第168話 オリヴィアからの依頼と、共通クエスト-2!

 コカトリスの集団が生息している場所に移動してきた。


「さっきと同じように戦うの?」

「そうだな、今回は違うな。 俺が襲われていても作戦だから手を出さないで欲しい」

「あぁ、分かった。 変に手出しをして死にたくないからな!」


 ムラサキが笑いながら冗談を言う。


「姿消すけど、気にするなよ!」


 【隠密】でコカトリスの傍まで行く。

 巣に、卵が数個あるので全て拝借する。

 コカトリス達は突然、卵が消えたので驚いている。


 集団の中央で【隠密】を解いて、姿を現す。


 目の前にいきなり俺が出現したことにより、集団で俺を攻撃し始める。

 ある程度固まったところで、【雷撃】を自分に放つ!


 眩い雷光が周囲を照らした後には、コカトリス達が倒れていた。


 【魔眼】で確認すると、遠い場所にいた数羽は気絶していただけだったので、止めを刺す。


 ダメージの無い二体が俺に向かって、口から火を吐く。

 【全属性耐性】がある為、多少暖かい程度だ。

 そのまま、火の中を向かって行き、口の中目掛けて拳を振りぬく。

 それを見たもう一匹は、火を噴くのを止めて、翼を広げて羽根を飛ばしてきた。

 横に移動して羽根を避ける。

 コカトリスが、こちらを向こうと体勢を変えた所を一気に距離を縮めて、腹を拳で殴り地面に叩きつけた。

 戦闘後の【解体】作業を行い、シキブ達の所に戻る。


「……今、何をしたの?」


 シキブが、真剣な顔で質問してきた。


 まず取り囲まれる様に誘導した後に、【雷撃】を自分に掛けて【魔法反射(二倍)】で攻撃をする。

 【魔法威力増加(一〇倍)】のスキルと合わさって、二〇倍の威力がある魔法での攻撃が出来ると説明した。


「見たことも聞いたことも無い戦闘方法だわ……」

「けれど、これなら敵の懐に潜りこめば一網打尽だな」

「俺だって、無職なりの戦い方を研究しているんだぞ!」

「タクトの無職って、詐欺に近いわよね!」

「俺もそう思うぞ」


 ……この夫婦は


「タクトのおかげで、何もせずにレベルアップしたから、文句も言わないけど」

「俺もレベルアップしたぞ!」


 シキブ達とは、討伐クエストの為『パーティー』を組んだ。

 よってシキブ達にも経験値は入る。


「ところでタクト、今レベルどれ位なの?」


 俺の戦闘方法と攻撃力に疑問を持ったのだろう。

 ほんの数週間前までレベル三二だったからな。

 この間がレベル七一だったけど、その後も戦闘しているからレベル七三位にはなっていると思う。


「ステータス確認してみる」


 ……レベル八二!

 いきなり上がっているな。

 ランクBのクエストや、トブレの素材調達だろうな。


 シキブ達のレベルって、六〇前後だったから絶対に何か言われるな……

 まぁ、仕方ないか。


「今ので、レベル八二になった」

「八二ですって!」

「ちょっと、ステータス見せてくれ!」


 【隠蔽】を解除して、閲覧可能にする。

 いつぞやの見たことある光景だ。

 俺のステータスを見ながら、ふたりで色々と言っている。


「お前、ユニークスキル増えていないか?」


 ムラサキが気付いた。


「あぁ、気が付いたら増えていた」

「お前、気が付いたらって! 冒険者たちがユニークスキル習得する為に、日々努力しているっていうのに!」

「いやー、スマン。 俺のせいじゃないんだけどな」


 俺とムラサキとのやりとりを聞いていたシキブが、


「タクト、あなたギルマスやらない?」


 突然、訳の分からない事を言ってきた。


「どうした、突然!」

「通常、ギルマスになる冒険者は、その拠点で活動する一番レベルの高い冒険者が就任するのよ」

「俺の方が、レベルが高いからというわけだからか?」

「えぇ、あなたも自分より弱いギルマスには従いたくないでしょ?」

「いや、全然従うぞ! 逆に従うからギルマスはやりたくない」


 あまりにも俺があっさりと拒否した為、シキブは面食らっている。


「どうしても、ギルマスやれっていったら、街出るからな!」


 駄々っ子のように、再度拒否する。


「それに、人望とか運営等とかの能力も、ギルマス就任の条件になるんだろう。 絶対に嫌だ!」

「本当に欲が無いわね……。 ギルマスになりたい冒険者なんて沢山いるのよ」

「だって、面倒臭いだろ」

「ギルマス目の前にして、よくそんな事言えるわね」

「シキブがギルマスだから言えるんだよ」


 ムラサキが俺の肩に手を掛けて、シキブに向かって


「タクトに街出てかれると嫌だろう。 諦めろ!」

「……そうね。 もう、刺激が無くなる生活には、満足出来ないでしょうからね」

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