第187話 残念な予想的中!

(はいは~い、エリーヌだよ!)

(お前は、俺をストレスで早死にさせたいのか?)

(ん? 何のこと?)

(多分、無意識だと思うが、お前が俺に又、【呪詛】を掛けたんだよ!)

(またまた~、いくらおっちょこちょいの私だって、そんなに何度も失敗しないって~)


 ……はぁ、ダメだコイツ。


(いいから、確認してみろ)

(はいは~い)


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


(……申し訳御座いませんでした)


 素直に謝る事は覚えたのか。 少しは成長したな。


(解除の方法は分かるのか?)

(……分かりません)

(お前では、どうしようも出来ないって事は、分かっているよな)

(はい、すぐに呼んで参ります)



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



(度々、エリーヌが迷惑かけてスイマセン)

(そうですね。もう疲れましたよ……)

(そう言わずに、もう少しだけ頑張って下さい)

(頑張りはしますが……この【呪詛】も解除出来ないんですよね?)

(申し訳御座いませんが、そうなります)


 エリーヌ曰く、「たとえ四葉マークの服が理解されなくて変な目で見られても、純潔な体と素晴らしい衣装なので、逆境に晒されても頑張るように!」と、祈った記憶があるらしい

それが今回の【呪詛】になったみたいだ。


(無職で敬語が喋れない変な服を着ている奴が、エクシズでの俺なんですよ。酷くありませんか?)

(それについては、返す言葉はありません)

(前回同様に、なにかして貰えるんですか?)

(そうですね。 これ以上眷属は必要ないと思いますし、こちらから提案できるのは、特例ですが恩恵ユニークスキルの追加でしか対応出来ません)

(エクシズに影響の無い程度の恩恵ユニークスキルって事ですね)


 恩恵ユニークスキルといっても、前回断られた恩恵ユニークスキルは、当然無理だろう。


(モクレン様なら、今の俺の状況に対してどんな恩恵ユニークスキルを頂けますか?)

(そうですね……)


 暫く考えて、考えた結果を口に出す。


(無いですね)

(無いんですか?)

(はい、戦闘系のスキルはある程度揃っていますし、職業スキルは使用頻度が少ないですから必要ないでしょう)


 確かに、その通りだ。

 俺自身も、これ以上必要と思われる恩恵ユニークスキルは【不死】位だ。

 しかし、却下されているので他の恩恵ユニークスキルが思いつかない。


(使い道は少ないかも知れませんが、【真偽制裁】はどうですか?)

(クロの嘘が見抜けるスキルと、同じですか?)

(はい、それに嘘で魔法制裁が加わりますが、嘘の大きさによって、魔法の威力が異なります)

(最悪、嘘が大きいと死ぬって事ですか?)

(はい、そうなりますね)


 貴族相手には効果的な恩恵ユニークスキルだが……。

 そうであれば、あのスキルも習得可能か?


(はい、それで結構です。追加で御願いしたいのを思いつきましたので、それも授けて頂けませんか?)

(それはなんですか?)

(【同時魔法】です。魔法は毎回一つづつ掛けると、非常に非効率的です。例えば【治癒】と【回復】を一緒に掛ければ、より多くの人が救えるかもしれません)

(なるほど、その言い分は分かりますが、あなたの本心はそれではありませんよね?)


 ……さすがは、中級神だな。

 どこかのポンコツ女神とは違う。


(確かに他の使い方も考えてはいますが、どうですか?)

(確かに貴方は、スラムの人々を治療している実績もありますし、悪用するとは考えにくいですね……いいでしょう)

(ありがとうございます。因みに【呪詛】ってもう無いですよね?)

(それは、発動するまで私でも分りません)

(そうなんですか……)


 これ以上、【呪詛】があると完全な欠陥人間になってしまうな……。


(モクレン様、ついでにお聞きしていいですか?)

(はい、何でしょうか?)


 スキルの一部が正常でない気がする事を伝えた。

 モクレンは、俺の状態を確認する。

 ステータスと何か俺の見えない物とを比較しながら、暫く考えている。


(スキルの相互干渉による不具合かも知れません)


 本来、習得しないであろうスキル同士が、お互いに干渉してしまい本来の機能を発揮出来ない状態らしい。


(修復可能ですか?)

(難しいですね。 全スキル習得の弊害ですね)

(……そうですか)

(今、分かっているスキルに関しては、私の権限で『スキル合成』して新たなスキルとして対応致します)

(そんな事が、可能なんですか?)

(えぇ、ですから変だと思ったら教えて下さい)

(はい、大変助かります)


モクレンは、【鑑定眼】と【魔眼】を合成して【神眼】に変更させた。

【危険探知】と【世界地図】は【オートスキル】と干渉している為、【危険探知】と【世界地図】のみ合成させて、【魔力探知地図】に変更させた。


(ありがとうございます。 因みに、合成した事で寿命は縮みませんよね?)


 モクレンに礼を言い、恩恵ユニークスキルによる寿命の件を確認した。。


(大丈夫ですよ。 エリーヌが迷惑ばかり掛けて、申し訳御座いません)

(いえいえ。それで、その本人はどこに?)

(部屋で今回の報告書を書いてます)

(……絶対にサボっていますよ)

(まさか、あれから心を入れ替えて真面目になりましたよ)

(見せて貰ってもいいですか?)

(はい)


 その後、エリーヌの姿は映し出されることなく、モクレンからは急用が出来たと一方的に切られた。

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