「長くなるがええか?」

A「ええで。ハヨハヨ」

B「あれはワイが冒険家になろうとした理由やったんや。高校生のころ、海岸歩いてるときに海で流れ着いとった瓶に入っとってな。持った時にロマンを感じたんや。『地球はこんなに広いんか。ワイはどんだけ狭いものの見方しかできてなかったんや。こん時は高校生やったからな。あんまり遠くには行けんかったんやが、情熱だけは絶えんかった。大学に入った後は山岳部で足腰も鍛えたしな。皆就活してる間も、バイトばっかりしてたんや。んで24になったころにアルプスまで行ったんや。そん時にな、地球儀が壊れて中から亀が出てきたんや」

A「おかしいと思わんかったんか?」

B「もちろん思ったんやが、それよりもうれしさが強かったんや。生命の神秘っていうやんか。あれを感じたんや。まさに奇跡やった。この亀を生きたまま持ち帰ろうとしたんやが、下山中かどっかにおらんようになってな。いつの間にかポケットに地球儀が代わりに入ってたんや。そん時は亀やって気付かんかったんやがな」

A「確かその次はアマゾンに行ったんやろ?」

B「せやせや、ほんでな……」

[ここから重要度が低いので割愛]

A「……今日は色々サンキューやで。最後に一つ。なんでこの話を今、そしてワイらに話したん?本には一切書いてなかったやん」

B「次に北極点までもっていってくれる人間にな、たくしたかったんや」

A「さいでっか」


 インタビュー終了後、エージェント・■■は冒険家■■氏からSCP-961-JPをゆずりうけ、北極点までもっていったそうな。JP特有の小説の書き出し的インタビュー。


 最後に一つ。


 地球儀には全く関係のない文字が彫られていた。その文字を記して終わる。


地球と共にこの世に生を受けて6000年。


地球の誕生から終焉までを我は知り、4000年後に来るその時をただ待つのみ。


地球の使徒である生命は、大海の泡でありながら眩い知性の輝きを持ち、秩序と混沌を生み出す。


地球は不変であり、全てが定められている。


生命は可変であり、無限の可能性を持つ。


私はそれが最期に何を生み出すのかを知りたい。






この作品は”usubaorigeki”様作「SCP-961-JP 世界を廻る亀」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-961-jp


このコンテンツは、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンス(http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja)の元で利用可能です。

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