第22話 不破未代・睡眠の仮面外れる時

 これといって何もない八月の下旬、夏休みの終わりが間近に見えた頃、私の家に二人の友達が泊まることになった。

 八科はっか樋水ひみずもよく私の家に来るし、両親も、夢生むうも、二人のことを悪く思っていないから、大きな問題はない。

 ただ、最後に会った時、樋水と妙ないざこざがあったから、そればかりが心残りであった。


 ――初めて会った時から、色々思うことはあった。

 八科智恵理ちえり、中学の時から見たり見なかったりしてたが、こいつは本当に訳が分からない人間だった。樋水と一緒につるむようになるまで、私だってこいつは鉄仮面の、どころか機械人形のような異様さを感じていた。不気味なところがあって、本当は学校が試験的に導入した生徒型ロボットです、と言った方がまだ信じられるぐらい。

 だけど、今はそう思わない。相変わらず固いし、言うことは学習するロボットみたいだけど、露骨に態度は軟化している。言葉の端々から樋水に懐いて、人当たりが柔らかくなっている。だから私も最近は安心して八科とよくコミュニケーションを試みている。ああなると八科は可愛いくせにかっこいいから弄りがいがある。何より無抵抗だし。

 ……ただ、樋水楓、こいつが分からなくなった。

 初めて会った時から、大概なんだこいつってなってたけど。いきなり起こして、友達になろうつって、しかもそれが名簿順で近いから。よりによって私と八科だ。

 私を強引に運んで、八科と遠慮なしに付き合って、それでもう五か月にもなる。

 例えばそれは漫画の主人公みたいな底抜けに陽気な馬鹿だとか、手から零れ落ちるものを拾い切る聖人君子せいじんくんしのような誠実さがなければ務まらないと思っていた。

 が、どうもそうではないらしい。いわば凡人ならではのメッキが剥がれ落ちているような雰囲気が最近の樋水にはあった。

 つまるところ樋水はただの食いしん坊ではないらしかった。暇さえあればお菓子を食べて、お菓子をあげて、お菓子の話をしてるようなやつ、それが私が起きている間、彼女がしていることのほとんどだった。

 背が低くて妙にまるこい目をした可愛い子だった。よく人懐こそうな笑顔を浮かべている、ムードメーカーのような奴だと思っていた。家に一人は飼っていたいくらいだとも思っていた。

 そうじゃないと気付いたのは、八科が運動部からの勧誘を熱烈に受けるようになった時くらいだろうか。

 八科は八科で愛想の悪いやつだが、樋水はどうもそれを巧みに隠しているような愛想の悪い奴だった。放任主義で八科に部活の参加を断らせるようになってから、そういう応対をしている八科や部活勧誘の連中を見る眼差しの冷たさや、そもそも見向きもしなくなった姿。最近のあの……なんとかいう男子三人組への応対も含めて確信したことがいくつかある。

 樋水は明確に私と八科とだけ仲良くしている一方で、実はそこまで私達に関心がない。皆無というわけではないが、深く繋がろうとか、大事にしようとは思っていない。

 学校の友達でしかないのだ。例えば親友だとか、より深い心のつながりを得ようという気持ちがないのではないか。

 彼女にとっての八科や私に向ける興味は単なる知的好奇心のみで、そこに障害があれば容易く身を引くような気軽さ。私達を人間扱いせず一種の娯楽として扱う程度の居振舞い。

 そのくせめちゃくちゃ気は遣うし人間関係に傷がつかないようにする。一体何にそんなに怯えているのか分からないが、随分不器用な生き方をしている風に思えた。

 八科の奴も大概変で、どういう生き方してるのか気になるが、私はそれ以上に樋水楓という女がどういう考え方をしているのかが気になって仕方なくなったのだ。


――――――――――――――――――――――――――――


「お邪魔しまーす」

「失礼します」

「んー」

 二人ともそれなりの荷物を持ってやってきた。といっても、特に理由もなければ目的もない、ただ泊まるというのが目的なだけの宿泊である。

 二人が家に来るのはしょっちゅうのことだが、いつもと違うのは私が主人としてきちんと招き入れていることだ。

 もう私の家までは二人の方が勝手知ったるものだろう。私が登校、下校するよりも二人が運んでくれた回数の方が遥かに多い。

 家に来てから遊ぶことも随分と増えた。中学の時は、そういえば一度もなかったか、小学校の時も。

 私の友達は夢生しかいなかった。不肖の妹は私より頭が悪いくせにどうもこの私のことを不出来な妹のように思っているらしかった。それでいて八科の熱烈なファンだから少し心配になる。この間八科が借りてた母さんの着物を、部屋で一人、じっと握ってた時の夢生、少し怖かったよ。

 私のことを心配する友達ができたこと、私と遊ぶ友達ができたことを家族のみんなが喜んでいる。私だってそれは嬉しいが、二人との関係性は単なる友達ではなかった。

 これはもっと――そう、高度な駆け引きのようであった。私達は誰一人として私達の真意を知らない。気持ちも通じ合っていない、表層だけの薄っぺらな付き合いでそれなりに楽しくやっている。

 それも悪くないと思った。八科と樋水はそれだけでも全然面白い奴らだから。

「不破さんやっぱりゲーム上手だよね。このっこのぉっ!」

「前から思ってたけど樋水はゲーム下手だなぁ。あははっ」

 八科も慣れるのが早く、最近はチーム戦で二人係で八科と戦ってるけど、八科は相変わらず何でも上手だ。

 樋水は、でも変にさといところがあるから気付いてると思うけど、いつまでも不破さん八科さんって慇懃いんぎんに呼ぶの、むしろちょっと変だぞ。この間、冗談めかして不破って呼ばれた時、私がどれだけ嬉しかったか知らないんだろうな。夢生の前で未代ちゃんなんて変な呼び方してたのも聞いてたんだからな。

「は~、ゲームも意外と熱くなるもんだね」

「毎回そう言っていますね」

「毎回思っちゃうんだよねぇこれが」

 時折私の表情を伺い見ながら樋水は不器用そうに言葉を紡いでいく。大丈夫だよ、もう怒ってないから。

「不破さん、眠くない?」

「今日は平気だよ。あんまり寝てはないけどね」

「ダメだよ、寝ないと」

「優しいじゃん、心配してくれてるの?」

「私が優しくなかったことがありますか? ねえ八科さん」

「……どうでしょう」

「そこははいって言ってよ! でも寝ないと健康に悪いのは事実だよ! ねえ八科さん」

「はい」

 鬼の首を取ったように樋水は自信たっぷりに笑っている。私を寝かせたいのかこいつは。

「不破さん家で寝る時はめちゃくちゃエッチだから見たいとか思ってないよ」

「いやそれ、前々から言ってるけどなんなの?」

 樋水の分からないことと言えば、これもある。なんか寝てる私の方が良いみたいなことをしょっちゅう言う。黙っていれば美人、みたいな言葉はあるがどうも樋水は寝ている私に妙な執着があるらしかった。

 寝ている私なんて私は見たことがないから分からないけれど、それに関しては中学の時に似たようなことを言われていたから、そうなんだろうという自覚が少しだけある。

 そんなに樋水が見たいなら、樋水の前でずっと寝てるのもやぶさかではないが。


――――――――――――――――――――――――――――


「あ~もうすぐ学校やだ~!」

「辛そうですね」

「辛くないの!? 夏休みが終わるんだよ!? 色々なことしたけどできなかったこともあるし、誰かさんは沖縄に行くし……」

「別に行きたくなかったんだけどね。八科んちはどうだったの?」

「デカかったよ」

 樋水は八科の家に行った感想をそれしか言わない。それも大概怪しいものだ。何があったかは知らないが。

 沖縄、本当に割とどうでもよかったんだ。私にとって十五年間過ごしてきた習慣なんかよりずっと、この十六年目の方が輝いて、煌めいている本物の青春――いや、そんな薄い言葉じゃない。

