第366話 平和な日々!
平和な日々が続いている。
転移扉の設置は全て終わり、仕入れ等の業務もマリー達が行ってくれているので、俺がする事は無い。
ゴンド村に建築した新しい家も、ラチス達ドワーフ族と打合せをして三階を間仕切ったりと改装して、使いやすい部屋に改装した。
ゾリアス達の意見で隣の建物を壊して、神祠の傍に新しい集会所を立てる計画があるらしく、そこの建築もドワーフ族に依頼したそうだが、ついでに建物の並びを変えて過ごしやすいように全て建て替える計画もあるらしい。
報酬は、龍人族に伝わる幻の酒『火龍酒』と聞いて、快諾したそうだ。
計画を見せて貰ったが、神祠を中心に家が建つような街の構成になっていたので、碁盤目のような感じにすると迷わないと助言をすると、すぐに採用された。
俺達の家を中心にその計画で、家を建て直すそうだ。
無駄な場所が無くなるので、建てられる家も増える。
農作業をしたい者達は、畑に近い場所が良いなどと夜な夜な皆で話し合いをしているそうだ。
俺が最初に訪れた時よりも、村の広さは五倍以上になっている。
主に畑だが、グランニール達ドラゴン族の待機場所等もあるので、仕方が無い。
これからも、大きくなる可能性がある。
リロイに確認をしたが、広げる事に関しては問題無いそうだ。
広くなればなる程、発見される可能性は高くなるので対策を考えていたが、シロが土魔法で壁を作る提案をしてきたので、即採用した。
壁の位置は、畑等の農作物に影響の無い位置にする。
森側の一部に陽が当たらない場所があるので、リラに了承だけ得る。
広さは、今よりも一回り大きい場所にして、シロに頼むと五メートル程の壁が村を囲んだ。
入口として、一ヶ所三メートル程開けて貰う。
ゾリアスは「城壁並みだ!」と驚いていた。
シロに聞くと、普通であれば壊れる事は無いと言っていた。
土壁の上に登れるように階段を作り、見張りが出来るようにしておくので、侵入者等の発見も早く出来るだろう。
トグルと、ザックにタイラーは、ルーカスからクニックスを討伐した褒美を貰う。
表向きにはアスランの【呪詛】の事は発表されていないので、王国に害をなす魔物を事前に討伐したという事にしたみたいだ。
その様子をフランが撮影して、グランド通信社が新聞に載せる。
俺は見出しに『漆黒の魔剣士』と大きく載せて貰う事と同時に、文字の如く魔剣を所持している事も教えた。
新聞の反響は凄く、一夜にしてトグルは人気者となる。
その後、冒険者ランク昇級試験も合格して冒険者ランクBになる。
実力的にはランクAはあるだろうと、ムラサキ達も言っているのでランクAになるのも時間の問題だろう。
クロは、引き続き奴隷制度に反対している貴族達の調査をしている。
該当する貴族は何人もいるのだが、クロが楽しそうに調査報告をするので、敢えて止める事は言わずにいる。
シロもフランの様子を見ながら、魔獣撮影をしてくれている。
殆ど撮影が終わっていると言うので、時間がある時に俺が【全知全能】で得た情報を紙に書く作業をして貰っている。
ジークの孤児院も無事完成をして、毎日子供達が楽しそうに遊んでいる。
シュカやリラも、慣れないながらも楽しく世話をしているそうだ。
驚いたのは、フランが撮影を教えているミランダとアルパが、サージャとクルーニーの結婚をお祝いしてあげたいと、孤児院の子供達から頼まれたらしく、マリーの判断で無償で結婚式を挙げたそうだ。
マリーから、領主であるリロイ夫妻にも御願いして参加して貰い、牧師か神父の役は執事のマイクに御願いしたそうだ。
シュカやルリにも協力してもらい、手作り感満載の子供達からの心がこもった結婚式になる。
グランド通信社も取材に来ており、フランは結婚式では撮影ばかりしていて、参加した感じがしないと愚痴をこぼしていた。
新聞に掲載されると、『四葉孤児院』は一躍有名になる。
建物も子供に優しい設計になっており、今後の孤児院等の参考になると、各地から見学の依頼がリロイに入っている。
リロイも事ある事に『四葉商会』の名前を出してくれている。
マリーの提案で、『ブライダル・リーフ』でも新しく耳飾りや首飾りを扱うようになると、写真撮影をせずに商品購入のみの客が一気に増えたそうだ。
指輪のみ写真とのセット販売の為、一時期程の売り上げは無いが、遠方からわざわざ訪れる客も多い。
俺がジークで最初に泊まっていた宿屋の主人が、俺のおかげで儲かっていると街であった際に話していたが、
冗談なのか分からないが、潰れそうになったら助けてくれと言っていた。
思っていた以上に売り上げがあるのが、ゴンド村でクラツクが彫っているエリーヌの木像だ。
御利益があると言って、騎士達が遠征の帰りに寄って買っていくらしい。
マリーが王都で売れば儲かると話をしていたので、そのうち王都でも販売をするつもりなのだろう。
しかし、結婚式自体は、進行役が居ないので未だ出来ていないのが、大きな問題だ。
マリーも分かっているが、後回しにしていると言っている。
人材確保の問題だろう。
冒険者ギルドでは、人気投票の候補者が発表されて誰に票を入れるかなど盛り上がっている。
ジークの冒険者達に何度も、俺が不参加な理由を聞かれる。
やはり、不参加は珍しいようで「勿体ない」と皆が同じような言葉を言う。
シキブは結婚式で知名度が上がったが、結婚したので優勝は厳しいだろうと皆が話している。
グランド通信社と冒険者ギルドとで上手い事連携しているみたいで、大きな混乱は無いそうだが他の商会からクレームが入っているとジラールは愚痴っていた。
少しずつだが、俺が関与しなくても自分達の考えで動いてくれているのが嬉しい。
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