ライギョマン

松ノ木下

第1話 出会い

 ライギョマンとは、ライギョ釣りをこよなく愛し、ライギョ釣りに情熱の全てを注ぐ者達の事である。



 -1995年8月早朝-

 山梨県大鶴郡天竜村

 天竜湖


 チュンチュン…、チュンチュン

 小鳥の囀りが静かにこだまする。


 バシャッ!!

 静寂を破り水柱が上がった。


「きた!大きいぞ!」


 バシャ、バシャ、バシャッ!!


 プツン…。


「あーあ…、また切れちゃった…。」


「おい!坊主!」

「???」

「ここで釣りをしとると危ないで!ここは怖~いオバケが出るんや!」

「え?オバケ?…。」

「そうや。だからこの辺の水草のあるとこで釣りしたらアカン!えー子やから、あっちの水草のないとこで釣りしーや!あっちの方がデカイのおるで!」

 そう言って、僕の頭を優しく撫でてくれた、大きくて力強い手を僕は今でも忘れない。

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