第194話 親子の暗号!
前回の反省も踏まえて、【転移】場所は街の外にした。
家の前には、トグルが立っていたので声を掛ける。
「お疲れ!」
「お疲れじゃないぞ! お前が絡むと毎回毎回事件が起こるんだよ」
「いや~、スマン! 俺も好きで事件起こしているんじゃないからな」
「当たり前だ!」
「俺も戻ったから大丈夫なので、中に入るか」
二階には皆揃っていた。
「おかえり」と言われたので、「ただいま」と返す。
この雰囲気は、心が癒される。
ライラが寄って来て、各階にも【結界】を張っておいたと言うので、頭を撫でて礼を言う。
ミクルに、明日ルンデンブルクに行く事と、現状の様子を伝えた。
話を聞いて怯えていたが、両親が心配なので一刻も早く戻りたいと訴えた。
その前に、実験させてくれと言い、ミクルに向かい【念話】を試してみる。
ミクルは周りをキョロキョロしているので、俺だと伝える。
ミクルも理解した様子で、俺から簡単な体の動作を伝えるとその通りに動いてくれた。
周りは何をしているのか、不思議な顔で俺達を見ていた。
よし! これで内通者にバレずに済む。
気になっていた実験を続けて行う。
【念話】の相手を複数にしても可能かだ。
とりあえず、マリーとライラに話しかけてみる。
ふたり共、ミクル同様に周りを見渡したが、ライラはすぐに俺だと気づいた。
俺だと伝えて、動きの指示をするが伝わっている様だ。
残りのフランとリンカも加えて、五人で試すが問題無いようだ。
「実験終了!」と【念話】で伝えると、皆が説明を求めてきた。
俺が対象者の脳に直接話す為、周りには聞こえないユニークスキルと説明をした。
「【交信】と違って
マリーは感心していた。
「……【交信】てなんだ?」
俺の質問に、その場に居た全員がこちらを向く。
「……いつもタクトと連絡している方法の事よ」
マリーのその言葉で、
ステータスを開いても記号しかないし、特に不便でもなかったので気にも留めていなかった。
マリーとフランは『常識知らず』といった顔で俺を見ていた。
ミクルを宿泊していた部屋に連れ出して、極秘で領主達には伝えたいので、親子の間だけで分かる会話か動きの様な物が無いかを尋ねる。
暫く考えていたが、「数の数え方」と言い『一』を親指、『二』を人差し指、『三』を中指の順に開き始めた。
この動作は、ミクルが小さい時にしていた数の数え方で、その後矯正されたので、両親と世話役数人しか知らない事らしい。
……なるほど。 これなら、領主達も理解してくれるだろう。
「他には無いか?」
確実に伝えるには、もう一つ位は知っておきたい。
「……あまりお勧めはしませんが、お母様に向かって人差し指を交互に三回程出せば、確実に分かって貰えます」
「こんな感じか?」
ミクルの前で、試してみる。
「そんな感じです」
最後に、動きに合わせて「ツン、ツン、ツン」と言えば完璧らしい。
この動きに何の意味があるのか、まったく分からないが親子の間では、意味のある行動なので通じるのだろう。
直接連絡をする必要があるので、
ミクルに礼を言って、自分の部屋に戻る。
シロや、ライラが眠る前に寝ようと横になると、ふたりも横で寝転んだ。
今日も熟睡できるだろうか……
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