第26話 衝撃の事実!

 衝撃の事実を、アルとネロから聞く。


 一応、ふたり共魔王なので、恩恵ユニークスキルを勝手に貰った事を詫びた。


 ネロについては確信犯だが……。


 ふたり共、別に気にしていない。

 既に、恩恵ユニークスキルに頼らなくてもよい強さを持っているからだろう。


「妾達は、条件付きとはいえ不死だから特に気にしていないけど、タクトは違うじゃろ?」

「あぁ、【不死】のスキルは断られたからな」

「寿命は大丈夫なのか?」

「なにがだ?」


 本来、恩恵ユニークスキルは、自分の心身を犠牲にして習得するもので、一般的には知られていないが、習得する度に寿命が縮まる。

 達人が長生きしないのは、このせいだとも言われている。

 【不死】のスキルを持っていなく、しかも有数の恩恵ユニークスキル持ちの俺を心配してくれた。


「なんなら【魔眼】で『死期』見てやるから、【魔法反射(二倍)】をはずせ」


 ……いきなりの死刑宣告か!


 【全知全能】にも確認したがアルの言う通りだった。


 この件に関しては、エリーヌを責める事は出来ない。

 恩恵ユニークスキルが習得可能だった不具合の時に、浮かれすぎて報告していない。


 これだけのチート能力で、リスクが無い訳が無い。


 現実を受け入れるしか無いが、何かしらの対策はあるだろうから、取り急ぎ連絡しておくか。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「えっ!」

「申し訳御座いませんが、解除は出来ません。 一応対策はしてみますが……」


 モクレンが、通常のスキルを削除(神へ返還)すれば、その対価分は寿命が減らない様にしてくれた。

 この世界にきて習得した恩恵ユニークスキルに関しては、スキルのポイントによって変わる。


 簡単に言うと「ユニークスキル習得(一〇ポイント)」⇒「寿命縮む(一年)」⇒「通常スキル習得(一ポイント×一〇)」⇒「ユニークスキルとの等価交換(一〇ポイント=一〇ポイント)」


 つまり、ユニークスキルを自動的に習得してしまう限り、他の実用的なスキルへ振り分けが出来ずに使用しないであろうスキルに割り振る必要が出てくるのか……。

 しかも、習得するまでユニークスキルの習得値が、分からないのも気になる。

 いきなり、死ぬ可能性もあるわけだ……。


 【呪詛:恩恵の代償】が発動した。

 【呪詛】なのね……。


「この【呪詛】は、他の人からは見えませんので安心して下さい」


 安心は出来ませんが……。


 しかし、このタイミングで分かってよかった。

 もっと後だったら、確実に死んでいた。


 これからは、通常スキルはあまり使えずに恩恵ユニークスキルのみで生きていく事になる。

 そもそも、恩恵ユニークスキルって特殊すぎるんだよな……。


「エリーヌは、俺に恨みでもあるのか? 【呪詛】をふたつも掛けやがって!」

「不可抗力ってやつだね」


 ダメだ、まったく反省してない……。

 これからも、【呪詛】を掛けられる気がする……。


 俺って、世間からみれば『無職でスキルもろくに持っていない、敬語の使えない青年』


 言葉にすると、自分の事だがクズ人間だな。

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