第10話 Kingdom of Domination
重い口を開き、クレハは少し、また少しとキングダムについて話し始めた。病室は静寂に包まれた中で、クレハの言葉だけが響いていた。
「キングダムは10年前、突如として現れた。奴らは有機物、無機物を集め魔物を作り複数の町や村を襲い始めた。それはまさに恐怖だったよ…さっきまでの見慣れた風景が、さっきまで話していた人たちが敵の一部になっているんですもの…」
「10年前、俺も月光も魔法使いとしては新米だった・・・キングダム絡みの被害の多さに、すぐに俺たちも戦い…いや、あれは戦争だな…駆り出され、そして目の前で友人が怪物にされて…」
「そして、その友人を僕たちが倒す。倒すしかなかったんだ。未だに忘れないよ。僕たちがやってきたことは正義じゃない…あれは人殺しと変わらない!!でも、それも僕たちは倒すしかなかったんだ。これ以上犠牲を増やさないために・・・」
クレハの言葉に同調して、日光と月光も過去の話を始めた。その話はリオ達三人が思っていた内容よりも更に深いものだった。
過去を悔みながらも、何も出来なかった事をずっと罪だと思っていた。10年前を経験していたメンバーはそれを話す時は、少しずつ少しずつと言葉を整理しながら3人に伝えていた。
「それでも、僕たちは戦った。魔法使いの先輩たちと一緒に・・・そして僕たちはたどり着いた。キングダムの主・・・」
「King of proof…それが私達が戦っていた、そして今再び戦うべき敵の親玉の名前よ。そしてその下にいるKing's children…おそらくその中の一人が」
「私達の戦ったプリンセス・・・スノウ・リング…そんなのが相手だなんて…」
月光、クレアの説明を聞き、リオがその名前を口にした。そしてその名前が出た時、ルナとミアの表情が一段と暗くなった。
それでも、そのままクレア達は話をしていた。10年前の戦いの結末に向かって。
「でも、流石にその時代にプリンセス・スノウ・リングなんて敵はいなかった。多分、封印のスキを狙って新しく生まれたKing's childrenのメンバーなんでしょう。」
「封印?10年前のそのキングダムとの戦いにドールテン総監達は勝ったんですよね?」
「あれは、勝ったって言うには程遠い!あれでクレハや俺たちはほぼ死にかけた!!それに…」
「…当時、僕たちには憧れるような5人の魔法使いがいてね。そのうちの1人はこのM'sKの創設者の御方で10年前の戦いの総指揮をとっていた。そして…ユイナ・オオカ師匠を含む4人の魔法使いが、その戦いの最先端で僕たちを率いて戦った。そして…師匠は生涯に残る負傷をし、復帰は絶望的に。もう1人は精神を崩壊して引退…」
話の中で出てきた魔法使いが次々に、再起不能となっていく様を聞き、三人はより顔を曇らせた。
自分たちの先生ですら勝てない相手と戦った。それを思い出すだけでも戦意が喪失する。
そんな怯えた状態でもミアが口を開き話の続きを聞いた。
「その魔法使いの残りの二人はどうしたんですか?」
「残りの二人は・・・」
「死んだよ………みんながKing's children達と戦ってもらっている間に、私達4人はKing of proof…プロフをキングダムの全員ごと封印しようとした。結果的に封印はできたが、不完全な封印で…いつ蘇るか分からい状態だった。それでも…私達4人のうち2人が命を失うほどの魔力と体力を使い、残りの二人は再び戦うことができない状態になった。」
月光がミアの疑問に対して返事をしようとした時に、オオカは遮り打ち明けた。
その目は、いつもの優しく3人を見守っていてくれている目ではなく、真剣にまっすぐ鬼人の如き怖い目で三人を見つめていた。
「魔法少女の方程式!!…これはM'sKの先輩としての問います!!この話を聞いて、キングダムと本気で戦う勇気がありますか?それとも…」
「 M'sKを辞めますか? 」
魔法少女の方程式 テイる @aiao0920
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