 私の人生が初めて、ようやく始まったような気がする。私に人間を教えてくれたのが樋水なんだ。

「沖縄はどうだったの!? そういえばお土産もらってない!」

「ああ、それは」

 ヤバい、忘れてた。

 部屋の隅に目をやると、お土産用に積まれた大量の袋、その中に中身が残ってる。

「あれ、ちんすこう」

「……いつから放置してたの」

「や、普通に買ったやつだから賞味期限はまだまだ」

「愛がない! 愛がないよ不破さん!」

 それは、本当に申し訳ない。泣いたフリして胸の中でぽかぽか叩いてくる樋水は、絶対に私や八科みたいに本気は出さない。加減して、怒られないようにと弱すぎる力で接してくる。そういうところもいとしいと思ってる。

「ま、いいや。早速いただきまーす」

「本当によく食うな……」

 さっきまで飴舐めてた気がするけど、それはどこへやら、もうちんすこうのパッケージを開けてバリボリと貪っている。

「八科の分もあるんだから全部食うなよ」

「もちろん分かってるって」

 どうだろう、樋水って食に関しては未知数だ。樋水自体謎が多いのに食欲にだけは正直というか、素直というか、嘘が吐けないのだろう。

 だから以前、うちで晩御飯を馳走する機会があったのに、避けるように帰ったのは凄く目立った。

 思わず心配だから八科にも帰るよう促したのに、全然あの後の情報がないんだから困ったものだ。気にしすぎないようにしてるけど。

「あんま食べたら夕食が食えないぞ」

「平気平気。甘いものは別腹だから」

「それ、普通後からデザート食う時に言う言葉……」

 しかし樋水がそれを言うと妙に説得力がある。気にせずここは彼女の感覚に任せてみよう。

「八科も食べるか?」

「いえ、持ち帰らせていただきます」

「ま、それが普通だわなぁ」

 八科のことも、よく分からない。何も私に人を見る目があるとは思っていないが、それにしたって不気味でどこか不愉快な存在なのに、いざ付き合ってみると従順で無抵抗、格好の玩具みたいな子だ。

「でも八科はもっと食べた方がいいよ。お腹、ほらこんなに……」

 つまもうとしたけど、むしろ八科のお腹は引き締まった筋肉があってつまむところもほとんどない。たぶん、割れてるな、腹筋。

「……こんなにガチガチだと男の子にモテないぞう?」

「そうですか」

「そうですかて」

 無欲の極みみたいで、自分の意志すら存在しないかのようなロボット。みんなが八科のことをそんな風に言うのは理解できる。私だって今でもそう思う。これでも、昔に比べて自分の意志を言うようになった方だと思うけど。

『二人がいなくなることが怖い』

 ……あの言葉をどう受け止めるか、今でも私には難しい。八科は私達のことを好いてくれているはずだから、安心して私も向き合えるけど。

 でも、時折不安になるのは仕方がないだろう。だって八科は、鉄仮面のロボットだから。私にはまだそうとしか思えない時があるから。

 きっと仲良くなれる、なんて甘いことは言わないけど、それでも一緒にいることに私も意味を見出した。信じてるよ、八科。


――――――――――――――――――――――――――


 本当に私の部屋で夕食を済ませやがった。人の家での食事が嫌じゃないなら、家族が嫌なのか。

「樋水ってうちの家族に遠慮してる?」

「え、なんで? 突然なに?」

「前なんかそそくさと帰ったじゃん」

「……あー! あー! あれね! まあ、うん、そう」

 思い出したのは事実だが、結果として嘘も吐いているような反応だ。あまり私の家族と顔を合わせたくない理由があるのだろうか。夢生とはしょっちゅう喋っているらしいし……父と母? 分からない。

