病室にて

達哉は、医学部を、上位に、卒業してから、もうだいぶ、たつ。家庭も、もっており、庭付きの家も、まぁまぁ、友達に、自慢できるくらいの、ひろさだ。人生は、じゅんぷう、まんぱん。宝くじに、当たらなくても、じゅうぶんに、人生は、おうか、できている。自慢には、ならないが、妻には、ないしょで、浮気も何度かしたし、それなりに、人生を、楽しんで、いた。         鉄格子の中の少女は、先月、入居してきたばかりだが、資料が、だんぜんに、目を、ひいた。   それ以上に、なんにも、見ていない彼女の目の、力の強さには、それ、以上に、吸い込まれる力が、あった・・・・。その目の、なかに、自分を、映してほしい、と、思わせる、ほどの、なにかが。   達哉を、くるわすものは、それだった。それは、危険だった。 達哉には、夜勤もあったし、病室にも、立ち寄った。でも、達哉は、自分では、気がついていた。今は、診察中では、ないと・・・。立ち寄っているのは、彼女のとなりに、来るのは、・・・・業務がい、だった・・・・。達哉の、内心だけが、察知している、警告だった。  彼女の、部屋は、まっ・・・・しろ、だった。かべにかかった絵も、服のいろも、ない。彼女の、これまでの、歴史も、知り得なかった。でも、ここへくると、・・・・達哉から、消えていった。すべての、見たもの、聞いたもの。妻の声・・・・子供のこえ・・・・。同僚のこえ・・・それらは、遠く、遠く、遠のいて、いって、この真っ白のへやの、彼女の、真っ白な、目の、なかに、くぎづけに、なった・・・・。

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