第106話メッチャ感動しましたともさ!
「えっと、ハーちゃんは何でそんなに弱ってるんです?」
「あはは、まあ……そのて色々有りまして」
現在私は瑠璃とアリシアの言う通り疲弊していた。
その理由の一つとしては先程のやり取りの誉め殺しも、大変私の体力と精神力を削ってくれたんだが、何よりもギルドに来てからが酷かった。そしてその酷かった理由が現在私の目の前に屈んでこちらを覗き込んでいる瑠璃である。
この女、何故にこんな自然な形で胸の谷間を見せるポーズになるかな?
私を覗き込む事で前屈みになり自然に胸を寄せるポーズになっている瑠璃を見つつ、これも理由の一つなんだろうな~。と、思いいつもの事かとタメ息を付く。
まあ、予想の範疇だけどね。
瑠璃は昔から何かやっていても私や澪にくっついて来るから、瑠璃を目当てに集まる人間の敵意は皆私達に来てたからね。まあ、下心しか無い連中ばっかりだからたいして何も思わなかったけど。
そんな訳で今回も「俺達のルーリンさんを……」的なセリフをずっと言われてた訳なのですよ。馴れてはいてもやっぱり疲れる物は疲れるのです。とは言えそろそろ復活しないとね。
「瑠璃達も来たしそろそろ行こうか」
私はそう言って換金所に行く。大きい町とかだと受付と換金所が別れているのが普通の事らしい。
ここに来るまで知らなかったけど人数多いし当然だよね。
そんな訳で換金所へ。
因みに今回はスキルや魔法を使った戦い方を中心に試し、結構な数のモンスターを倒したのでエレオノ以外は全員レベルが1上がったらしい。閑話休題。
換金所に行くと換金所の受付嬢さんが瑠璃に親しそうに話し掛ける。
「いらっしゃいルーリンもうすっかり冒険者ね。元気そうで良かったわ。皆心配してたのよ」
「はい、メーラさんもお元気そうで良かったです」
そんな二人のやり取りを見て思うのは瑠璃の凄さだった。
瑠璃は昔から男を惹き付ける。が、だからと言って女に嫌われる訳でも無いんだよな~。ここまで全方位だから【魅了】もMAXなのか? でも、そろそろ良いかな?
「換金お願いしても良いですか?」
「あっ、はい。すいません。ただいま」
そう言って慌てる受付嬢さん、ちょっと可愛い。
「ハーちゃん?」
「ご主人様?」
だから何故に!?
そんなこんなで魔石やドロップアイテムを全部換金して来ました。
結果は金貨15枚に銀貨79枚銅貨が50枚だった。そう言えば、ここ最近換金してなかったからかなり高額になった。
この金額見て瑠璃まで驚いていたから相当馴染んでるな~。と思いつつ、私の仲間はほとんど驚いて無かった辺り感覚が色々麻痺しているようだ。
あれ? この言い方だと私と一緒に居ると感覚が狂うみたいじゃないか!? 馬鹿な!? そんな筈ある訳が──。
〈違うんですか?〉
こんな時だけスルーしてもらえなかった!?
換金を終えた私達は今度は依頼掲示板に行く。依頼掲示板は冒険者ランク毎に依頼の紙が貼ってある。
しかし、凄い量だな。流石都会! そして私は田舎者感がスゴいです! 何か言ってて悲しくなってきた。閑話休題。
「やっぱりゴブリンの依頼が多いね?」
「だね」
「ゴブリンはどこでも頭痛の種らしいです」
「ご主人様その……」
「良し。受けるか」
「良いんですか?」
「アリシア受けたいんでしょ? 瑠璃とクーのランクも上げたいし、恩を売るにも丁度良い。それに暫くここに居るんだから周りは綺麗にしないとね」
「ご主人様……ありがとうございます」
「ハーちゃんったら素直じゃ無いですね。ギルドに恩を売る何てついでなのに……でも、元ギルド職員の立場から言ってもゴブリンの依頼は人気無いから恩は売れると思いますよ」
「瑠璃、一言余計だよ? じゃあ取り合えず六件の依頼を全部受けようか」
「一気に全部受けるの?」
「うん。別れて退治すれば良いだけだからね」
「そうだね。ボク達は人数も多いからそれが良いかな」
そんな訳で私達はゴブリンの依頼を全部受ける為、受付に依頼書を持って行く。ここだけの話、本当に受付嬢さんはかなり感謝していた。
本当にゴブリンってこの世界だと質悪いんだな~。
『シルフィン:自分が元ミニゴブリンだと忘れていないですよね?』
覚えてるよ!! お前のせいで苦労したから!!
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
翌日、ゴブリンの依頼を片付ける為、私達は三チームに別れていた。
一つ目のチームが私とクーの異常状態無効チーム。
正確に言えばクーは違うけど、ゴブリンが使うのは毒位だから不死のクーには効かんのですよ。
二つ目のチームがエレオノとアクアのチーム。
ゴブリンはほとんど魔法を使わないので【霧化】が有れば事実上エレオノはほぼ無敵。ダメージ負ってもアクアが即回復。
しかも、アクアも飛びながら【結界】使って魔法で攻撃すればほぼ一方的。このコンビ物理主体には鬼過ぎないか? ゴブリンまじハードモード。
三つ目のチームがアリシア、コロ、瑠璃の三人にキュールを加えたメンバー。ある意味ここが一番バランス良い。
物理、魔法の攻撃、回復、デバフと正直ゴブリンが勝つ想像が出来ないよ!? てか、私も勝てんわ! 難易度ナイトメア級だね! コンティニュー無しのほぼ初見殺し。鬼だわ~。
と、言うわけでそれぞれ二件ずつ近い所を受持ち行動開始したのが今日の朝、巻きな感じで私とクーは仕事を終えて帰り道です。実際魔族と戦った後だとまじで楽だったしね。
「主様はご機嫌じゃな」
「まあね♪」
そう! 私はここ最近で一番ご機嫌なのだった!
それと言うのもゴブリンが相手だったから私の【疫攻撃】の状態異常攻撃がほぼ初めてと言うほどに役にたった。
やっと、やっとだよ! こうやって一方的に倒せるから状態異常特化になった筈なのに、現実は自分よりも遥かに格上なのしか相手してないから、状態異常何て滅多に掛からなかったからね。
ええ! メッチャ感動しましたともさ!
そして、ゴブリンって本当に弱かったのね? ちょっとびっくりする位簡単に倒せたから、逆にビビりましたよ。
今まで、魔石砕いたりで倒してたから、HP削れて倒すとあんなにパッタリ倒れるのね? 腹パンから動かなくなったから驚いた。若干クーが怯えて居たのは気のせいだろう。
私達は永らく放置されていた依頼も受けたから、一個目の依頼はゴブリン四匹だけだったけど。二個目は、ホブゴブリンが再び私の前に現れた。
結果としては普通に勝てました。と、言うか状態異常に掛かりまくってほぼ一方的。
いやぁ、私も強く成れたもんだよ。頑張ったな~。そろそろ一休みして引きこもっても良いよね!
〈駄目です〉
……はい。
それと、ホブゴブリンの他にゴブリンプリーストが居て、こいつのお陰で治療魔法を覚えられた。
これでもし一人の時に怪我しても大丈夫! 自分で治せるぜ!! その他は流石ゴブリンな感じで全くスキル無かったから収穫はそれくらい。
そんなこんなで私は超ご機嫌なのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます