第915話 終活‐2!
俺は考え抜いた結果、精霊たちを招集することにした。
呼び出して以外だったのは、ホオリンとの仲が悪かったミズチとアリエルの二人は反省したのか、ホオリンとの関係を修復していたのだ。
俺は精霊たちに俺が死んだ場合、契約がどうなるかを質問する。
「それは契約が解除されるだけよ」
ミズチが代表して答える。
「特に問題は無いんだな」
「問題はないけど……あまりにあっさりしているわね?」
「あっさりというか、現実を受け入れただけだがな」
俺の言葉にノッチとホオリンは笑い始める。
「俺たちとの契約に未練がないようだな。本当に面白い奴だな」
「未練も何も、どうしようもないんだろう?」
「そりゃ、そうだけどよ」
ノッチは笑いながらも会話を続ける。
「まぁ、タクトさえよければ、俺たちは力を貸してやってもいいんだぞ?」
「力を貸す?」
ノッチが言うには、精霊の力の一部を引き出せる道具を貸すというそうだ。
炎を纏う剣や、風を起こす杖、大地を割る鉄鎚、水を自在操ることが出来るアクセサリーなどのことらしい。
たしかに、伝説の武器だと思うが、この武器が原因で争いにでもなったら、国が混乱することになる。
「大丈夫だって。誰でも使用出来るって訳じゃないからな。その時代に一人だけ。しかも、俺たちが認めた奴にしか使えないようになっているから、邪悪な奴には使いこなすどころか、持つことさえ出来ない」
「持てないってことか?」
「あぁ、ある意味封印のようなものだな」
「そうか……気持ちだけ貰っておく」
「はぁ、断るのか‼」
ノッチはもちろんだが、ミズチたち他の三人も驚いていた。
「持て余す力は災いにしか、ならないからな」
「……貴方らしいわね」
俺の言葉を聞いたミズチは呆れたように話して、他の三人を見た。
「たしかに、タクトの言い分も理解出来るわ。まぁ、私たちは気まぐれだし、このゴンドという場所を気に入っているので、ここが襲われるようなことがあれば、少しだけ力を貸してあげるわ」
「そうだな。精霊王に対して、それくらいのことはしても問題無いだろう」
アリエルとホオリンが、勝手な解釈を話して納得していた。
「俺が死んだら当然、精霊王ではなくなるけど……いいのか?」
俺の言葉に精霊たち四人は頷く。
「
ノッチが任せろと言わんばかりだった。
「まぁ、任せるわ。勝手に精霊王になったのに悪いな」
「貴方が気にすることじゃないわよ」
「そうそう。それなりに楽しかったしね」
「そうだな。俺としては
「俺はミズチとアリエルの二人に対して、俺の言いたいことが伝えられて誤解も解けたしな」
ミズチにアリエル、ノッチとホオリンがそれぞれ話しを始めた。
「今度、私たちと会話が出来る人族が現れるのに、どれくらい待てばいいのかしらね?」
「数百年……いや、数千年か?」
「そもそも、現れない可能性の方が高いだろう」
「たしかにそうね……タクトが異常だっただけでしたからね」
精霊たちの視線が俺に集まる。
「今まで、いろいろと力を貸してくれてありがとうな」
俺は精霊たちの目を見ながら、今までの感謝を口にした。
ミズチは目を伏せて、アリエルは恥ずかしそうに視線を外す。
ノッチは笑顔を返してくれて、ホオリンは俺に拳を出していた。
「……まだ、時間はあるんだから、たまにはこうして呼び出してくれてもいいんですよ」
視線を逸らしていたアリエルが小声で呟く。
「アリエル。今、なんか言った?」
「な、何も言っていないわよ」
ノッチがアリエルを揶揄う。
アリエルは怒りながらノッチを睨んでいた。
精霊たちも人族と同じで寂しい思いをしているんだと感じた。
「ところで、神の使徒である貴方が、
「……いや、何も聞いていないが、すぐに代わりの使徒が誕生するわけでは無いと――思うけどな」
言われて気付いたが、確かにそうだ。
必ず
エリーヌの神の使徒として先輩にあたるので、後任になにか残しておいたほうが良いのだろうか?
問題が一つ解決したと思ったら、新たな問題が一つ発生してしまった。
一度、エリーヌに聞いてみる必要があるが、今は忙しいと思うので、この問題は後回しにすることに決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます