レベル28 青の妖精はたくらむ

まどろむような静寂に包まれた廊下を

僕は肩に座る妖精に従い歩く。

歴史的な城内は、窓から夜空の光と満天の星々に今は、楽しめる余裕は

僕にはなかった。


「フ、フタリさん・・・その可能な限り

やると言ったけどこれはまずいんじゃあ

ないのでしょうか?」


左肩に座るコバルトブルーの妖精に

僕は恐る恐るたずねる。フタリは

不敵な笑みを浮かべていた。


「いえ、その懸念けねん杞憂きゆうデス。たかだか意中の女の子が

就寝している部屋に入るのになにが

問題なのか、わかりかねないデスね」


目をつぶり当たり前のように

なにを問題があるのかと言われて正直、

困惑している。フタリがこう言った――

せめてわたしのお願いを

聞いてもいいのではと、言われ快く返事。

しかし、まさかこんなお願いされるなんて。


「ノックはするけど、もしティファニーが

寝ていたら諦めてくれフタリ。

黙って入れとかさすがにできないから!」

「当然じゃないですかデス。逆にそんな

ことをしたらわたしは全力でシゲザネを

消さないといけなくなりますからねぇデス」


冷たいそして、低い声で言われ背中に

悪寒が走るのを感じた。冗談ではなく

本気だと。ティファニーの安全はこの

フタリがいれば、安全安心で

少し疑いがあればどうなるか・・・

闇落ちのフタリは怖い。


「フン、フーン♪」

「・・・フェアリーが途端に上機嫌なった

ことに訊いてもいいかなフタリ?」

「さあ、わたしにも理解できませんデス。」


いやいや、その怪しいさのある笑みが

理解しているのだと僕は思うけどね!

本人に言えなかったが最早、その本人の

フェアリーに訊いてみるしかない。

右肩に乗る桃色の妖精は、暗闇だからこそ

長くつややかな髪は宝石ジュエル

ように美しく輝き。そしてはねには月のような光に心を癒され静かなる

ピンクの輝きがあった。


「んっ?どうしたのかな伊達くん。

このわたしの魅力にメロメロかな」


からかい特有の笑みを向け幼馴染みのような

言葉を使うフェアリー。


「まぁ・・・そうだな。うん、目に奪われるってあらためて思ったかな」

「・・・・・なっ!?

