第431話 魔穴!
コルサからバジリスクの討伐許可を貰う。
バジリスクの皮等は高価な品なので、状態が良ければオーフェン帝国で買い取らせて欲しいと、コルサが言うので、数体持ち帰る事を約束した。
俺はコルサに頼んで、オーフェン帝国の料理長から使わなくなった寸胴二つと、予備の寸胴三つを買い取らせて貰った。
バジリスクの血を入れるのに使用する。
バジリスクが生息する島は『ワノウチ島』と言い、火山を中心に円形で壁のように岩があり、干潮だと岩が邪魔をする為、船で行くには満潮の時を狙って、小船に乗り換えて座礁しない場所から上陸するそうだ。
その為、上陸前に海の魔獣に襲われて、引き返してくる者も多数居ると、コルサが教えてくれた。
このような地形の為、人族が手を加える事無く、魔獣達の楽園になっている。
【飛行】でワノウチ島を空から見るが、火山が今にも噴火しそうだった。
活火山なのか、休火山なのかは、専門知識の無い俺では分からなかった。
島の浜辺に上陸をする。
【魔力探知地図】で確認すると、多数の青い印が表れる。
まさに、魔獣の楽園なのだろう。
海の方を見ると、魔獣が泳いでいる。
上陸する前に死亡する確率が高いのも頷ける。
浜辺には幾つもの大きな貝が転がっている。
先程、【魔力探知地図】で確認したので、大半がヤドカリ系の魔物なのは分かっている。
【神眼】で鑑定すると、『ジェットクラブ』と言い、砂や水を飛ばす攻撃を主とするヤドカリのようだ。
何体かを討伐して【解体】後に【アイテムボックス】に仕舞う。
俺は、浜辺から、木が生い茂る場所へと足を進める。
一応、木に手を当てて
森らしき場所に立ち入る際の、お決まりの確認だ。
返事が無いので、居ないと判断をして奥へと進んでいく。
【隠密】で姿を隠す。
珍しい魔獣は、帰りに討伐すれば良い。
魔獣から襲われる事が無いので、目的の魔穴までは簡単に到着出来た。
【全知全能】で道案内をして貰ったので迷う事も無い。
【隠密】を解除して、魔穴に入る。
このままでも良いと思ったが、気持ち的な問題だがクンゼを元に戻すのであれば、正々堂々とバジリスクに正面から挑みたい。
魔穴の内部は、分かってはいたが奥に進むに連れて、徐々に暗くなっていく。
【光球】で周りを照らす。
【魔力探知地図】では、バジリスクの反応は、まだ無い。
途中に、石化した魔獣や、人族を発見するが完全な状態では無く、破壊されて部位が地面に落ちていた。
例え、バジリスクの血を掛けても、生き返ることは無い。
掛けた部位が元に戻るだけに違いない。
ただし、幾つかの部位には、オーフェン帝国の紋章を施した装飾品を、身に付けている。
もしかしたら、今でも遺族が生きているかも知れないと思い、帰りに回収する事にする。
気が付くと、大きな蛇が奥から俺を狙っているのが分かる。
大きな蛇こそが、バジリスクだ!
眼を合わせただけで、対象を石化出来て、吐き出される唾液や息そして、流れ出る血は猛毒だ。
一応、大丈夫だと思うが【全知全能】で、俺に石化攻撃が有効かを質問する。
回答は【全属性耐性】を習得しているので、石化することは無い。
俺は松明代わりに使用していた【光球】を投げつける。
これで、俺の居場所を特定出来ていた【光球】は無くなったので、お互い姿が見えない。
この魔穴に進入した者達は、灯りを目印にされてバジリスクと眼が合い、石化されたのだと推測した。
暗闇での戦闘で条件は同じだが、俺には【魔力探知地図】があるので、ある程度の位置と数は把握出来る。
そう考えていると、身体に液体がかかる。
バジリスクの唾液だ。
俺の位置が正確に分かるのか、動いても俺に向かって唾液は飛んで来る。
……そういえば、蛇にはピット器官というものがあり、温度で獲物を感知すると授業で習った事を思い出した。
暗闇での戦闘は、バジリスクに分があった。
石化攻撃は俺には効果が無いので、再び【光球】で、魔穴内を照らす。
目視で確認出来るバジリスクの数は、全部で三体に増えていた。
俺は【風刃】で、バジリスクを頭と胴体に分ける。
死亡を確認して、すぐに【アイテムボックス】に仕舞う。
石化攻撃も、毒の攻撃も効かない俺には、大きな蛇の討伐と同じだった。
その後、奥に進むながら同じ方法でバジリスクを六体討伐する。
奥になると、石化した者も居ない。
殆どが入口付近で石化されていた事が分かった。
バジリスクも、これ以上は討伐する必要も無い。
これ以上、奥に進んで行けば、バジリスクロードと対決する事にもなるので、引き返す事にする。
【魔力探知地図】でも、青い印はかなり奥を表しているので、問題ない。
帰り際に、バジリスクの死体から出る血を、石化した死体の破片(部位)に掛けて、装飾品や武器等を回収して、魔穴を出る。
魔穴というので、特殊な場所かとも思っていたが、洞窟名称のようだ。
茂みの向こうに大きな剣山が見える。
近くまで行くと大きなハリネズミが居た。
鑑定をすると『ニードルザウルス』だ。
草食系の魔獣なのか、襲ってこない。
このニードルザウルスも、この島の固有種のようだ。
この島で、独自の進化を遂げた魔獣が多数居ると聞いていたが、未知な魔獣も居るみたいだ。
興味はあるが、優先する事案が多数あるので、調査は後回しになる。
この島での用事も終わったので、【転移】でイースとユキノが待機している部屋に戻る。
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