第237話 ギルドの連絡方法!

 ギルド本部に『スレイプニル討伐』を報告したイリアが、「一刻も早く王都へ来るように」とシキブへ伝言を受けたそうなので、寄り道もせずに王都を目指す事にした。


 シキブから歩いての移動だと時間が掛かってしまう理由から、早く王都に到着する為に馬車で移動する事にした。

 手綱を引くムラサキの横で俺は座ると、シロとクロを呼ぶ。

 それほど大きくない荷台の為、獣姿になってもらう。

 膝にシロ、右肩にクロを乗せて馬車に揺られながら移動する。

 途中で、何回か魔物からの襲撃を受けたが、俺が【魔力探知地図】を発動させて、魔物の位置を把握し、魔法で先制攻撃する為、馬車を止めての戦闘は必要無かった。

 討伐した魔物を回収する時間が勿体ないので、放置して進む事を言うと呆れた顔をされる。

 多少でも素材として価値があるなら、持って帰るのは冒険者の基本だと、説教された。

 仕方ないので、俺が【解体】をして【アイテムボックス】に仕舞う。


「相変わらず便利なスキルよね」


 シキブに嫌味を言われるが、それ以降は魔物討伐と解体までの作業は何故か俺の仕事になった。

 回収した素材とコアは、後日四等分する為、王都に着くまでは俺が保管する。

 シキブからは、預けていた『ゴブリンロードのコア』を返して貰う。

 大事な証拠品の為、持っているだけで緊張していたそうだ。

 俺に返す事で、肩の荷が下りた様子だ。

 『スレイニプルのコア』もカンナの鑑定で間違いないとお墨付きを貰ったので、イリアから返して貰っている。


 陽が沈みかけると【転移】でジークに戻るが、距離を稼ぐなら夜に俺だけでも走る事を提案する。

 しかし、シキブから却下される。

 理由を聞くと、不自然な程早く王都に着く可能性が高いからだ。

 それを聞いていたムラサキとトグルも、大きく頷いていた。

 実際に全力で走れば、シキブの言った通りになるので、反論は出来ない。


 翌日からも陽が昇ると共に移動を始め、陽が沈むと移動を止めた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「王都が見えたぞ!」


 手綱を引いていたムラサキが、隣に座っている俺に教えてくれた。

 ジークを出発して、八日目の昼に王都『エルドラード』に到着した。

 普通より少し早いが何とか誤魔化せるだろうと、ムラサキは言っていた。


 城壁が立派なのは遠くで見てもよく分かる。

 以前にジークの街を見たフランに向かってマリーが、「王都を見たら、死んでしまう」と話していたのを思い出した。

 確かに、フランは死なないまでも、腰は抜かすかもしれないな。


 ムラサキが、荷台に居るシキブとトグルに到着間際な事を伝える。


「やっと、着いたわね。 昼だけの移動だけで夜は家で過ごせたから、普通の旅よりは楽だったわ」


 シキブは、安堵の表情を浮かべるが思い出したように、王都にあるギルド本部のグランドマスターへ連絡をしていた。

 ムラサキにギルド本部との連絡について、質問をする。

 基本的に、本部支部共にギルドマスターとサブマスターが連絡係になっていると教えてくれた。

 街の大きさによっては支部で、連絡係を追加申請する事がある。

 ジークでは、受付責任者のイリアがそれにあたる。

 ただし、緊急事態の場合はギルド本部から、各支部毎に連絡を取ると時間を要してしまう為、幾つかのグループの代表であるギルドマスターに連絡をして、そこからグループ内のギルドマスターに連絡をする仕組みが構築されているそうだ。

 前世で俺の知っている『緊急連絡網』と同じだ。


 シキブが、ギルド本部のグランドマスターとの連絡を終えると、これからの予定を俺達に伝える。


「ギルド本部に寄って簡単に今迄の経緯を報告してから、国王様の城に向かうから」

「今迄の経緯って何だ?」


 普通に質問した俺に対してシキブ達は、呆れた顔で俺を見る。


 経緯とは、俺が討伐してきた『ゴブリンロード』『サイクロプス』『コカトリス』『スレイプニル』の件に加えて、ローラが作成した報告書『ロードの発見方法』についてだった。

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