なにを言っているの急に褒めるなんて」


突然の賛辞に頬を赤くなるフェアリー。

僕は以外な反応するフェアリーに

つい微笑んでしまう。桃色の妖精は

その微笑にムッと眉をひそめる。


「なに、なんなの?わたしが恥ずかしく

なっているのに、どうして優しく

微笑むの?」

「あっ、いや・・・だってこんな

ほのぼのした会話なんて

久しぶりだったから、いつも誰かが泣いて苦しみからの叫びをばかりだから、

この一時ひとときがずっと続けてほしい思っていたかな・・・考えて」


それに、実現不可能に近いけどみんなこの

異世界の住人や召喚と転生した人にも

幸せになってほしいと願っている。


「伊達・・・そうね。争う心も奪う心が

ないような世の中になるといいわねぇ」

「・・・ああ。」


夜の静寂または、窓からの夜空の星の数々に

その両方に影響しただろうか想っていた

事が自然と言葉に出てくる。


「なるほどデス。シゲザネは好きな女の子

を襲うのが大事な一時ひととき

語るのデスねぇ」

「いや、ちがうから!」

「違うでしょう普通に!」


フタリは温かくなる場面を見ても

そんな爆弾発言をしたことに

僕とフェアリーは否定する。あくまで

訪ねに行くわけで、入って話をするだけ

なのだから。たとえフタリがどんな

無茶ぶりをしようが拒否をする。

許容範囲外は、ある。

そんな

話をしているとティファニーの部屋の

前にたどり着いた。ドアのノックしようと

・・・手がうまく動けなくなる。


「緊張して・・・もう、動けない」

「ハァー、ヘタレデス。・・・すぅー、

ティファニーさん遊びに来た

・・・・・・・デス」

「えぇー、そんなに叫ぶの!?」


フェアリーの驚愕するの仕方ないがない。

だって、下手をすれば他の人にも

起きてしまいここにやって来る可能性が

大幅に上がるのだから。

しかしなにも起きず静寂のままであった。


「起きないデス・・・次はなにを・・・」

「よし、起きないなら仕方ない帰ろう」

「あー、ダメなのデス!戻ってデス!!」

「諦めるのも人生じゃぞフタリや」

「悟った事を言うなデス!諦める人は

本気じゃないからデス!」


デス、デスと聞くと死の呪文の連続使用みたいと、心中で思うだけにする。

廊下を反転して進んでいると、

ドアが開く音がして、振り返ると

想い人のティファニーがいた。


「テ、ティファニー・・・」

「うん、ティファニーだよ。どうしたの

こんな夜分遅やぶんおそくに?」

「そ、それは・・・・・・・なっ!?」


きらめく赤い髪は長くいつもよりも

煌めいているように思える。そう思えたのは

夜だからこそ美しき見えるのかもしれない。

そして、赤い目には優しく包み込みそうな

瞳だった。そして、最も驚いた

理由は赤いネグリジェの姿だ。

何て言うのか目や頭が刺激が強すぎって

見れない!?


「・・・あー、伊達がティファニーの

寝間着に限界が来たようですね」

「はいデス。こればかりは仕方ないので

サポートするしかないデス」

「・・・・・サ、サポート?

フタリなにをしようとしているんだ?」

「心配は無用デス。それではフェアリー、

ティファニーさんをここまで

連れてきてデス」

「イエス。それじゃあティファニーを

連れていくねぇ」


僕の問いには答えずフタリはフェアリーに

指示をする。後ろにうつむいた僕は

後ろをチラッと見ると、当然だが

ティファニーは、首を傾げている。

空を飛ぶフェアリーがティファニーの前に

着くとなにか話をしている。

声が聞こえるけど内容まではダメだった。

小声だから聞こえないのか・・・スキルとか

発動しようと悩んでいると。


「シゲザネお願いしますデス。

スキルの一部の使用許可をデス!」

「そ、それはいいけど・・・・・

あっ!もしかしてフタリも耳を傾けようと

スキルを?」

「なにをデス?・・・あー、なるほど

だいたいそんなところデス」


なにか思案を巡らしていたが的外れでは

ないが遠くなかったことだろうか?

気になるけど尋ねるのは今はやめよう。

ただ、どんは話をしているかだけと

納得しよう。フタリに謀略があると

考えるのはよくないから。


「わかった。許可をするよ」

「よし、これでスキルを使えるのデス!」


フタリは二つの浮かんでいる正方形を出現させる。その正方形の中央には素早く回転が

できそうな球体がありそれを左右の手のひらで触れると、目映く光る。

フェアリーのときも使っていたが、改めて

見るとそれは、ノートパソコンを

数年先の次世代型を思わせるものだった。


「えへへ、呼びましたよ~」

「フェアリーが近づいてと言われたんだけどなにかあったの?」


フェアリーは、だらしない笑顔で

ティファニーの手のひらに横になり

頭をでられていた。

フェアリーがティファニーにかなり甘えて

いるのは、知っていたけど

ここまでとは思わなかった。

ティファニーの表情は、うれいが

少し含む微笑みで明るい声で訊かれる。


「実は・・・デス、ティファニーさん!

シゲザネがそのネグリジェが可愛い

過ぎるとわたしに言っていましたよデス」

「へぇー、可愛い・・・あわわっ!?」


天使のように微笑みで返事をする

ティファニーだったが、言葉の理解をすると

白い頬を赤らめ動揺した。

横目でチラッと見れるようになった

僕は寝間着のティファニーの顔を真正面に

視線を向ける。闇のフタリは鬱憤を

晴らすためか、反応を見てたのしもうとしているのではないのか、そう疑いながらも僕は咄嗟とっさに出てきた

言葉を選択の余裕も時間もなく使う。


「ま、待ってくれ。可愛いなんて僕は

まだ言っていないよ!?」

「そうですかデス。

わたしの聞き間違いだったようデス。

だけど少々、気になる点があるデス・・・

シゲザネは可愛いを伝えたいと想っていた

ことになるのではデス?」

「そ、それは・・・・・」


言葉を返すフタリに視線を向け鋭い観察眼に

次の言葉が出てこずティファニーを

横目で見れば突然の賛辞がフタリの誤解と

知っても僕に期待を込められる眼差し。


「そ、そうだ!さ、ささ、さすがは

フタリ。えーと、ティファニー!

