夏の日に・・・

勝利だギューちゃん

第1話

ここは暗い、土の中。

人は皆、「かわいそう」という。

でも僕は、そうは思わない。


ここは、とても楽しくて、居心地がいい。

食う物にも困らない。


仲間もいるし、スリルもある。

この上何を望もうか?


でも、この場所ともお別れだ。

そろそろ地上に出なければならない。


この暑い中、何が悲しくて地上へでないといけないんだ。

6年前の事が、昨日の事のように思う。

今日までの事が、走馬灯のように、蘇ってくる。


6年前に、一緒の土の中に来た兄弟姉妹も、

殆どいなくなった。


地上に戻れる僕は、ラッキーかもしれない。


あっ、今夜だな。


僕は這い上がり、地上に出た。

視力が戻った。

土の中は暗いので、必要がない。


そして、手ごろな場所まで進んでいく。


まだ安心はできない。

敵が襲ってくる可能性も高い。


そして、手ごろな場所を見つけた。

いよいよ変身だ。


今の服を脱ぎ、新しい自分へとなる。

残された時間は、もって2週間。


僕の使命は、子孫を残すこと。

そのためには、パートナーを見つけないといけない。


よし、準備完了。

出発だ!


「今年の夏は、蝉の声がやたらとうるさかった。

何かあったのか?」

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夏の日に・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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