第17話 ドラゴンと小学生!

 ドラゴンと小学生。

 非日常的な組合せだ。

 それが今、目の前に……。


「クロ、ちょっと説明してくれるか」

「はい、こちらの……」


 クロが説明しようとすると、小学生はドラゴンの背から飛び降り、俺の方に歩いて来た。

 下から俺を見上げる。


「お前がタクトか?」


 なんだコイツは?

 怒りこそ無いが、年下に呼び捨てにされるのはあまり気分の良いものでは無い。


「そうだが、おチビちゃんは早くママの所に帰った方が良いんじゃないのかな〜」

「主、あのその……」


 何故か、クロが慌てている。

 理由はよく分からないが、小学生の頭を撫でながら、


「ほら、鳥さんも早く帰った方が良いって言っているよ」


 と追い討ちをかけた。


 小学生は俺を睨んだ瞬間、空気が変わった。

 明らかに空気が重く、身体が思うように動かない。

 ……何が起こった!


「アルシオーネ様、お止め下さい。私の主ですので、無茶な事は御遠慮願います」

「うむ、仕方無いのう」


 納得はしていないようだが、クロに言われて黙り込んだ。

 先程の重々しい状況から開放された。


「主、こちらはドラゴン族総帥のグランニール様で御座います」


 ドラゴン族総帥って、一番偉いドラゴンて事だよな?


「こちらの方は、六大魔王の第一柱アルシオーネ様になります」

「おぅ! アルシオーネだ、ヨロシクな!」


 娘達が怯えている。

 当たり前だよな、いきなりドラゴンやら魔王が、目の前に現れるんだから。

 一生に一度も見ずに、死んで行く奴だって一杯いるんだから……。


「グランニール様に娘達を運んで頂くように御願いに伺うと、たまたま遊びに来ていたアルシオーネ様も同行したいという事になりまして……」


 クロ、そういう事は事前に連絡してくれ。

 そもそも、魔王なんてのがこの世界エクシズには存在するのか!

 しかも、六大魔王って何だよ!

 そもそもドラゴンを、移動手段に使うって……。


 社会人の基本は、報告・連絡・相談だ。

 今回の事は社会人としては、失格だぞ!


「タクトとやらお主、転生者いや、転移者か?」


 何? どういう事だ! こいつも転移者か!


「何故、そう思う。お前がガルプの使徒だからか!」


「ガルプの使徒? そうかお前は、新しい神の使徒ってところか。という事はガルプはクビになったって事だな、ハハハハハ」


 ……コイツ、どこまで知っているんだ。


「それでお主は転生者か、それとも転移者のどっちじゃ?」


 アルシオーネは含笑いをしながら、俺を見つめた。


「どこまで、知っているんだ?」


 思い切って、聞いてみた。


「さぁ、どうだろうな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る