その・・・・・・

可愛い・・・です」

「うん、ありがとう。スゴく嬉しいん

だけど、なんだか照れるよ。えへへ」


勇気を出さないといけない状況の流れに

任せ可愛いとティファニーになんとか

伝えたものの、顔がうつむく僕。

ティファニーの声音で恥ずかしさによる

緊張と普段よりも少し高めでなんとなく

表情が読み取れる。


(この流れを作りこの言葉を

言わせたのもフタリ・・・もしかして

これが目的の一つとか?)

「さて、いつ誰か来るか分かりませんので

そろそろティファニーの部屋に入るの

ですよデス」

「ハッ!ティファニーの部屋・・・」


僕達を促すフタリ。片方の妖精は

ティファニーの手のひらで気持ち良さそうに

肘を曲げ頭を手のひらに乗せ

ているフェアリーが部屋に行くことに

驚き幸せそうに破顔はがんする。

フェアリーのキャラの変化に戸惑いが

あるが好きな女の子の部屋に入ること

に戸惑いと高揚感こうようかん

他のことに考えが集中ができなくなる。


「やったぜよ、ティファニーの部屋!」

「フタリはしゃぎ過ぎデス」

「お、お邪魔します・・・」


フェアリー、フタリは飛び最後に僕は

ドアを閉め終え小声で入る。

ティファニーの部屋は広くそして家具など

ほとんどなかった。

白のどこにもあるようなベッドや

少し安易そうなテーブルに

クローゼットしかなかった。

さすがの僕でも不安になるほどに少ない。

趣味を嗜むような物があっても

いいのではと思う。


「あれ?なんていうかティファニーの

部屋にしては、なんかシンプルだよね」


フェアリーが部屋中を視線を巡らし

素直な感想を言う・・・・・・・

ティファニーには珍しく無言でいた。

フェアリーは、聞こえいないのかもう一度

言ってティファニーは明るい非常で答える。


「うん・・・ずっと生まれた家が懐かしくてねぇ・・・・・その家具は家の使いたいなぁ考えて」


歯切れの悪い言葉だったけど、

なにを伝えようとしたいのな僕は分かった。

ずっと生まれた家をというのは

僕と同棲していたあの家のことだろう。

家具などの言葉で確信した。


「なるほどデス・・・不覚にも忘れていましたデスよ。今度、シゲザネと一緒に

二人の新婚生活の家にデス」

「あっ、だよね!だよね」

「そうだな。ティファニーには

思い出の場所で、大切な家だよなぁ・・・

近いうちにみんなで行こう!」

「シゲザネ・・・フタリ・・・フェアリー」


ティファニーは昔の事に涙ぐむ。フタリは

僕の左肩に座り呼吸が乱れていた。

たしか、権限できる時間が

短いと言っていた。

フタリは、地図を操作するあの

二つの正方形と中央の球体を出現させ

なにか操作する。


「それでは、いつまでも立て話すのやめて、

座って話をなさせてはデス?」

「うん、そうだね。

フェアリーとシゲザネに十分に

もてなすことできないけど

わたしのベッドの上に座って。」

「えっ!あ、ああ。そうだな」


フェアリーはティファニーの肩に

僕はおそるおそるベッドの上に座る。

意識してはダメと自分と激しい戦いを

繰り広げながら。僕の左に座る

ティファニーは微笑を向ける。


「こう二人になると恥ずかしいよね?」

『ど、どうしよう!?やっぱり

あれだよね。告白の返事に来たんだよね

シゲザネは・・・わあぁーーー!!

あのとき、どうしてわたしは

あんなことを言ったのだろう!?』

「・・・・・そ、そうだね」


僕はティファニーの口を動いていないのに

聞こえてくることに軽く混乱する。

腹話術ふくわじゅつにしては

はっきりと透き通っていていつもの高さで

口を閉じて発声にしてはいつもと変わらない

ことが不自然で様々な憶測が出ては

消えていく。

・・・どうしてティファニーの

心の声が聞こえたのだろう?

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