4章

第314話 成長!

 ダウザー達家族をルンデンブルクに送り届けてから、シキブ達と一緒にジークに戻って来た。

 シキブ達を迎えに行くと、ユキノが待機していて「一緒に行く」と旅支度をしていたので、ルーカスの元に連れて行ったので、ジークに戻るのが遅れてしまった。

 シキブとムラサキは、ギルド会館に戻りイリアの様子を見てくると言うので、挨拶をして分かれる。

 トグルとも此処で分かれて、俺は街の外に出て、広い場所まで来ると、シロとクロを呼ぶ。

 久しぶりに三人揃ったと思いながら、シロとクロを見る。

 王都で冒険者の昇級試験を受けている間は、シロとクロには好きに過ごしていいと伝えていた。

 ふたりとも何をしていたのか分からないが、敢て聞くことでも無い。


「こんな場所で何かするのですか?」

「シロとクロは、どれくらい強くなっている?」


 物凄く曖昧な質問をしてみる。

 シロもクロも俺のレベルに影響を受けているので、間違いなく強くなっている筈だ。


「はい、今迄で一番強くなっていると思っております」


 クロが人生最強宣言をすると、シロも同様の答えだった。

 一旦、街の外に出た理由は、シロとクロの強さを確認する為だ。

 ふたりには、最強の攻撃を俺にするように伝えると案の定「出来ない」と同じ回答をする。


「他の方法では駄目なのですか?」


 クロが代案が無いかを聞いてくるが、実際の攻撃を受けたほうが分かりやすいが、ふたりの性格からして難しいのは分かっていた。


「どうしても駄目か?」


 再度、聞いてみるがふたりとも答えは同じだった。


「最大攻撃の確認だけであれば、その身に受けなくても見て頂くだけでも、問題ないかと思います」

「私もそう思います」


 やはり、従者であるふたりが俺を攻撃するのは無理があるようだ。


「そうか、仕方ないな。【結界】を張るから、最大攻撃を俺に見せてくれ」

「承知致しました」

「はい」


 ふたりとも返事をする。


「ふたりとも、人型でもいいのか?」


 姿には影響される事は無いらしいので、人型で構わないとふたりとも答える。

 【結界】を広めに張り、攻撃の目印になる落ちていた木を立てる。

 シロとクロを見ると、用意は出来ているようだ。


「どちらが先にする?」

「御主人様、私から」


 シロが先に攻撃を披露するという。

 従者になった順番なのは、暗黙の了解なのかクロも何も言わない。


「いきます!」


 シロは両手を無造作に動かすと、攻撃対象の木の周囲に光の玉が無数に出現して、シロが手の動きを変えると一斉にその光の玉から光線が木に向かって放たれた。

 木には無数の穴が空いている。レーザービームのような攻撃だが、狙われたら逃げ場が無い為、確実に遣られる。


「今のは、光属性の魔法か?」


 光属性の魔法であれば、直接的な攻撃力は無い筈だ。


「少し違いますね。光属性と風属性それに、火属性を合わせた魔法攻撃になります」

「……シロ独自の魔法なのか?」

「はい、御主人様のレベルに合わせて、自分で考えました」

「魔法が作れるのか?」


 俺の言葉に何かに気付いたようだ。


「御主人様、申し訳御座いません。それは私のユニークスキル【魔法創製】です」


 シロが謝るが、俺にも非がある。


「主、シロでなく私が先でも同様のユニークスキルを習得してますので、同じ事だったかと思います」


 クロがシロを庇うかのように話をする。


「安心しろ、別にシロを攻めるつもりは無い。俺が最大の攻撃を見せてくれと頼んだ結果だ」

「ありがとうございます」


 【魔法創製】は対価スキルの値が大きかった。

 確かに、魔法を作るなんてスキルだから納得も出来る。

 無数に穴が空いた攻撃対象の木を変えようとすると、クロが「そのままで問題ありません」と言うので、変えるのを止める。


「では!」


 クロは、そう言うとその場から動かず攻撃対象の木を見ていると、木の影から黒い物体が現れて、木を包んで、再び別の影を利用して戻っていった。

 攻撃自体は地味だが、恐ろしい攻撃だと一目見て分かった。

 いきなり影から物体が現れて、何が起こったか分からない間に影の中に取り込まれる。

 暗殺にも向いている攻撃だ。


「クロ、人が取り込まれた場合どうなるんだ?」

「影の中で身動きが出来ず、意識も無く仮死状態に近い状態です」

「出す事も可能なのか?」

「はい、勿論可能です」


 俺の【アイテムボックス】の上位版みたいなものか? 攻撃は勿論だが、人を収納出来るのは魅力だ。


「因みに、影の中で攻撃可能ですので、影の中に引きずり込めば確実に仕留める事が出来ます」


 影があれば何処でも攻撃可能だと言うので、夜になれば何処からでも攻撃が出来ると言う。

 確かに、最強攻撃に間違いは無い。

 恐ろしい仲間だと共に、心強い仲間だと言う事を再認識した。

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