「それで風呂なんだけど」

「不破さんは夢生ちゃんと一緒に入るとか?」

「なわけないでしょ。でも一緒に入りたいなら入ってやってもいいよ」

 ――なんて言うけど、一緒に入ってみたいとは思った。だって今を逃したらそんな機会は二度となさそうだから。

 でも、そんな素直な言葉は出てこなくて、一人で先走る樋水を見送ることしかできなかった。

 ダメだなぁ、今日はいろんな勇気を出そうと思っていたのに、次から次へと機会を逃してばかりいる気がする。

 次は絶対に、そうは思うけれど、次は私じゃなく樋水に主体的な動きをさせることになる。

 きっと樋水は気付いてくれる。だから、私は樋水に任せることにしたんだ。

 樋水ならきっと、私のことを知ってくれるから。


―――――――――――――――――――――――――


「じゃ、おやすみ」

「おやすみ~」

「おやすみなさい」

 布団を並べて三人で眠る。樋水と八科が並んで、私はその向かい側。上を仰げば二人が見える位置だ。

 電気を消して真っ暗な部屋に静かな息遣いが二つ。

 暗い闇の中で目を閉じると、先ほどまでついていた電灯がフラッシュバックして残像が残る。赤、青、緑の何かが瞼の裏を彩る。

 これが夢だと思っていた。夜眠っている時に見る夢というものは、時に美しく、時に恐ろしく、けれど幻想的であるという。

 私はこの幻想に魅入られて、毎夜毎夜、その幻想の星海に溺れた。

 麗しき、輝かしきこの世界に浸っているうちに――人の世界とはずいぶん離れてしまったけれど。

「なんかちょっと修学旅行みたいで楽しいね。お泊りの醍醐味だよ」

「……樋水さん、不破さんが眠っているので」

 ああ、そう。私はずっとこうして眠っていた。今までずっと、親にも気付かれなかった。


「甘い甘い。不破検定一級の私は騙されないよ。――不破さん、ずばり起きてるでしょ」


「……ふふっ、そりゃ今電気消したばっかりじゃん」

 目を開けて幻想の世界とは別れを告げた。布団から顔を出すと、樋水は楽しそうにこっちを向いていた。

「やっとわかった。不破さんが夜起きてるって嘘吐いたのに、夢生ちゃん達は夜寝てるって言ってた理由。誰も嘘吐いてなかったんだ。不破さん、こうやって狸寝入りしてたんだ」

「んーん、寝てるかもしれないよ?」

「立ってても二秒で寝れるくせに布団に入って一分持たないでしょ、普通」

 そう、そうなんだ、その通り。樋水は私が言ってほしいことをどんどん言ってくれる。私の仮面を剥がしてくれる……。

「ね、ね、なんで寝たフリしてるの? 何かあるの?」

 ――ありがとう、樋水。

 君には感謝の念が絶えない。

 暗い部屋で爛々らんらんと輝く君の好奇心の瞳が嬉しくて、可愛くてたまらない。全く踏み込んでないと、その興味が、安易な猫を殺す好奇心だと気付かない無邪気さが、決定打だ。

