1分でできる妄想シリーズ

降矢めぐみ

第1話〜純愛ジレンマ〜

 耳に突き刺すアラーム音。



「ん……もう起きんの?」



 耳元で甘い囁きが聞こえる。



「だって、そろそろ起きないと遅刻しちゃうから」



 私だって離れたくはないのに。自分だけ、少し不機嫌そうにするのはずるい。


 一度布団から出ようとした私だけど、もう一度布団の中に引きずり込まれる。そして私を逃すまいと、先ほどより甘く、色気を含ませた声で耳を撫でる。



「大丈夫、支度を全力で済ませれば、あと五分か十分くらい。だから黙って俺に抱かれてろ」



 そうやって、彼はその大きな体で私を包み込んだ。


 耳に突き刺すアラーム音。だってこうしないと、冬の朝は離れられないから。


――私が純愛を捧げている、この布団からは。

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