 これは、私の罠でもあった。君は私の喉笛に噛みついて、私は君の首を絞めている。そんな構図だ。


「――目を閉じると、幻想的な世界が広がる。真っ暗な中に、灰色だったり、蛍光灯の残滓だったり、白かったり歪んでたり。私は、それを見るのがたまらなく好きなんだ」


 ちょっとだけ間があった。樋水の返事は予想通りのものだった。

「それだけ? 本当に?」

「うん。つまんないだろ」

「うん、つまんない」

 私はガハハと豪快に笑ったけど、樋水はたはは、と力なく呆れているように笑った。そういうものだろう、よくわかってるさ。

「だけどね樋水、これは十五年間、誰も気付かなかったんだ。父さんも母さんも夢生も、今まで知り合った全ての人間が気付かなかった。これは、樋水が最初に気付いたんだ」

「え、なに、重い。重くない? 重い話?」

「私の感動を伝えたいんだって。ここまで踏み込んだからには聞いてもらうからな」

「ね、寝るから長くならないようにね」

 ビビったな、知ってるよ樋水が臆病だってこと。誰かの特別にならないようにしてたことも。

 でももう手遅れだ、その首に私の手が巻き付いているんだから。

「ああ……でも、この感動を伝える言葉が思いつかないな。……初めから言うと、そもそも私は、入学式の日に強引に起こされて、意味不明な友達宣言された時から樋水のことばかり考えていた気がする」

「愛の告白みたいなこと言うね……」

「愛の告白、いいね。今してるのはまさしくそれだ」

 愛と呼ぶのは少し陳腐かもしれない。しかし私の感情を表す言葉に最も近いのは、やはりそれのような気がする。

「退屈な人生というわけじゃないけど、私にとって一人でこうして瞼を閉じた幻想の世界に浸る方が楽しくて、それで充分な日々だった。他の人間、全部がどうでもよかった。親も兄弟も学校もクラスメイトも、近所の人も、いや世界中の人間全部がどうでもよかった。勉強さえできれば誰も何も文句言わないからそれだけして、私は昼も夜も問わず目を閉じて幻想の世界にいたんだ。私にはそれが全てだったから」

 思えば、やはり退屈な人生だった。人生を語れるほど生きてはいないが、私にとっての十五年分の人生全てが退屈であることは絶対だった。

「樋水と出会ってからが、初めてなんだ。……わざわざ樋水と会うために、きちんと寝たりしたんだぜ? 私の生活、すっかり睡眠と樋水を選べなくなっちまった」

「……いや、睡眠選んだ方がいいよ。人間、寝ないと死ぬし」

「言うな、そういうことはもう。もう逃げられないからな」

 樋水のやつ、引いてる引いてる。誰だってこんな風になったらビビるだろうに、樋水は実は人一倍臆病だからな。知ってるんだぞ。

「プールも夏祭りも、小学生の時に行ったのよりずっとずっと楽しかったよ。だから夏祭りでお前が離れた時、マジで辛かったんだからな。私は、樋水と一緒に行ったんだからな」

「もう寝た方がいいよ、不破さん……」

「でもあれで良かった。樋水が私の寝たフリに気付いてくれたから。樋水のことを信頼できた。私は世界から捨てられた仔犬だった。この世を恨みながら一人で生きていくところだったのを、拾ってくれたのは君だぞ。きっと、もう、ずっと君に尻尾を振り続けることになるんだ。飼い主なら最後まで責任とってもらうからな、かえで!」

 楓は、何も言わない。言えないだろう。これは臆病な楓じゃなくても、そうなるだろうけど。

 でも、私も限界が近い。最後にもう一つだけ事実を突き詰めて、終わろう。

「あと最後に。私、最初は寝たフリだったけど、生活リズムがめちゃくちゃすぎて、もう自分でも睡眠をコントロールするのが難しいから……もう無理…………おやすみ……」

 無念だ……けれど言うことは充分言った、気持ちも伝えた、あとは楓次第だ。

 ――八科を変えるなら、きっと私にしたみたいに、遠慮せず踏み込んでいくしかないからな。


※ ※ ※

 不破未代の常に眠っている風にしか見えない姿は、朝昼は睡眠をし、夜は目を閉じた時に映る記憶の残像などの輝きを見て楽しんでいる姿であることが多い。

 未就学児の頃より寝てることの多い不破未代はいつまでもその姿勢を貫き周りの人間の全てを騙し続けていた。

 しかしてその実、それは自分自身の楽しみのためなら周りの全てを蔑ろにする”極度の我侭”がその正体である。

 そんな不破未代の我侭は、これまた自分のためだけを考えていた樋水楓によって暴かれ、その役目を終えることになった。

※ ※ ※

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